カラクレナイ#28 改善点を致死量浴びてます
100%を出したことによりパワーや速度ではこちらが勝っている。だがそのことを察知してか、グローべさんの攻撃が基本的に遠距離になったのである。血器創造で作った弾をバッドで飛ばしてくる。千本ノックみたいな打ち方のくせにホーミングしてんじゃ無いかってぐらいエイムがいい。しかもちゃんとガードしても鎧が砕かれ怪我を負う。まぁ大したことはないがその隙に詰められタコ殴りにされるからできるだけ避けたい。
対して俺の攻撃はというと破を放とうとしても受け流されて反撃をくらう。かと言って斬は届く前に避けられる。いや斬を見てから避けられるってどんだけ動体神経いいんだよ。はぁこういうところでおそらく戦闘経験の有無がものをいうのだろう。俺はまだ1年ぐらいだがグローは何年生きてるんだ?まぁ俺より年上なのは確実だろう。ったく、どうしたらいい?
「退屈だなぁ庵くん。お前の全力ってその程度なのかよ?魔式は使うなって言われてるけどこのままだとイラついて展開しそうだ……」
ぐ、魔式使ってなかったのかよ……最悪だ。こっちの手札はこれ以外にないのに……
「んーやっぱもういいや。」
「はぁ?」
なんだって?今なんて言った?もういいや?戦いが始まってちょっとしか経ってないぞ?まだまだこっからだってのに。まぁ、このままやっても勝てる未来はなかったと思うが……
「いやー庵くんの戦い方が単調すぎてさー。つまんなくなっちゃった。」
「悪かったな。単調な戦い方で。」
単調ねぇ。確かに俺ができることといえば斬撃を飛ばすか殴るかしかないが……他にできることもないしなぁ。生憎師匠から教わった技が2つしかないのだ。そりゃ単調にもなるさ。
そう言えば口調戻ったか?やっぱりこっちの方が穏やかでいいなぁ。
「まぁ、この短い戦いの中でもわかったことはあるし、いいんだけどさ。まず最初に、君は相手を舐めすぎ。」
「舐めすぎって……」
「あぁ。リスペクトが感じられないよねぇ。だからスロースターターなんて言われるんだよ。最初っから本気出せよ。」
う、そんなふうに言われても……はぁ、この悪癖はどこでどうついたのだろう……多分今までの1年間、ずっと格下と戦い続けていたからだと思うのだが……本気じゃなくても勝てるから力を抜くようになったのだろう。つまり原因は格上との戦闘が無かったから。はぁ……これからはどんな相手でも戦闘では本気を出そう。ここでこの悪癖を直さなくては……
「あともう一つ、魔式を使うのはいいけど、もっと攻撃のバリエーションを増やしたらどう?さっきも言ったけど単調すぎて退屈。」
「なるほど?」
「確かに庵くんの魔式はとても強い。吸血鬼が元々持っているバカみたいな身体能力を更に盛ってバカみたいな火力を出すことができる。」
「けどそれだけだ。君はまだその魔式の本当のポテンシャルっていうのを引き出せてないよねぇ。その魔式の本質は莫大なエネルギーを生み出せることなんだろう?それを意識しないとぉ。」
「つまり全体的に君はまだ戦闘技術が足りてないってことになるねぇ。」
うーん、はっきり言われてしまった。まだ起きたてなのにボコスカ言われて悲しい気持ちになった。確かに戦いの最中にも技量の差みたいなのはあったが……とにかく、今言われたことの根幹にあるのは経験の差ってことになるのか?吸血鬼1年目の俺としては当然だが足りないものだ。魔式の使い方が下手なのも当たり前だろう。そもそも、普通なら数百年必要な魔式の習得を7日で終わらせてしまった身だ。この魔式に対しての理解が浅いのも妥当だろう。
「つまり……今の俺は魔式を使うのが下手だし、技量も足りてないから弱いってことですか?」
「いや、そんなことは言ってないさ。言い方が悪かったかなぁ。可能性がまだあるのに、それをしないのは勿体無いって言ってるんだ。伸び代があるってことだよ。」
「はぁ……」
可能性ねぇ。確かに戦いにおいて手札が多いに越したことはないが……はぁ、再三言うが俺はまだ吸血鬼一年目である。戦闘の技量がどうこうの話よりもっと基本の技から教えてもらいたいものだ。絶対ナイトメアのカリキュラムには入ってない基本の技がある。それで言うと俺、結界とか使えないしな……まぁそれはそれとして一応その手札を増やすって意味でも魔式の研究をしよう。
「じゃあ一旦魔式を使って他に何かできないか試してみますよ。だからちょっと時間をください。」
「あぁ。じゃあ夕方ぐらいにもう一回来るね。それまでに僕を楽しませるぐらいには強くなっといてー」
そういうとグローべさんは屋上から飛び降りてどこかに行ってしまった。まぁ吸血鬼だから大丈夫だろうが……時々俺がまだ持ってる人間の常識を超える行動をするから毎回驚いちゃうんだよな……
さてと、ま、言われたからにはやるかぁ。魔式の研究。期限は今日の夕方まで。それまでに少しでも手札を増やしておくとしよう。




