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カラクレナイ#67 死体の山のナイトメア

一人、死体の山の上で空を見上げるナイトメアはおおよそ人一人が纏うことのできる惨さや禍々しさを大きく超え、まるで何かの怪物のような姿に見えていた。あたりに嫌というほど漂う、むせかえるような死臭も相まって燈魔についてきていたグローとセンドウは固まってしまった。

ただしそんな中でも燈魔とライノは動じず、ナイトメアに近づく。


「あちゃーこりゃ酷いですねぇ。どんだけ激しい戦場だったんですかぁ?生存者は?姉貴一人?」


「確認するまでもない。ここまで何もない焼け野原になっていたら動くものがあるだけで目立つ。そうでなくともこの血腫の死体の山の中に時々混ざる人の一部が全てを物語っている。」


「あぁ……そうじゃな。わしが来るまでは少し量が多いぐらいだったんじゃが、わしがきてから血腫の強さも量も跳ね上がってのう……すぐにコアは壊したが、残っておった兵士は全員食われてしまった。まぁ何人かは逃がせれたが……それも両手で数えられるぐらいじゃな……」


燈魔がナイトメアに話しかけると顔をこちらに傾け話し始めた。目は淀んでいて黒く不自然なほど動かず、無表情でいつものような明るさはなく、冷たく低いトーンで淡々と話をすると死体の山から飛び燈魔の前に降りる。


「ま、こればっかりは仕方ない。ちょっと修羅に堕ちかけておったからお前らが来てくれてちょうどよかったのじゃ。で?何のために来たんじゃ?自分のエリアはどうした?」


「……単刀直入に言いますよ。姉貴の弟子、庵が誘拐される可能性が見えました。一緒に来てください。」


「……ッ!!はぁ……全く手のかかる弟子じゃ。面倒くさいが行くしかないのう。よーし裂け目を開けるぞ。順にはいるんじゃ」


「わかりましたわ。おい、お前らそこで固まってないでこっち来いや!別に怖くもなんもないっちゅうねん。」


燈魔は手招きをしてグローらを呼び寄せる。彼らもようやくこの光景に慣れたようでヨタヨタとこちらへ歩いてくる。その顔は何やら具合が悪そうにも見える。


「どうしたんや?お前らって姉貴の戦った後の風景見たことなかったか?」


「いや……そういう問題じゃないですよお。こんなありふれた景色、今更見たって何も感じません。けど……ここは魔力が濃すぎる。あぁいや、これは魔力じゃなくてナイトメア様の魔式のエネルギーですかぁ?なんにせよこれ以上ここにいると吐いちゃいそうです。」


「ん?言われてみれば確かに……ちょっと濃い気がするなぁ。ふぅむ……「クレナイ」のエネルギーは慣れないと異物のように感じるやろからなぁ。ま、すぐに慣れるわ。安心せい。」


変わらず顔色は悪いが静かに相槌を打つグローらを尻目に一人、ナイトメアはあわあわとして、冷や汗をかいていた。遠くから全体を見ていたライノがその姿を見て指摘する。


「おい、そんなに動揺してどうしたのだ。まさか、何か問題でも起きたのか?」


「えっ、いや別に何もないぞー?し、心配せんでもすぐに裂け目は開くから待っておれば良いのじゃ!」


明らかに動揺したように喋り、目も泳いでいるナイトメアにライノがさらに言葉を重ねる。


「はぁ……下手な嘘をつくんじゃない。で、どうなのだ。今何が起きている。」


「あぇっと……言いにくいんじゃが……裂け目が開けん。」


「「はぁーっ???」」


「うっそでしょ……これじゃ間に合うかどうか……」


「ええい、もう良い。急いでいるのだろう?しょうがないから吾輩が背負って全員連れて行く。」


ナイトメアの発言で全員が慌てふためく中、ライノが急に無理やり持ち上げ、全員を背負ってジャンプしようとし出した。ライノは次々と背中に乗せると膝を曲げてしゃがみ、跳躍の準備体制に入る。


「おいおいおい、冗談やろ。別に俺は背負わんくても……!」


「うるさいな、お前らがいないと色々と面倒くさいのだ!!吾輩は未来のことなどわからないのだからな!大人しくついてこい!」


「チッ……しょうがないなぁ。さっさと飛べや。」


「あ、ちょっと待った!」


「貴様は自分で飛べばいいだろ!!行くぞ!!」


ナイトメアの引き止める声に耳を貸さずライノは足に赤雷を纏い大きく飛躍する。がその飛躍は透明な壁に頭を激突させ阻まれる。激突した後はそのまま地面に落下していき燈魔らがライノの下敷きになってナイトメアの前に落ちてしまった。


「……お前らが来たぐらいの時からここら一帯に結果が張られたんじゃ。じゃから大きく飛んだらそれに激突するって言いたかったのじゃが……話を聞かんから……」


「ライノー早くどいてくれーこうなったら走って行くぞー」


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