カラクレナイ#58 半魚人的血腫
「あぶないっ!!」
突然、俺に向かって飛びかかってきた血腫に即座に反応してカリンちゃんがハンマーを振り下ろす。そのハンマーは骨を砕く音を鳴らしながら血腫の背中にぶち込まれる。そのまま地面に打ち付けられるかと思いきや、沼に潜っていってしまった。
あぶねぇ……カリンちゃんがいなかったらあのままやられてたぜ……一瞬見えた姿は身体中にヒレが生えていて言うなれば半魚人のような姿だった。腕が四本の半魚人って創作でも見ない姿だが……今度は何処にいるかわかんなくなっちまったぞ……?次何処から攻撃が来るかわからない。一旦カリンちゃんの近くに……
「チッ、千鳥っ!!」
うおっ、周りに炎ばら撒き始めたぞ!今近づいたら黒焦げになりそうだ……だが、これで出てこれる場所がちょっとは少なくなったか?炎が広がっているところに立ってれば攻撃は……って弾がここまで飛んできた!味方の攻撃を避けないといけないなんて……うおっ!今度は鳥がデカくなった!フレンドリーファイヤされる!
「おーい!ちょっとは俺のこと気にしてくれたっていいんだぜ!」
「今は血腫優先!」
「うっ……!まぁそうだけども!」
味方が怪我したらどうすんだ?あと、少しだが俺のこと集中して狙ってないか?明らかに俺がいるところにしか千鳥が飛んでってないんだが。まぁ……逆に言えば俺の周りを重点的に燃やすことで、俺が攻撃されるのを防いでるとも言えるが……いや俺が燃えたらどうすんだよ。やっぱまだ怒ってるよな。カリンちゃん。
で……至る所が燃えてるおかげで血腫が出てこなくなった。だけど魔力由来の火は消えにくいとはいえ、こうも炎上してるともう強行突破してきそうなもんだ。結局状況は変わらず、か?だとするといよいよ何処から出てくるわから……ん?この揺れ……くるっ!?
「グギャアァ゛ア゛ッ」
「泥まみれだから燃えても問題ないってか?だけど……っ!!」
後ろから飛び出してきた血腫に対し回し蹴りを打ち込む。蹴りは泥で受け流され大した攻撃にはならなかったが吹っ飛ばすことはできた。そして吹っ飛ばした先にカリンちゃんがスタンバイし、ハンマーのフルスイングで血腫を打ち返してきた。そうして空高く打ち上がった血腫に向かって俺が砲を放ち爆発四散して終わった。いやーあいつが火だるまのまま突っ込んできたからビビったが……最終的には素晴らしいコンビネーションだったな。って感心してる場合じゃねぇ。足に燃え移った火を消さないと……!うおっ、あちち。泥でもつけたら……お、カリンちゃんが吸収してくれた。た、助かった。
ふぅ、気を取り直して襲撃についてだが……まぁ案の定と言うか当然と言うか、こいつを倒してもまだまだ襲撃は収まる様子がない。うーん、一体何処にヌシはいるんだ?カリンちゃんにここら辺の地形を聞いてみるか?
「なぁ、カリンちゃん。ここら辺でヌシがいそうな……こうちょうどいい場所はない?」
「……あまり城の北側にはこないんだけど……ここら辺はフィア様の庭園みたいなところになってて、至る所に池とかがあったりする。……ちなみに一番大きい池はここをさらに上に上がったところにある。」
「あやしいなぁ……そこにヌシがいてもおかしくなさそうだ……一旦そこを目指してみるか?」
「わかった。」
創作とかゲームじゃ大ボスは大体目立つ場所にいるからな。ここらで一番デカい池なんてヌシがいそうな雰囲気満々だ。……と言うかここって王様の庭だったのか。庭に沼があるのもどうかと思うが……これだけ広いとなんでも作りたくなるもんか?いや、カリンちゃんの言い方的にここが元々池で沼になったって言う説もあるか……?まぁどうでもいい。今は目の前のヌシに集中だ。
そんなこんなで上にあると言う一番大きい池に向かう。上へ上がるための坂でも血腫たちが跋扈していたため、少し間引いてきたが……徐々に強くなってきている気がする。血腫は巣の中心に近いほど強くなっていくが……進む道があっているってことでいいか?なんにせよ早くしねぇと、下じゃまだ血腫が暴れてるからなぁ……城の衛兵たちの被害が出る前になんとかしなくちゃ……
「ねぇ、鎧くん。」
「え?なんだよ?」
ハンマー振り回されながら話されるのは若干の不安を感じるのだが……まぁいい。
「鎧くんはさ、どうして吸血鬼になんかなったの?」
「急だな……ま、そりゃナイトメアに命を助けられたから、なんだが……なんでまたこんな時に?」
「……吸血鬼なんかクソ喰らえってこと。」
本当に急だな。なんか嫌な思い出でもあんのか?随分と口調に棘があるが……あまり深く聞くのはよそう。かなりデリケートそうな話だろうし。かといってこの話題でかなーり微妙な空気になっちまった。ただ何も喋らずに進行方向にいる血腫をやっつけるだけ、ってのもなぁ……なんか、他の話題を……
「あー……ってもうすぐでさっき言ってたデカい池じゃないか?ヌシがいるかもだから気をつけねぇと……!」
「あ、うん、そうだね。」
ぎこちないなぁ。ったく……まぁ一旦置いといて、あれがあの池か?やはりと言うかなんと言うかここも池じゃなくて沼になってるが……ハッ、どうやら俺の勘はあってたみたいだ。あの沼から強いオールをビンビン感じる。ふぅ、気を引き締めてこう!




