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カラクレナイ#37 限界アンガーマネジメント

「吾輩の知る限りそんな吸血鬼はただ1人しかいないが……とんでもない偶然もあったものだ。それとも、お前の師匠は単に四聖に憧れた阿保なのか?」


「……」


今、目の前で吐き捨てられた言葉に対して、思わずライノを睨む。こいつ……デリカシーが無さすぎないか?さっきもそうだが顔も知らない他人をよく非難できるもんだ。というかそれを弟子の前で言うって……あーなんだかムカついてきた。


「まぁ良い。反論が出ないと言うことはその程度の関係なのだろう。記憶しておくまでもない。」


「あんた……ッ!くっ……」


おっと、危ない。危うく手が出るところだった。落ち着け……こういうノンデリに対する対処法は吸血鬼になる前から心得ている。

1、2、3、……六つ数えたら怒りが鎮まる……よーしよしよしOK OK。

こんな奴の言うことなんて基本無視した方がいいんだ。適当に流しておけばそのうち相手の興味も無くなるんだから。チッ、さっきまでの静かな空間が恋しくなってきた……もうシカトしてやろうかな?


「フッ、なんだ?殴り掛かろうとでもしたのか?実行に移せないとは嘆かわしい。師匠が阿呆なら弟子は小心者か?まぁ無理もない。吾輩は四聖だからな。そちらの方が賢明というものだ。」


「……」


まずい、こんなやつと長い間一緒にいたらストレスが溜まる。ナイトメアは侮辱されても別にいいが、俺にヘイトが向くのは許容できない……普通逆か?まぁいい。

とにかく、ここまでナチュラルに毒をマシンガンのように吐かれたら中毒になって死ぬ……いいや、その前に俺がこいつに殴りかかって返り討ちになりそうだ。


「ふん、生憎今は結界の解析に忙しい。あまり干渉してこないでくれ。」


最初に話してきたのそっちだろ。自分勝手な野郎だ。あーまた殴りたくなってきた。一回ぐらい殴らせてくれないかな……

そんな具合でしばらくの間互いに別行動という運びになった。まぁこの結界に閉じ込められている以上近くにはいるのだが……何もされないよう一応端っこにいる。

肝心の結界の解析だがあまり順調そうではない。ぶつぶつ聞こえる独り言が段々と物騒な言葉に変わっていっているし……どう転んだら「魔界を滅ぼす」が出てくるんだよ。

とにかく、今俺にできることは特に無さそうなので眠ろうかと思った時だった。ライノがこちらに向かって血槍を飛ばしてきたのだ。


「おい!何するんだ!危うく頭を貫かれるところだったぞ!」


「ふん、貴様が吾輩よりも先に眠ろうとしていたから止めただけだ。貴様程度の身分で吾輩よりも先に眠れると思うなよ。」


どこまで俺の中の評価を下げるつもりなんだこいつ。長い間こいつと一緒にいたら気でも狂いそうだ。

だがまあ……こういうやつはいくら言っても聞かないし変わらない。こっちが合わせてかないと……


「……貴様、まさかと思うが混血か?」


「グブッ、ゴホゴホゴホ……ハァッ?」


なぜ気づかれた!?あぁ、いやまだ気づかれたわけじゃない。ここでうまくかわせれば……


「混血かと聞いている。先ほどから辺りを漂う気に食わない人間の血の香りがするのだ。それもお前の頬から垂れている血からな。」


クッソ、さっきの血槍で流れたか。はぁ……匂いかぁ。ど、どうやって言い訳する?戦いなんてしたくないぞ……いやこうなれば……


「ふん……答えは沈黙か?俺にとってはそれだけで十分!!死ねぇっ!!」

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