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カラクレナイ#39 絶対絶命

「はぁっ……はぁ、はぁ、はぁ……」


「ガハハっ、外したのは気に食わないが……どうだ?痛かろう?吾輩の赤雷は」


赤雷を纏った大剣の振り下ろしを避け切れられなかった……!なんとか脳天に直撃は避けられたが……それでも左目と左腕をいかれた。なんなら左側は赤雷に焼かれボロボロだ。まぁでも治るから……ん?


「……ッ!?治らなねぇ……!」


「フッ、吸血鬼の再生力を抑える方法は二つある。」


初耳だ……こんなピンチの時にその話を聞くなんてな。再生力を無くしさえすれば吸血鬼は不死じゃなくなる。俺がこれまで生きて来れたのもこの再生力ありきのことだ。再生力が無かったら……想像するまでも無い。はぁ、まさかこんなとこで死ぬなんて……


「まずひとつ、銀だ。銀は魔力を乱す力があってな。この大剣は銀や鉄の合金でできている。」


「そしてふたつ、吾輩の魔式の赤雷だ。この雷は少々特殊でな。魔力を吸い取る能力があるのだ。そして今までの話を踏まえていうが吸血鬼の再生力は細胞に魔力が無ければ機能しないのだよ。」


「つまり、今のお前は銀で再生を抑制されさらに追い打ちで細胞内の魔力も無くして再生を止めてある状態だ。治るには数日がかかるだろうな。まぁ貴様は今ここで死ぬが。」


チッ、殺すならさっさと殺せばいいのに……悪趣味な野郎だ。こいつにとって俺は獲物に過ぎない。そして今の状況はその獲物が瀕死の時に長々と自らの武器の紹介をし悦に浸っているという……控えめに言ってカスだな。やるなら一思いにやってくれ……


「ハハっ。さて、どう殺してやろうか?今なら好きな死に方を選ばせてやろう。吸血鬼を確実に殺す方法は三個、頭を潰す、燃やして炭化、魔力を吸収し尽くす。さぁ好きに選べ。」


「ハァ、ハァ、一つ……質問していいか……?」


「いいだろう。」


もういい。それだったらこっちにも考えがある。なんとか、隙を作って逃げないと……


「そんなに混血を殺したがる理由はなんだ?」


「フン、それは……」


意識が別のところに行った瞬間、俺は残った魔力で魔式を展開して斬を放ってから一気にライノから離れる。一瞬だがあいつの注意を俺から離せればよかったが……ふぅ、うまく行った……斬は当たらなかったが当たってたとしても大した攻撃じゃないからいい。本番はここからだ。

俺が生きて帰れる確率はものすごく低いだろう。だったらせめてあいつに大打撃を与えてから死にたい。

ふぅ……OKだ。準備は整った。


「……まさか、この後に及んでまだ逃げるとは……お前の逞しさを甘く見ていた。ここまで往生際が悪かったとは。」


「ハッ、バカいうな!こっちは今にも往生しそうだっつぅの!」


「くだらないっ!!先ほどの質問に答えてやろう。回答は……混血が死ぬほど嫌いだからだっ!!」


そういいライノは大剣を掲げながら突進して来た。今俺は左目が見えないため、視覚の半分を魔力探知に任せている。

さらに、動く時腕が一本ないためバランスを取るのが難しくなっている。

血術なんてやったら血が足りなくて死にそうなのでできないし……まったく、ハンデが多すぎるな。大丈夫か?


「ふんっ゛!!」


上段の構えからの大きい振り下ろし。俺が死にかけたやつだ。今度はちゃんとサイドステップで軽快に避け、カウンターで鳩尾を狙い突きを放つ。

流石に鳩尾は痛かったようで少し悶える素振りを見せたが、すぐに前を向き直し横薙ぎをかます。

それをジャンプして避け、落下エネルギーも利用し回転しながらキックすることで倍々の威力になったものを頭にぶちかます。

ライノはこの蹴りで地面に顔を埋める。さっきまで微動だにしなかったのに……まあいい、この隙に離れ、片腕を銃の形にし砲の準備をする。標準を定めていた左手がないので命中するか不安だが……膝をついているライノに右手を向ける。当たってくれ!!


「いくぜ……最大火力っっ!!砲っ!!!!!!」


「……ッ!?」


撃った直後、ライノがいた場所に大きな爆発が起こった。見た感じ避けられてはないようだが……大剣の影に隠れてたか……?直撃してなかったら威力が足りないだろう。俺の少ない手札の中であいつに大打撃を与えれるのはこれしかない……

チッ、腕が痺れてきやがった。流石に体が痛いな。今までは再生力と無限とも思える体力があったが……今じゃ体力もあるかわからない。少なくともいつもの俺ならこれぐらいじゃ息切れはしなかった。

考えていると煙を大剣で吹き飛ばし、ライノが出てきた。体はせいぜい軽度のやけど程度。それもみるみるうちに治ってしまった。

はぁ……大したダメージも与えられなかったか……これで終わりみたいだ。


「茶番はぁ……しまいだぁぁ゛っ!!」


目の前には大きく振りかぶったライノが朧げに見える。はぁ……もう前が見えない。これじゃまるで吸血鬼になった日みたいだ。あの日みたいに師匠が助けに来てくれれば……


「まったく、情け無い弟子を持ったものじゃ。」


「……!?し、師匠!?」

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