カラクレナイ#27 強化試合という名の殺し合い
翌日、起きてすぐに準備をし屋上へ向かうと、そこには昨日と同じようにスーツを着たグローがいた。……アレで戦えんのかぁ?まぁ昨日と比べると前ボタン留めてなかったり、黒い手袋してたりと変化はあるのだが……まぁ対して気にすることじゃないのかもしれない。ゴスロリでゴリゴリに殴りにいく師匠みたいな人物もいるしな。そもそも見た目で人を判断するなんて最低だ。……はっきり言うと燈魔さんは見た目で判断したが。
「えっとぉー戦いの指南でしたっけ?じゃあ……一旦手合わせしてみましょーかぁ。」
「あぁ、えっと……じゃあ俺からいきますよ。」
「えぇ。どうぞぉ。」
早速戦うことになったか……朝イチだし出力はあんまあげたくないなぁ。手合わせだし、いつも通り出力を抑えて様子見を……
「あっそうだ。言い忘れてましたぁ。」
「えっ?」
なんだぁ?ルールでも増えんのか?まぁ大したこと言われなかったら対応できるだろうけど……辞めろよ?魔式禁止とか。ただでさえ今魔式に依存して戦闘してんだ。
「戦いが始まったら性格がちょっとだけ変わると思うけど、よろしくねぇ。」
「……え?…………ッ!!」
グローは俺が魔式を展開する前に一気に近づき腹にパンチを喰らわせようとしてきた。一応ギリギリ横に避けれたが……この人早速フルスロットかよ!!危うく腹に穴が開くとこだったぜ……!うん?あれは……バット?血器創造で作ったのか?俺に爆速でパンチしたあと、すぐに作ったのだろうか……
というか俺が先に行くっていう話はどこ言ったんだよ!?不意打ちだろ!ズルすんなよぉ!!
「へへっ、どうしたぁ?あまりにも初激が遅いから俺から行ったけどぉ……あぁ、荒川からは初手から本気でいけって言われたんでこうしてるんだがやっぱ押さえた方がいいかぁ?」
「そんな気遣いいらないよっ!」
ったく俺の準備不足って言いたいのか?この人がせっかちなだけだろ!?あと口調が乱暴になってないか?性格が変わったって本当なのかよ……まぁ語尾は相変わらず伸ばしてるけど。
俺は展開し損ねた魔式を展開し、堂々と仁王立ちして隙だらけなグローの顔にストレートを打ち込む。だが即座に反応されバットで受け止められ顔には到達しなかった。様子見の抑えめの出力じゃだめだ……もうちょっと強く……いーやまだ渋れる。
「おっ、ちょっと動きが良くなってきたなぁ!その調子ぃ!!」
「クッ……!」
バットでぶっ叩かれ、吹っ飛ばされる。チッ、ガードしてても骨が粉々になる勢いだな。まぁこの程度なら大したことはないが……
「ほらほらぁ!!もっと速く!!強く!!魔式は使っていいんだよぉ!!」
「もう使ってるてぇのっ!!」
チッ、全部受け止められる……あのバッド硬すぎだろ。燈魔さんがこの人を俺につかせた理由がわかったぜ。俺がスロースターターなのに対してこの人は最初っから全力!俺の悪い癖を矯正するためかぁ?
「早く本気でこいよぉ!!」
「チッ、だったら……お望み通り全力で行ってやる……!」
「ん?ようやくかぁ?待ちくたびれたぜぇ。」
100%は流石に厳しいが……50%だったら……!そもそもまだ魔力が回復し切ってないのだ。若干省エネで行かないと……
「今、ちょーつまんないこと考えてない?」
「は?」
「まだ魔力が回復し切ってない、とか。こんな朝イチに全力はきついだとか。そんなふうに考えてたら戦ってもつまんないでしょ。」
「いつだって全力でやんないと!!ふ、ふふ、フハハハハっ!!!」
「僕は全力でやってるから楽しいよぉ!!でも庵くんのせいで悲しくなってくる。だから……両方とも殺す気でいこう?」
はぁ……なるほど、この人は……いや、今のあの人は圧倒的な戦闘狂!!それでいてたった一瞬の爆発の為だけに全てをかけられる刹那主義!!ったく……そんなふうに言われちゃったら本気出さないといけなくなるじゃないか……しょうがないなぁ。頑張るぞ俺。
「両面宿儺」を纏い、クレナイの出力を100%にする。ハハッ、まだ昨日の戦いの余韻が残ってて体が痛い。吸血鬼の体っていうのは傷自体は簡単に治るが、その時受けた痛みっていうのは体に残るらしい。おかげで全身がバラバラになっているような感覚のまま戦っている。手足を動かす感覚もいつもと違うからやりずらい。疲労が溜まった体にこのエネルギーはキツイよなぁ……まぁすぐ終わらせればいい話だ。やってやる。
「これで文句無いかよ?」
「ハハ、いいねぇ。そう来なくっちゃ。最初に手合わせって言ったけどもう変えよう。今からこれは試合、死合いだ。だから迷わず僕の命を取りに来いよ?じゃあ……」
「「再開だ!!!!」」




