カラクレナイ#3 ただの座学
ということでナイトメアに師事し彼女の家にお世話になることになったのだが、弟子入り初日から修行をするようで「家の中で修行をするとわしの家が壊れる」とのことでナイトメアの使っている修練場かなんかで修行をすることになった。
その修練場にいく方法だが……ナイトメアが手を前に突き出したかと思うと何も無い空間に裂け目ができた。え?何だあれ。裂けた空間には見たところ山の頂点の方の景色が映っている。普通と違うとこがあるなら、空が具合の悪そうな赤黒い色であることか?というか空間に裂け目が開いてる時点で普通ではないのだが。
すっとナイトメアが先に入っていったので遅れないよう続いてその中に入る。するとあの部屋から見ていた景色の場所に繋がり、裂け目は閉じてしまった。
「これって……」
「ま、わしの作った魔法みたいなもんじゃ。これであちらの世界にも行った。これを習得できるよう頑張るんじゃな。」
魔法か。吸血鬼がいるなら魔法もあるだろう。どんどんファンタジーになっていくな。ナイトメアの言い方的にこれを習得すればあっちに帰れるのだろう。つまりあれが俺の到達地点ってことか。一体どういう仕組みなのかはまったくわからないがそのうちわかるだろう。多分。
「で、こんなとこに連れてきて、今から何すんだ?」
「そうじゃな。まだ吸血鬼になったばっかじゃし、力が定着しきってないじゃろうから、座学から始めよう。」
そんなこんなでナイトメアが裂け目からホワイトボードや椅子を取り出してきた。あの魔法はワープだけじゃなく物の収納までできるのか。便利すぎないか。ますますつかいたくなってきた。
「さて準備はできたところで、座学をするんじゃったか?そうじゃのう。せっかくだしお前がなった吸血鬼について話していこうかの。」
「吸血鬼は、太古の昔からこの魔界に存在する人類じゃ。お前らみたいな人と違うとこは、わしら吸血鬼は全員魔力を扱えるということかの。そのおかげで、怪力であったり傷の治りが早かったりする。」
「あの、よく吸血鬼は日光を浴びたら灰になって死ぬ。とか言うけど実際どうなんだ?」
「あぁ、アレは全くのデマじゃよ。わしはアウトドアとか散歩が好きで日光はよく浴びるが別にどうってことはない。それ以外にもニンニクが苦手とか鏡に映らないなど色々あるがぜーんぶデマじゃ。お前らの世界にいた吸血鬼がたまたま全部嫌いじゃったか、縛りを設けてたんじゃないのか?」
ふーん、じゃあ俺が現代社会に戻っても何の問題もなく生きていけるな。まぁこんな具合の悪そうな空のどこに太陽があるのかは疑問だが……危うく外に出れなかったり、にんにくマシマシの食べ物が食べられなくなるところだった。いや、食べたことはないが。
「で、吸血鬼は魔力が使えると言ったな。魔力は、熱や電気といった普遍的な力の一種じゃ。吸血鬼はコレを使って戦ったり生活する。血を操ることができるし、指を鳴らせば火を出すことができる。ほんの一例じゃがな。」
「要するに吸血鬼の力を制御しているのは魔力であり、魔力を抑えれば怪力も治癒能力も抑えれるということじゃ。まぁやるやつは誰もいないがの。ということでお前にはこれから力の制御、つまり魔力の制御を覚えてもらう。」
「はい、師匠。まるで今から始まるみたいな雰囲気ですが、今日は座学だけって言いましたよね。」
「焦るな、焦るな。じゃがその師匠という呼び方は聞き心地がいいの。これからも師匠と呼んでくれんか。」
「ししょー、で結局どうなんです?」
「ふふん。いいのう。っと、おほん。力の制御の修行は吸血鬼の力が定着してからじゃ。今やったところでまだお主には魔力も感じれないじゃろう?じゃが座学の内容はまだまだあるぞ。次はわしのことでも話すか?」
「……はぁ?」
バシッ
小さくため息をつくとものすごい速度でナイトメアが接近し頭にチョップを食らわせてきた。少しため息に疑問符をつけていただけで激しすぎないか。額がヒリヒリする。
「わしの前でため息をするなど甘すぎるわ。せめてチョップを真剣白刃取りできるようになってから言うんじゃな。」
こいつのチョップを受け止めるのなんて俺が完璧に吸血鬼になったとしても無理そうだが……まぁ今度は気をつけよう。こいつの前で隙を見せたらとんでもないことになりそうだ。
「さてわしの話じゃったか?改めて言おう。わしの名前はナイトメア、この魔界に存在する吸血鬼の中で最も血が濃く最も古く最も強い吸血鬼でこの魔界を守ると言う役割を与えられた『四聖』の1人
それがわしじゃ。」
「自分への評価どうなってんだ、師匠。自分から最強なんて言う奴そうそういないぞ。」
「しょうがないじゃろ。事実なんじゃから。この魔界でわしに勝てる力をもつ奴なんていないわい。何故ならわしは最も古い吸血鬼、つまり真祖の吸血鬼じゃからな。だから必然的にその血を持ったお主も将来強くなる可能性がある。ふふふ、お主の将来が楽しみじゃ。案外早くにあっちに戻れるかもしれんな。」
真祖の血って……こいつ本当にそんな強いのか?見た目はただの少女だが。今この瞬間、魔界で一番強いなんて言われても吸血鬼の平均を知らないから真実かもわからないし……まぁ嘘はつき放題だな。とは言え今の俺が戦って勝てる相手ではない。あのチョップだってあいつがナイフを持っていたら俺は死んでいた。いやあの再生力だったら大丈夫かもしれないが……
「その四聖って言うのは一体何なんだ?」
「四聖と言うのはさっきも言った通り、魔界を守るという使命を負った魔界の中でも指折りの実力を持った4人のことじゃ。今四聖を務めておるのはわしに、わしと同じく真祖のスケア、大魔連合のトップ荒川燈魔、そしていけすかないライノ・クロウザルという吸血鬼じゃな。全ての奴がそれぞれ強い魔式を持っておる。まぁ、その中でもわしが一番強いがの。」
「魔式?魔式って何だ。」
「ん、魔式に関しては、明日とかお前の力が定着しきった後に説明しよう。とりあえず今は強い必殺技だと思ってくれ。」
魔式。将来俺も使えるようになるのだろうか。使うとすればどういうものを使うことになるのだろうか……それにしてもあいつがあれほど自信満々に自分が最強と言っているのは魔式が強いからなのだろう。一体どんな必殺技なのか。あと四聖の中のライノって人だけ情報がいけすかない奴っていうのしかないのだが、大丈夫か?四聖の仲は。
「そろそろわしを超えるルーキーが出てくれないか期待しとるんじゃがのう。やはり生きてきた歳が違うからかのう。経験の量が成長に直結してるというのはわしの持論なんじゃが、才能のある奴らはたくさんいるがわしに追いつけんのはそうゆうことなんじゃろうな。」
「……ちなみに聞くが師匠は今何歳なんだ?」
「無闇に女性に年齢を聞くでない。全く礼儀がなっとらんの……強いて言うなら、そもそも年齢なんて結構昔に数えるのをやめたわい。そのぐらい長く生きてるってことじゃ。わしが優しくてよかったの。怒りっぽい奴じゃったら今頃お主は八つ裂きじゃぞ。」
こわい。さっきもそうだが師匠が優しくて良かった。
「さてと、とりあえずはこのくらいか。今日覚えることはわしが最強ってことぐらいじゃな。解散、解散!」
こうして吸血鬼人生、初日は終わった。結構謎を残して。ナイトメアがいい加減な性格だしこの謎が解明される日は果たして来るのだろうか?それも謎の一つである。
あの裂け目を生み出す魔法はかなり難しいものです。
そもそもこの世界では、魔法というものがあり得ない話なので……魔法に似たものはあるにはあるのですがそれは魔術と言われています。こっちの方が使いやすいですが、その分威力とかは落ちてしまいます。
じゃあその魔法を簡単に出しているナイトメアは……最強ってことですね。




