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カラクレナイ#68 ジャムった

少し時と場所は変わり北の防衛戦、つまり庵がいる戦場へ移る。カリンが時間を稼ぎ、庵が沼の大地に空気をも揺るがす特大のビームを撃ち込んでヌシをやっとのところで引きずり出した頃




「どおっっらあああっっっ!!!!」


はあっっっぶねぇぇぇぇぇぇ!!!!!魔式が使えないとわかってすぐに後ろに下がっといてよかったぁぁっ!!逃げようと思った時には立っていたところに黒い影が落ちていたから焦ったが……ギリギリだったぜ……

それにしてもヌシのこの巨体を生かした倒れ込み……沼に大きい痕を残して終わったが下敷きになったら終わりだな。押しつぶされるか沼で窒息するかの二択だ。それでいて俺、結構ヌシと距離があったはずだがすぐに距離を詰めてくるスピード……こいつはなかなか厄介だな。そもそもこんなでかい体でどうやってこんなスピードを出してんだ?と思ったら何やら背中や腰のあたりから魔力が噴き出ている。あれなら沼のことも気にしなくていいし重い体であっても魔力さえあれば持ち上げられる……逆に言うとあんな重そうな体を軽々と持ち上げてると言うことはものすごい魔力出力を持っていると言うことなのだが……なんなら俺、沼で軽減されたとはいえ特大ビームを当てたよなぁ?何一つ傷ついてないってどう言うことだよ?浮上する過程で再生したのか?それにしたって傷がなさすぎる。火傷の痕ぐらいは残ると思ったのだが……何かタネがありそうだなぁ……?


「大丈夫?何か焦ってたけど。」


「まぁな。でもカリンちゃんが気にするほどのことじゃない。安心していいぜ。」


とは言ったが…先程から魔式が展開できない……なんでだ?魔力が尽きてもないし……魔力と生命エネルギーが上手く混ざらないから……?うっ!腕がっ……!これ…まずいなぁ…理由がまだわからないしどうにも出来ないぞ。幸い身体強化はできるからどうにか出来そうだが……


「問題はそれだけでこの沼地を走れるかってことだ……とっ!」


ヌシが俺めがけて突進してくる。今はまだ動きも単調で避けやすいが、それでもギリギリだ。目では追えるが体が追いつかねぇ……!それに、魔式が使えなくなったことで沼地を飛び跳ねることで攻略出来なくなってしまった。魔力による身体強化と言うのはスピードを瞬程度には戻せるが瞬のような利便性は無い。しかも瞬のようなコスパも無くバカみたいな魔力消費で俺の魔力をどんどん削って行く……短期戦で行くしか無いか?


「とはいえ、火力だって出せない今、どうしたら……」


手当たり次第殴ってみるしか無いか?そう思って単純に魔力を纏っただけのパンチで殴ってみるが、ヌシの周りの結界に阻まれてダメージが入らない。これがあるせいで開幕の特大ビームが通らなかったのか?余程固い結界なんだろう。今の火力じゃ到底壊すことなんてできないなぁ……万事休すか?


「いや、俺らの後ろには王様がいる……王様から何かの援護があれば余裕で突破できるか……?」


すっかり忘れてた。今、城には王様とアイコスさんがいるんだった。彼らの攻撃がここまで届くかは分からないが今俺たちがヌシに対して防戦一方なのを確認していれば必ず後方から茶々が入ってくるだろう。こいつの結界を破れるほどの火力なのかはさておき、今の俺の火力よりも遥かにマシなのでそれを期待した方がいい。それならば俺はここでヌシの気を引きつけていた方がいい。今の最善手はなるべく血腫を処理し続けているカリンちゃんにヌシを近づけず俺は攻撃を避け続ける。これだな。


「そうとわかったら……攻撃を避けるのは当たり前として、何か王様と連絡でも取りたいけどな……ッ!くっ……!」


段々とヌシの攻撃手段が突進以外にも弾や上空からの急降下にローリング……とまぁ色々と増えてきた。それにエンジンがかかってきたのか背中の魔力噴射の勢いが増してスピードが上がってきている。スピードが上がれば突進の威力も上がるしもっと避けづらくもなる。これじゃいつか追いつかれて潰される……っ!

そうなる前に王様か魔式を何とかしないと……王様はカリンちゃんにどうにかしてもらうほかないな。第一、俺はそこまで王様のことを知らない。連絡先……と言うか魔力によるテレパシーもできない。だからカリンちゃんに話に行きたいが、ここで俺が無作為にカリンちゃんに近づいたら血腫の処理も追いつかなくなって共倒れになる可能性だってある。ちゃんと考えてやらないと……


「ってそんなこと言ってる場合じゃねぇ!!」


クソッ、スピードがさらに上がってもう限界だ!ただの魔力による身体強化じゃどうにもならないぞ!王様云々の前にやっぱ魔式が使えないのを何とかしないと……っ!でもそれっぽい理由は……いや、一個あった。めっちゃ溜めた砲、あの特大ビームを撃ったこと。でも何でそれで?今んところ俺が魔式を使えない理由は多分、魔力と生命エネルギーが上手く混ざらなくなってるからだ。だが仮にそうだとしてもこんな簡単な工程、なぜ出来なくなるんだ?ただ混ぜるだけなのに…どこに問題が……?魔力は問題なく使えてるしなぁ……ってこうやって考えてばっかだとまともに攻撃避けれねぇ!チッ、と言うかもう限界だ!スピードが……ッ!


「もうっ、無理だぁっ!!」


「鎧くん!!!!」


弾幕に囲まれ逃げようにも逃げ場がないところに空中からの回転しながらの突進がくる。もう無理だと思って目を閉じ身構えていると、地面に衝突したような轟音と突風が届いたのにも関わらず俺はまだ意識を持ってその場に立てていた。ど、どうした?何でまだ俺生きてんだ?てっきりもう全身を砕かれて粉々になるかと思ったが……な、何が起きたんだ?

おそるおそる目を開けると目の前には白く輝く大鎧を身に纏い、同じく白く輝く大剣の腹でヌシの突進を受け止めている一人の騎士がいた。その騎士は雄叫びを上げながら大剣をうねらせヌシを打ち返すと兜を外して脇で抱え、後ろを向く。するとスタイリッシュな雰囲気の女騎士がこちらに手を伸ばし、朗らかに自己紹介を始める。


「はぁー間に合ったようだな。やぁ、君が噂のイオリくんかい?私は逢魔ヶ騎士団団長、アテネだ。よろしくな!」


ヌシの主な攻撃方法は飛鳥文化アタックとそれをやりながらの魔力の弾の乱射です。現在の戦場は東方みたいな状態になっていると考えてください

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