カラクレナイ#61 大魔連合大集合
「魔式!!「クレナイ」!!「砲」!!!!」
大きく飛び上がり、砲口をヌシがいるであろう地面に向けて、溜めたエネルギーを全開放する。開放したエネルギーは一直線のビームになって轟音と衝撃波を伴って沼地の泥を弾け飛ばしている。このまま泥を100m貫けたらいいのだが……
「不格好鎧くんすご!そんな強い攻撃できたんだ。ちなみに聞くけどこれって撃ってる間も動けない感じ?」
「そうだな!!察してくれよそれぐらい!!」
「……面倒くさい。ちょっとは支援して。」
支援って……反動を抑えるだけでも大変だってのに……っ!もしここで支援に少しでも意識を割いたらビームがあらぬ方向に向いて別の被害が出かねない……っ。申し訳ないけどカリンちゃんにはまだ一人で頑張ってもらう他あるまい。まぁ……面と向かって言うのは憚れるので知らんぷりしとこう。いや、やりたいけどやれないと言うのをさりげなーく言うか?
……まぁいいや。今はヌシを舞台に引っ張り出すこと、それが目標だ。それに……俺程度が加勢してもカスみたいな威力の血槍ぐらいしかできることがない。あんなレベルじゃ今たむろしている血腫相手には通用しないし、下手したらカリンちゃんに当たったりした時に戦いの邪魔をしてしまう可能性だってある。つまりこれはちゃんと考えた上でのこと。理解してほしい。
「くっ……!本当に届くのか?これ。今どのくらい深くまで行ったんだ……!?」
これ、今どこまで貫いたのかがわからないぞ!チッ、わかんねぇもんは仕方ない。当たったら勝手に出てくるだろ。俺は信じて、ただビームをぶっぱなすだけだ。
「チッ、数が多すぎるよ……!これ以上は……っ!鎧くん、まだぁ!!??」
「急かすなよっ!!俺だってわかんないんだ!」
「っ!千鳥!!」
下も下で大変なことになってそうだ。そろそろヌシが出てきてくれないとカリンちゃんの援護に行けない……!頼むから出てきてくれ!ん、何か手応えが……うん?揺れてる?これは……俺のビームによるものじゃない。地面だけじゃなく空気すらも揺れてるぞ!ふぅ……ようやくか!ちょうどエネルギーももうすぐで尽きるところだった。さぁ、その姿を見せてみろ!ヌシ!
「これは……!来るの……?」
「あぁ!身構えとけよ!こっからさらに戦闘が激しくなるからなぁ!!」
ゴゴゴ——
だだっ広い沼にバケモノの唸り声とも捉えられる鈍い音が響き、眼前に山のような巨躯を持つバケモノが泥を撒き散らしながら飛び出してきた。山のようなと言うのは、まさしく文字通りの姿でまぁ端的に言うとデブだ。胴だけで縦が6、横が7mもあるようなデブ。ここまで肥大化した血腫は見たことないが……威圧感だけはあるな。
だが、相手がどんなやつだろうと殴り掛からなければ何も始まらない。行くぜぇ……魔式ぃ……魔式ぃ……ん?あれ、魔式が展開できない……待ってまずい。魔式がないと流石にヌシは……ッ!!
————————————————————————
「燈魔さーん?おれぇ、まだ完治してないんですけどぉ?怪我人はベッドで寝てていいですかぁ?」
「アホか!こっちはタダでさえ不意打ち喰らって戦力足りてないんやで?怪我人でも何でも使わないと手が回らないんや。」
「はいはい、しょうがないなぁ。俺たちがいないと燈魔さんはなんにもできないんだからー困っちゃうよねー。ね?センドー?」
「……」
「ったく、無視ぃ?俺たちの仲じゃーん。」
「……おい、センドウ。こっから戦闘に入る。”本気“で行け。”任務“につかせてる分身を全部呼び戻すんや。」
「……了解。」
庵が王様に連れられ北の防衛戦に向かわされた頃、大魔連合盟主で四聖である荒川燈魔とその従者2名は庵と同じように王に言われた指示の通り城の西へ向かい血腫の襲撃を食い止めようとしていた。
3人は城内を風のように通り抜けて行きあっという間に西側の城壁へたどり着いた。
「ふぅん。なんというか、大魔連合が襲撃された時を思い出すねぇ。それどころか規模で言ったら俺たちの時よりも多いんじゃなーい?」
「質まで同じとは限らんやろ?ハッ、少々敵の戦力を高く見積りすぎたようや。今回の襲撃をした奴らの同情できる部分はこっちの戦力を甘く見てたことやろうなぁ。」
「それって……あいつらのこと?そんなに頼りになるかなぁ。俺にはあいつらが大戦果を上げる未来は見えないけど?」
「大戦果なんて上げんでええ。足止めだけで十分役立てる。敵の大将首なんて俺らで取ったらええ。今日はわるーいことが起きる勘がしたからのう……だから姉貴に無理言って裂け目に全員ぶち込んだんや。……ま、そのせいで紅咲に助太刀すんのは遅れたけどな。」
城壁に立ち、下の戦場を見下ろす3人の背後から数百人の吸血鬼たちが近づいてくる。彼らは皆、かなりの数の戦場を潜り抜けてきたように見える。そして、皆が皆随分と殺気立っているようだ。誤解しないでもらいたいのだが、その殺気は燈魔に向けられたものではない。それらは全て壁下に蠢く血腫に向けられたものだ。なんなら燈魔に対しては強い尊敬の念を感じる。それもそうだろう。彼らは全員大魔連合に所属しているハンター達なのだ。
「……まぁええわ。ここにおる大魔連合で起きた襲撃を退けた数百人の吸血鬼たち。全員で今回の襲撃、無事に乗り切ったるで!!」




