カラクレナイ#80 鬼ごっこ
「セロ・ブラッキウム……そして、赤い…血潮!?」
赤い血潮って……例の黒幕が関係してるっていう組織か?それってこいつ、もう黒幕確定では……?そもそも俺を連れ去る時点で黒か。間違いない。
あとこいつ「腕」とか言ってたか?また新しい組織名か?いや、話の流れ的に組織名じゃなくて一種の称号みたいなものか?腕っていうくらいなんだから頭とか腹もいるのだろうか?いるんだろうな、多分。こういうのは大体4人いるものだ。四聖もちょうど4人だしな。
「なーに?赤い血潮ってそんな有名だっけ……私、なるべく情報漏らさないようにしてたはずなんだけど……記憶消し損ねたかなぁ?」
「ま、たまたまな。へっ、で?どうするんだ?肝心の人質は手錠がなくなって自由になっちまったぞ?」
とは言っても、俺もこれからどうするか……煽りはしてみたがこっちとしてはやることがないんだよなぁ。相手の魔力量はおそらくナイトメアと一緒、俺如きが勝てる相手じゃない。しかも結界のせいでここから逃げることもできない。うーんノリで手錠から逃れたはいいものの、これじゃさっきと同じ状態だ。困ったな、結構痛かったんだぞ手錠から逃れるの。
「どーせ何もできないんだから放置に決まってるでしょ。あーいや、拘束されてないと人質の意味がないじゃん。前言撤回、全力で、傷害もありで追っかけ回す。」
「チッ、捕まってたまるかよ!」
そう言って俺は一目散に逃げ出す。両面宿儺を着て、100%の出力で走る。いや…逃げに特化するんだったらあの足に鎧を集中した形態の方がいいのでは?ということで軽くジャンプした瞬間、沼地で開発した下半身重視モードに鎧を変形させる。そして魔式の出力も集中させると一気に速度を上げてセロから離れる。セロはまだ動いていないようだ。何だか不気味だな……このままナイトメアが来るまで逃げ続けられたらいいが……
「遅すぎだよーもっと早くなんないの〜?」
っ!並ばれた!?さっきまであそこにいたよな?瞬間移動でも使えんのかよ!?
「くぅっ!!!!」
足だけじゃダメだ!!何か別の推進力を……あのヌシみたいに何かエネルギーを噴出すれば……!!
またもや軽くジャンプした瞬間に鎧を変形させ、両面宿儺になる。そして今回はさらに肩あたりに噴出口を作り、そこから魔式のエネルギーを噴射する。するとまたもや早くなり並んでいたセロを一気に放し始める。
「ふーん、まだ早くなるんだ。でもそれじゃ「腹」でも追いつけちゃうスピードだね。ま、時間切れかなぁ。」
後ろからそう聞こえた瞬間、自分の腹に深いキックが入る。気づけば結界の端までぶっ飛ばされ地面に倒れ込む。腹の鎧は粉々に砕け散っており、臓器は大きく傷ついているようだ。ぐっ……この結界の大きさは知らないが、こいつがなかったら多分もっと遠くまでぶっ飛ばされていた。このキックの威力で腹に何も穴が空いてないのが奇跡だな。あいつが本気出したらキックで人を両断できるんじゃないか?
「よかったー、生きてんじゃん。死なれでもしたら大変だったからねー。ちょっと黙らせるために力入れたけど、これぐらいなら大丈夫だよね!」
「冗談じゃねぇ……!このまま捕まるぐらいなら戦いを選ぶっつーの……!」
「へぇ……思ったより怖がってないだね。その姿見て気が変わったわ。」
「何……?っ!!」
刹那、セロが俺の懐に飛び込み首を掴み持ち上げたかと思うと腹にただ魔力を纏った拳を叩き込む。俺の腹には大きな穴が空き、彼女の腕が貫通している。勢いよく腕を腹から抜くと同時に俺の腹から血が溢れ出す。ちびちびと再生してはいるがこれじゃ知れてる。クソッ……首が、締められて……両手で抵抗するが力が強すぎる……っ!
「腕っていうのはね、「破壊」の象徴じゃないとダメなの。私たち“人間”はいつも腕で道具を持ち、木をこったり、石を砕いたり、他人を殺す。そんな腕の称号を与えられた私はいつも破壊者でなくてはならない。」
「俺は…っ、人質じゃあ…っ、なかったのかよ……!」
「言ったでしょ?気が変わったの。怖がらない君はムカつくし…君を殺した方があの悪夢は怒るかなって」
「ふざ、けんな……!」
せめて抵抗を……っ、魔式のエネルギー全部を使って自爆してやる…っ!!
と思った時、俺の横の結界が割れ外から赤い何かが飛び込んでくる。改めて見ると師匠だった、多分。多分というのは記憶の中の師匠の姿形とは印象が違いすぎたからである。魔式を展開しているにしろクレナイのエネルギーは透明だが今の師匠は赤いエネルギーを纏っている。そして髪も、逆立っているのはいい。なんか赤くないか?全体的に見た目が獣のようというか……
「……す。」
「よーやく来たんだぁ。待ち侘びたよ。あぁ、これ、君の弟子、返すね。」
そう言うとセロは俺をナイトメアの近くに乱暴に投げる。だがナイトメアは投げられた俺には目もくれず、セロに近づきパンチを喰らわせる。そのままセロは結界に打ち付けられるが余裕そうに地面に着地する。
「殺す!!!!!!」
「うるさいなぁ、大昔の悪夢如きが!!」




