カラクレナイ#40 ゴスロリの少女による2度目の救助
ライノに追い詰められ、もうダメだと思っていたら、いつのまにか前に師匠が立ちふさがり、俺に振り下ろされた大剣を片手でつまんで止めていた。ライノは驚いたような表情をしながらも、精一杯の力で押し込もうとしているがナイトメアはまったく動かない。
「怪我は大丈夫か?こやつの赤雷は厄介じゃろう。ま、こういうのは……」
ナイトメアは大剣を抑えている腕とは違うもう片方の腕を俺の左肩に置き魔力を流し込んできた。するとみるみるうちに怪我が治り、体の痛みも引いてきた。魔力も戦闘前の量とほぼ変わらない水準まで戻りむしろ元気が出てくるぐらいだ。体から欠乏していた魔力がナイトメアによって充填されたからだろうか?なんにせよ、これで再生力も元に戻ったようだ。
さらに後ろから燈魔さんも出てきて勝手に肩を組んできた。魔力は流してくれなかったが……燈魔さんも来てくれたのか。それに今の量で十分だからいいんだけどな。
「おいおいライノ、俺のオトモダチにえらいことしとるやないか……今ここで決着つけてもええんやで?」
「汚らしい混血如きが、吾輩に勝てるとでも?生憎だが貴様と戦っても勝つのは吾輩だぞ。」
「あぁ゛ん?」
「あぁ゛ん?」
ライノは大剣をナイトメアから引き剥がして燈魔さんに向けてそう言った。両者の目から火花が散るほど激しい睨み合いが始まった……どうやらもう俺のことは眼中にないようだ。ヘイトを燈魔さんが受けてくれて良かった……
まぁ燈魔さんって俺と同じ混血だもんな……そりゃここの仲は最悪だろう。そんな今にもおっ始めそうな剣呑な雰囲気のところにナイトメアが切り込む。
「まぁまぁ、良いではないか。後で会議があるんじゃそこで競った方が良いじゃろう。今はフィアを待たせておるしさっさと行ってやらんと。」
「あぁじゃがひとつ言わせてくれ。ライノ、今後わしの弟子に手を出すことがあったら……」
刹那、ナイトメアから放出された恐ろしいほどの禍々しさを纏った魔力が場を包み込む。その場にいるナイトメア以外の全員の魔力を合わせても到底及ばないほどの魔力に押しつぶされそうになる。飛んだとばっちりを受けている……俺は被害者側だってのに何で威圧されてんだ?
俺以外の2人も同じように威圧され、この重圧に押しつぶされそうになっているのか動かない。当の本人であるナイトメアはゆっくりとライノに近づき、髪を引っ張って自身の目線と合わせこういう。
「命は無いと思え……!!!!」
しばらくの間目を見開き、無表情で睨み続け、乱暴に頭を離したと同時にとんでもない威圧感もなくなり、いつものような雰囲気で師匠が裂け目を作る。
「要件はそれだけじゃ。じゃあ、さっさとフィアのところに行こう。これ以上は待たせられん。」
「はぁ……ビビったぁ……姉貴そういうのするんやったら事前に言っといてくださいよぉ」
「ふん、よくいうわい。ちゃっかり動けるよう結界はってた癖に」
はは、バレました?と燈魔さんは軽口を叩いて頭を掻く。け、結界?あの一瞬でそんなものを……大した反応速度だ。
というかあの威圧感の中よくそんな判断が出来たものだ。肝が座りすぎている。はぁ……四聖っていうのは……どいつもこいつもどこまで行っても異次元だなぁ……
で裂け目に入り、出たのは大きな扉の前だった。おそらくここが会場……いや扉デカすぎだろ。なんで見上げるほど大きな扉が必要になるんだ?吸血鬼って言うのはここまで大きいやつもいるのか?
はぁ、それにしてもライノ……四聖の1人と戦ったわけだがまったくというほど歯が立たなかった。あんなに攻撃が通らなかったのは初めてだ。大体、砲を受けて軽い火傷で済んでるって……ほんと、ふざけた肉体強度だ。
ふと、斜め右後ろにいるライノをチラッと見る。う、目があった。前見よ。だが今のライノは先ほどのナイトメアの脅しが効いたのか、塩らしい顔をしてそっぽを向いていた。そのおかげで会った時みたいな威圧感はないな。ふぅ、安心。
……そんなこんなでライノに殺されずに済んだわけだが……むしろ今日はここからが本番だ。
四聖が集う会議、四聖会談(仮)がついに始まる……!




