カラクレナイ#65 掃除は丁寧に
「……やったか?」
「やだなぁ、そんなこと言うなよー。おれの魔式による補正と自分の100年分の魔力を信じなってぇ。」
「それはそうだが…念のためとどめはさしておかねば。」
そう言いながら、センドウはもう1発、今度は血器創造の弾と銃を使って頭に撃ち込む。……いや、心配になったのかもう10発撃ち込んだ。炭化したヌシの体にはさっきまでの硬さはなく全ての弾が頭を貫通した。
「心配症すぎじゃない?」
「やりすぎなぐらいでちょうどいいんだ。」
「ふーん、あっそ。それにしても君、ちゃんと作戦考えてるじゃん。いい演技だったよぉ…3段構えとは……ねぇ?」
「あれは……よく使ってる手段なだけだ。誰かが必殺技のようなただの強攻撃をし注意を引く。そしてさらに誰かが同じことをする。そこにオリジナルである俺が必殺技を放つ。いつもはこんな大人数でやってないし正義執行も使わないがな。」
「そりゃそうでしょ。こーんな火力必要ないもん。それに今回は僕の魔式による攻撃の補正もあったしねぇ。」
グローが話をしているとセンドウが急に銃を構え、そしてヌシの遺体を睨みながら怪訝な顔をして銃を下ろす。グローはそんなセンドウを見て少しきょとんとしながらも、すぐに真剣な顔になりセンドウに問いかける。
「どうしたのー?」
「いや、少し指が動いたような……?」
「そんなわけぇ。ないない。悪い冗談はやめてよーあんな火力で死なない訳ぇ……」
グローが話を茶化すと同時に炭化したヌシの体や胴体に空いた大きな穴が再生していく。そして腕をついてゆっくりと、確実に立ち上がっていく。さらに腕が柱のようなものから変形し鋭いカッターのようなものが生えた太い腕になり、胴体に空いていた穴は塞がれ黒く変色していた。
「ヴァアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!」
「ウッソでしょぉ……!」
「クソッ、冗談じゃねぇ……!見立てが甘かったか……?」
ヌシは叫んだ。自らの復活を。そして目の前にいる自らを死の淵へと追い込もうとした奴らを死よりも酷い方法で痛めつけると決心した。だがその目論見は早々に砕け散ることとなる。
「お前らなぁ、ちゃんととどめぐらいさしとけや!11発じゃ足りひん。今度からはその2乗の121発撃っとけ!」
「「燈魔さん!」」
「はいはい、燈魔さんですよーってことで、お前らはさっさと離れとけ。今のこいつはお前らじゃ倒せんからなぁ。」
「はぁ……今回は燈魔さんの手を煩わせることになっちゃいましたねぇ。情けないなぁ。」
「いいから。はようどいてくれへんかのう?そこにおられると戦いづらいねん。」
「……ご武運を。」
「そんなもんなくても俺が勝つわアホ!ったく……」
ヌシは困惑した。今の完成された自分を見ても驚かず恐れずむしろ脱力している。なぜこの吸血鬼は自分を恐れないんだ?なぜここまで余裕そうなのだ?疑問は耐えなかったがヌシは目の前にいるこの愚か者に制裁を加えることにした。まずはこいつを殺し、その後にあの憎き吸血鬼らを苦しめようと。そう考え一歩を踏み出した時だった。何かがまずい。そう思った時には手遅れだった。
「……死に晒せぇ。「夜桜」」
燈魔がただドスを取り出しただけで勝負は終わった。ヌシは細切れにされて一瞬で崩れ落ちる。再生する気配はない。終わった雰囲気を感じ取り、グローとセンドウが近づいて来る。
「もう終わったんですかぁ?流石ですねぇ。」
「もう、そんなのええから。センドウ、お前は巣のコア壊してこい。グロー、肩貸してやるから”見ろ“」
「あぁ……どんくらい先までぇ?」
「……悪い予感がするんや。そうやな……1時間先までや。なるはやで頼むで。」
「はーい、すこーし集中しますよぉ。」
そういい、グローは燈魔の肩に手を乗せ目を閉じる。すると燈魔から魔力がどんどんグローの方へ流れ大きいオーラにグローが包まれる。その中でまるで高速で計算結果を列挙しているコンピュータのようにブツブツと言葉にならない言葉で未来に起きる可能性を呟き続けている。そして数秒程度経ったところでハッと息を呑み、グローが目を見開く。繋がっていた魔力のバイパスから燈魔もグローが見た未来を感じ顔を顰める。
「なるほど……なぁ?変えられへんのか?」
「いやぁ……無理そうだねぇ。ここだけ他の可能性がないようですしぃ。これはもう確定された未来みたいですねぇ。」
「チッ……あぁもうええ!とりあえずここは収まったし、姉貴のとこ行くぞ!!庵が危ないって伝えへんと!」
夜桜は言ってしまえばただのみじん切りです。魔力で刃を伸ばしたドスで縦と横に切るだけ。ただ剣速はめちゃくちゃ早いです。
主人公に何があったんでしょうねー




