表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/81

カラクレナイ#81 本気の出し方

更新です

挨拶もなくいきなりナイトメアがセロに向かって突進を仕掛ける。セロはそれを正面から受け止めて取っ組み合い、手と手を合わせて純粋な力比べに持っていった。力比べは一瞬拮抗しているかに思えたがすぐにナイトメアがセロをねじ伏せ、腕を掴んで直角に地面に叩きつける。体がバウンドし地面は割れるほどの衝撃だったがセロは軽く一回転をして体制を整えナイトメアと距離を取り直す。


「なるほど……これが悪夢ナイトメア。強いね……これだったら久しぶりに本気を出せる……!!」


そういいセロはさらに魔力のオーラを立ち上らせる。その勢いはナイトメアが見せたものとは二回り大きくナイトメアごと辺りを包み込む。そんな状況でもナイトメアはまるで獣が獲物を狙うように低姿勢で、尚且ついつでもセロに向かっていける前傾姿勢を崩さずにじりりと距離を詰めていく。その目は狂気的と言わざるをえないほど見開いて血走っている。うちの師匠の凄さは知っているが……こんな魔力量のやつを相手して勝てんのか……?いくら師匠でも厳しいんじゃ……


とここでジリジリ距離を詰めていたナイトメアがセロに向かっていく。だがセロはまるで弾丸のように飛び出していったナイトメアを冷静に上から腕を振り落としてはたき落とし、キックで追撃を仕掛ける。ナイトメアもはたき落とされた後、追撃を体を翻して避け、セロと向き直し素早く拳打を加える。その拳を軽くいなし、セロも同じく拳打を与える。だがナイトメアも拳をガードしカウンターを打つ。こうして互いに互いの拳を防ぎカウンターを放ち合って徐々に繭のような丸い残像が形作られていく。

…もう俺には何が何だかわからないが…見たところナイトメアの方が優勢のようだ。ギリギリ見える拳の数々はセロによって受け止められているものの、何個かは頬を掠めたり受け止めきれず被弾してしまっている。セロはたまらず隙をついてナイトメアを中段の蹴りでぶっ飛ばし距離を取らせる。


「チッ、なんでこの魔力量でこんな……っ苦戦を強いられているの?これでも不十分だって言うのかよ!?しょうがないありったけを……っ!!」


セロから立ち上る魔力がさらに大きくなる。この結界の全てを包み込むほどの魔力のオーラは常に揺れていて現在の彼女の心情を表すかのようだった。そして当然のようにナイトメアはこの魔力の中にいても気にもせずむしろそれを嘲笑うように首を傾げる。


「本気の出し方が下手だな。血腫よ。」


「何?」


「ただ魔力を解放するだけなら猿にもできる。問題はそれをどう扱うかだ。そも魔力を誇示するなど弱者にすること、強者との戦いでは用いぬ。」


ナイトメアは呆れたように話すとおもむろに手を前に出して手のひらを上に向ける。


「お主に見せてやろう。本当の本気というものを。」


「悪夢風情が……!!」


前に出した手のひらに魔力と生体エネルギーが湧き出す。これじゃ至って普通のクレナイだ。何が本気なんだ?


「魔式「カラクレナイ」」


そう思った時、二つのエネルギーが混じり合い、明るい紅色、唐紅の色のエネルギーになる。一瞬で色は淀み、黒も混じった深紅になってしまったがそのエネルギーはナイトメアの体を包み炎のようにゆらゆらとゆらめいている。その纏っているエネルギーは見ただけで感じれるほど周りに漂っているセロの魔力よりもものすごく濃い。

すると魔式を展開した瞬間に瞬間移動でもしたかのようにセロに近づき、その頭に拳をぶち込む。どうやら気合いでその場に止まったようだがそこに2撃目が腹に捩じ込まれる。


「グゥっ……!!この程度……っ!!」


「遅いな。手本は見せたぞ?」


セロはなんとか反撃しようと拳を振り上げるがナイトメアはそれを避け、目にも止まらぬ速さで背後から蹴りを加える。セロはまたしても大きく吹っ飛ばされ地面に顔を擦り付ける。いや、師匠強くね?纏ったエネルギーの濃さの問題だろうか?身体能力の時点で大きな差がある。カラクレナイって……クレナイの進化バージョンだよな。見たところ何も変わりがないようにも思えるが…そもそもエネルギーの色が違うんだよなぁ。


「……っ、本気ぃ?こっちはとっくに出してんだよ!舐めやがって……っ!」


「雑魚なのが悪いんじゃ。もっと鍛えてから出直せ。」


セロの魔力のオーラが一気に変わる。さっきまで揺れていた魔力が急にザラザラとした雰囲気に変わり、肌を撫でてくる。大きい魔力には慣れたと思ってたけどやっぱり不快感は無くならないな。

ただ魔力の雰囲気が変わってもナイトメアの方が早く、啖呵を切ったセロはなすすべもなくボコボコにされている。今のままでも師匠がセロをねじ伏せているのだがもっと怖いのはまだまだ師匠は余力があるということか……あれ多分だが技の一切を使っていないだろ?今のままでも俺の破以上の威力は出てるのに……考えるだけでも恐ろしいな。


「クソッ……こんなはずじゃ……っ!」


「泣き言は良い。せっかくだ。最期にいいものを見せてやる。せいぜい足掻け。」


そう言うとナイトメアは拳にエネルギーを集め始める。あれは…破か?一体どれほどの威力になるか気になるところではあるがここにいるとワンチャン巻き込まれかねないから遠くへ離れる。ちょうど腹も塞がったとこだ。再生が遅い気もしなくはないが……今考えることじゃないな。


「うちの可愛い弟子を連れ去った礼だ。受け取れ」


大きく拳を振りかぶりふらふらと立っているセロに向かって拳を振り下ろす。大きい音と共に後ろで球体状にエネルギーの爆発が起こり、煙が上がる。収まった後、後ろを見ると円状に地面に亀裂が広がって爆心地は燃えて、とても足の踏み場がないような状態になっていた。ただ1番衝撃なことはそんなことではない。セロがナイトメアの拳を受け止めまだ立っていたのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ