カラクレナイ#48 煙たい会話
「あぁ、応じてくれるんだ……ちょっと予想外だったなぁ。てっきり突き返されるかと。」
「では何故提案したんですか?まぁ、あなたのことでしょうからどうせ思いつきか何かなんでしょう……フッ、まぁいいです。では戦いの続きを……」
「いやいやいやぁ、せっかく戦闘を止めてまで話してるんだぜぇ?ちょっと付き合えよ。」
自由だなぁ。そこまでゆるーく生きていられることが羨ましくなってくるぐらいだ。はぁ……俺もそんなふうにカリンちゃんと話せてたら……もうちょっと仲良くなりたいなぁ。決して下心とかではなく。
「じゃあ、話題は俺が出してやるよ。あー、そういえば、おっさんってすごーいヘビースモーカーじゃなかったかぁ?常に吸ってたような気がするんだが……何でさっきから一本も吸ってないんだぁ?」
……片手に持っているタバコは飾りじゃなかったってことか。でそんなヘビースモーカーが一本も吸ってない?それってつまり禁煙では……?
「……チッ……ええそうです。かれこれ50年ほど禁煙中です。そう、あれほどのヘビースモーカーであった私も今ではタバコを吸わなくなったのですよ。」
舌打ちしたか?さっき確かにチッって言ってたよな。明らかに機嫌が悪くなってるぞ。そりゃそうだろう。禁煙中の人にタバコ吸わないんですか?なんて聞いたら怒るに決まってる。
さて、果たしてグローはこの変化に気づいてるのか?
「ふーん、で何でタバコ吸わなくなったんだぁ?」
よそ見しながらグローが話す。いや、呑気すぎるだろ。分かってないのか?その発言がアイコスさんを怒らせてるって。
「……ふぅ……はぁ、どこから話したものか。あれは前回の四聖会議が終わった直後でした。その頃の私はまだ禁煙をしておらず、それはそれは大量のタバコを吸っていました。それこそ燕尾服の中にアモベルトのようにタバコを隠し持ち、息つく暇があれば吸うぐらいにはね。」
話してくれるんだ。最初の方、深呼吸して怒りを抑えていたが……多分もう一滴でもストレスを貯めればアイコスさんの怒りのダムが決壊するな。表面張力なんて関係なく。
と言うか燕尾服の中にアモベルトみたいにタバコを持ってたって……どういうヘビースモーカーだよ。1日に何本吸ってたんだ?はぁ……なんかこうやってグローがアイコスさんの地雷を踏み荒らしてるとこっちが生きてる気がしなくなるな……頼むからこのまま終わってくれぇ……!
「そんな日々を過ごしていた時でした。急に同僚に避けられ始めたのです。私がただひたすらにタバコを吸っていたため煙たかったのでしょう。今までは我慢をしていたようですがついに不満が溢れ出たんでしょうね。挙げ句の果てには退職される方もいました。」
「そこで私は決心したのです!もう私はこれからタバコを吸わないと。今私が左手に持っているタバコは私がもうタバコを吸わないと言う決意を象徴するものです。そのため、逆向きに持たれ吸いづらくしているのです。分かっていただけたでしょうか?」
本当に理解出来ているのだろうか……?ここまでの傾向的にここでまた失礼なことを言いそうだが……そんなことしたらアイコスさんが……
「……大変そー。」
うっす。感想うっっっっす。しかも少し間があるってことは絞りに絞ってこの感想しか出てこなかったってことだろ?なんというか……うん、ここまで気楽に生きていきたくは無いな。
「第一にタバコなんて不味いものよく吸いたくなるよなぁ。しかもぉそれを頑張って我慢してるなんて…狂ってるよなぁ。」
「…」
「あとぉやめようと思った理由、しょうもなさすぎねぇか?w」
「……」
「人が離れていったからやめたってw小物すぎない?もっと自己中心的な考えを持ってみたらぁ?w」
「………」
グロー……何個アイコスさんの怒りのダムを決壊させれば気が済むんだ……?今のでダム決壊どころか魔界沈没ぐらい怒りが溢れ出してるだろ。見ろ、アイコスさんのあの真顔。明らかに怒ってるだろ。
ここまでの発言がもうわざととしか思えなくなるほど酷いこと言ってるな……ん?わざと?わざと怒りを誘発させた?確かに普段のグローならもっと気遣いができる男のはず……つまりこれらの言葉は意図的にむしろアイコスさんを怒らせるためのもの?
「他にもぉタバコってぇ……」
「…………もういいです。そっちがその気ならこっちだってもう容赦はしません。完璧に叩き潰す……っ!!」
「ハハッ、もーおっさんコントロールしやすすぎだろぉ。いいぜ、全力でかかってこいよっ!!」
アイコスさんの顔が真っ赤になり顔に無数の血管が浮き上がって見た目が梅みたいになる。それと同時にグローがバッドの構えを戻し、両者とも戦いの体制に戻った。
何故アイコスさんを怒らせたのかはわからないが……その方が有利になることがあるのだろう。単に強い奴と戦いたいだけかもしれないが……まぁいい、重要なのは第二試合の本番はここからということだ。




