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カラクレナイ#52 ほとんど壁抜け

「はぁ、めちゃくちゃな軌道にして予測しづらくしたのかぁ……この程度で俺を止められると思ってるなんて……おっさんはもうちょっと賢いと思ったんだけど……」


「なんですって?」


ものすごい量の赤い線が周りを掠めるような状況にも関わらず強気だな。確かに破壊力はなさそうだが……反射した地面に結晶が生えているのを見ると当たったところが結晶化すると言うのは変わらないらしい。

要するに避けなければどんどん魔力を吸われる、かと言って魔式を使えば魔力の消費が激しくてあっという間に空っぽになる。だがアイコスのさっきの言い方的にグローは絶対に全ての攻撃を避けようとする。だとすると、グローはあと3から5分の間で勝負を決めないといけないことになるな。グローがかなり不利な状況だと思うが……この自信、行けるのか?


「俺がこう言うシチュエーションを想定してないとでも?俺が作った魔式は……こんなもんじゃないぜ!!」


するとグローはバッドを片手に、アイコスに向かって全速で走っていく。そんな強引な突破をしようとしたら魔力が!……と思ったら血槍が当たったどころか掠った様子もない。魔式を使っているのか?そんな連続使用したら魔力が切れるだろう。何故そんな連発できるんだ?


「その顔……どうして俺が魔式をこんな連発できるか気になるようだなぁ。答えは至って簡単だ。パソコンのバッテリーの節約モードってあるだろう?アレと同じことが出来るんだよ。未来視も運命の確定も精度は低くなるけどな。だが……」


「チッ……!」


「あんたが勝負を焦ってくれたおかげで、トンチンカンな事をしてくれたからなぁ。こんな威力の弱い血槍なら当たっても関係ない。とは言っても手前で言ったことがあるから、当たりそうになった血槍を“空気”で反射したことにしてずらして被弾はしないようにしてるがな。ハハハッ!」


省エネモードって……魔式ってそんな便利な運用できんのか?パフォーマンスが落ちるって話のはずだが、空気で反射って…精度の悪い状態でその動きができるのなら別に精度良いバージョンいらなそうだが……


「はぁ……結果を急ぎすぎたようですね。あなたの魔式を過小評価していたようだ……」


「フッ、あんたの負けさ。アイコスぅっっ!!」


そういい血槍の雨を抜け、アイコスの前に立ったグローさんはバッドを大きく振りかぶって振り下ろした。そして顔にクリーンヒットするギリギリの距離で止める。そのままアイコスさんが両手を上げたところで王様の声が轟く。


「そこまでぇ!!勝者、グローべッ!!」


おぉー、途中、心配なところもあったがグローが勝ったかぁ。うぅ、次の俺の対戦相手グローかよぉ。前に戦って手も足も出なかったって言うのに……今の俺が戦って勝てる相手なのか?

と思ってふとリングの中にいるグローに目をやると、少しふらついたかと思うと次の瞬間には地面に倒れていた。あ、あれぇ……?グロー大丈夫かぁ……?やっぱり省エネモードがあったとしても魔力切れを起こしてたんだろうか……そもそも再生力が落ちてる状態であんな無茶をしたのだ。倒れたっておかしくない。今は休ませておくべきだろう。だが……そうすると次の試合は誰対誰になるんだ?ライノは従者を探しに行ってる途中だし……休憩?


と思ったらドアを蹴っ飛ばしてライノが入ってきた。そしてその影にはいかにも上流階級って感じの白いマントの下に銀色に輝く鎧を身を包んだ青年が立っていた。あれがライノの従者か?何というか……偏見かもしれないがああいう服を着た奴は大体差別主義者なような気がする……魔界で差別って言うとライノのような混血と純血のアレだろう。おまけに切れ目だし、あいつからもそんな匂いがぷんぷん臭う。なんか急に匂いが……くっせぇぞここら辺、ゴホッゴホッ。


「ライノ氏……!ここがあの四聖会議の会場なんですね……!私は今柄にもなく興奮していますよ!!こんな素晴らしい会議に出席させてもらえるなんて光栄の極みですぅ!」


「やかましい奴だ……いいか?あくまでも貴様は数合わせであるということを忘れるなよ。それと……さっきも言ったがこれからそれぞれの四聖の従者が戦う余興のようなものに貴様は出場する。俺の顔に泥を塗るような真似はするなよ。」


「それは……もちろんですとも。」


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