カラクレナイ#49 タバコの恨み
アイコスさんが怒ってから戦闘がどんどん激しくなっている。というのもさっきまでは遠距離から血槍を撃ちまくるという戦闘をしていたのだが、今は近距離戦も多くなったような気がするのだ。
もちろん今までのように機関銃のような血槍も撃っているのだが、それ以上に近距離での打ち合いが増えた。まぁそちらの方が見応えがあっていいのだが。
アイコスさんの得物は斧槍。バットと比べるとリーチが長く、グローは苦戦しているように見える。……わざわざ怒らせたのだから何かしらの策があるのだろうが……今の状況を見てると愚策だったのでは?と思えてきてしまう……このままで大丈夫か?
「この私を怒らせたんですからそれなりの覚悟があるのだと思ってましたが……どうやら勘違いだったようです。」
喋ってるトーンは怒ってない時と同じだが……取ってる行動とのギャップがありすぎて若干怖いな。何をやっていても、声色一つ変えないのは執事として優秀ってことの証明なんだろうが……いかんせん顔が赤すぎて優雅さのかけらもない。顔ぐらいなんとか抑えられないものか……?
「フ、フフッ、そんなこと言うなよぉ。今の僕はさいっ……こーにハイなんだぁぜぇ〜?楽しいぞぉ〜?君たちの力っていうのはぁ?」
「気でも狂ったかぁっ!!このサイコパスがぁっ!!」
するとアイコスさんはハルバードをブンブン回し始め、遠心力を乗せた特大の一撃を叩きつけた。それを察知したグローはバックステップして回避した……ように見えたが、すんでのところでアイコスさんがハルバードの持ち手をずらして端っこにしリーチを伸ばしたのだ。
それによりグローは脇腹に大きな傷ができてしまう。しかも再生を防ぐためなのか知らないが傷跡に大きな血の結晶が生え始めたのだ。アイコスさんが自分の血でも注入したのか?とにかく、そのせいでグローは今派手に動くことができない状態になっている。これは……グローの負けか?
「大人しく負けを認めろ。そうすれば今以上に傷つくことはないだろう。」
「い、嫌だねぇ……せっかく楽しいのに……ッ……終わらせるなんて勿体ないっ!!」
グローは腹に生えている結晶を無理矢理引っこ抜き、腹を再生させる。だが今度は右腕と左の太ももを斬られてしまい、先程腹に生えてた物より大きい結晶が生えてくる。
これも無理に引っこ抜いたが……妙だな。傷が治らない?再生力が衰えている……?これじゃまるで……
「俺みたいだ……」
そう、先程ライノに襲われた時の再生力を失った俺のような状態だ。一体何故?なにがトリガーになって……
「……もう気づいているだろうがその血の結晶。それは単純に血術を使って作ったものではない。それは我が主君が開発した寄生型の血術だ。相手の魔力を吸い成長する特性を持ったな!」
寄生型……相手の魔力を吸い成長するだって?王様はどうやってそんな血術を作ったのか知りたいところだが……今注目すべきは魔力を吸うという特徴だ。これにより周りの細胞の魔力が無くなり、再生力が衰えているのだろう。うーむ、このままじゃ……
「フ、フフ、フフフフフ、クッ、フハハハハハ!!!」
グ、グロー??きゅ、急に高笑いし出したぞ!?遂に狂っちゃったか?
「いやぁ、面白いなぁ。これだから戦いは楽しいんだぁ……あぁ、一応言っとこう。これは忠告だけど、実は一つだけおっさんが勘定に入れてないことがある。」
え?まだ何かあるのか?ここから逆転できるような起死回生の一手が。
「ほう、気になるな。それは一体なんだ?」
「フフフ、それはねぇ……」
「運はいつだって僕の味方ってこと♡」




