カラクレナイ#31 やったぜ
あいつを蹴り飛ばしてからずっとこちらに近づかせないよう斬で牽制し続けている。俺の作戦上まだ近づけるわけにはいかない。もうちょっとだけ耐えなければ……
「そんなに僕を間合いに入らせたくないの?焦ってるのが丸わかりだよ?」
「焦ってなんかねぇよ!こっちはいたって冷静だ!」
またもや近づこうとしてきたグローに向かって斬を撃つ。まぁグローには当たらないけど目的が牽制だからそこまでこだわってはいない。とにかく近づかれなければいいのだから……よしここだ!崩を進行上において一発狙う!
「おっと。自暴自棄にでもなったかい?そんなふうに連発しても当たらないよ?」
「近づかせないのが目的だからいいんだよ!」
まぁ当たり前のように勘付かれUターンしていくグローだが、その進行方向にさらに崩を連発する。別にこれで決着をつけようとは思ってない。あくまでも崩とはこう言うものだとイメージを固めさえすれば……
「それにしてはちゃんと意識して連発してるよねぇ。まるで僕の意識に焼き付けるように……何か企んでんの?」
「さぁね!何言ってんのかちょっと分かんないなぁ!」
「フッ、まぁいいや。何企んでんのかは知らないけど、一応乗ってあげるよ。そうでもしないと面白くないしね!」
はぁ……なんか勘付かれてるけど、グローが俺のことを舐めてくれててよかったぜ。決まったら絶対俺が勝てる策だ。見逃してくれた以上必ず決めないと逆に失礼になる。
とにかくもう少しであいつのイメージを固められるだろう。そう、今やろうとしているのは先入観の形成。俺は今、崩は直線的に、そして向いてる方向にしか発動できないという間違った情報を、同じ行動をずっと繰り返して刷り込みしているわけだ。本当は崩はどんな方向にも発動でき、別に向いてる方向は関係ない。だから先入観を先に作ってあいつが油断したところにドカンと崩をぶちかまし、KOすると言う算段だ。まぁ成功するかは知らないが……
もうそろそろ間合いに引き入れてもいいだろうか……?ずっと牽制し続けるって言うのも面白くないしそろそろこの試合も終わらせたい気持ちではある。これ以上やって飽きられても面倒だしな。忘れてはいけない……この戦いはグローが飽きたら強制的に辞めさせられるのだ。至急速やかにこの単調な戦いを辞めねば……
なので多少わざとらしいかもしれないが一瞬、連発してた斬や崩をやめてみた。あのグローさんがその隙を見逃すはずがなく、先程まで俺から離れる形で攻撃を避けていたのにすぐに切り返してこちらへ飛んできた。
「絶対に罠だけど乗ってあげるって言った手前、突っ込むしかないよねぇ!!」
ここで警戒されて近づいて来なかったらどうしようかと思ったが、寄ってきてくれてよかった……すでに拳を振れば届く距離にいるグローを含むように崩を周りに展開する。それに対して少し驚いた顔を見せ、回避しようと後ろにステップを踏もうとしたが、その前に上に打ち上げられた。よし、うまく引っかかった!!俺は砲撃を空中に浮いているグローめがけて発射する。ん?そういえばあの威力のものを人に向けて撃っていいのか?下手したら死ぬんじゃ……
「……ッ!!ヤバっ、っく……ッ!!!」
「あ。まず」
気づいたらドーンッとグローに着弾した後だった。あー……もう手遅れかぁ……?いや、吸血鬼の再生力なら生きてるはず……大丈夫、俺は吸血鬼のポテンシャルを信じる。一瞬だがガードしてるグローが見えたしな。
なんて考えていたら上空にある爆炎の中から血槍が出てきた。血槍が地面に刺さりそれを引っ張って爆炎の中からグローが出てきた。その見た目は五体満足のままで、手に持ったバッドは棘が生えて金棒と言ったほうが正しいぐらい太くなっていた。でその金棒は出てきた勢いのままで振り下ろされ、油断していた俺はそれで脳天をかち割られた。
「が……ッ……ハッ……」
「お返しだぁっ!!!」
幸いにもそのまま意識が飛ぶことはなく……と言うか頭が潰され死ぬことはなく、無事に生きている。まぁ脳震盪で何分かは動けなかったが……起きた時には横でグローが座っていた。
「ん?起きた?いやぁ君のあの……爆発。すごかったよ。僕もちょっと流石に命の危機を感じて魔式を使っちゃったしねぇ。なかなかの威力だ。褒めてあげる。」
「あ、あぁ……」
まだ意識が朦朧とする……よくあの最上段からの振り下ろしを耐えれたもんだ。普通なら生きてるのが奇跡的な攻撃だろう。まぁそれはお互い様だろう。よくあの爆発から五体満足で生還できたもんだ。
「それにしても、よくあの爆発を喰らって生きてるな。なんでだ?」
「まぁ魔式使ったしねぇ……って、そんなことよりもさっきの戦いの反省点を言うから。」
「えっ、OKなんじゃないのか?」
「そんなわけないでしょ?いいとこなんて最後の大爆発ぐらいしかなかったよ?ほら、早く聞く姿勢になって。」
め、面倒くせぇ……




