カラクレナイ#12 やればできる
「あぁっ!!もう!!数が多すぎ!!
一旦どうなってるんだこの量?」
いくら倒しても減らない血腫と増えてく傷。単純な物量で圧倒的に負けてるにも関わらずこちらには奴らに対抗できるほどの圧倒的なパワーがない。さっきあんな威勢のいいことを言ったのに……現状じゃこの量を捌き切るどころか俺が三枚おろしにされそうだ。
「ったくこの数日だけで見よう見まねで真似た師匠の拳法があってよかった。じゃなきゃ今頃血腫にやられてたな。」
「む、そのヘンテコな戦い方がわしのナイトメア流喧嘩殺法だというのか?ふざけんのも大概にするんじゃな。」
「だーわかったってうるさいなぁ。こっちは今切羽詰まってるんだ。集中したいからどっか行ってくれ。」
はぁこっちは今死ぬか生きるかの瀬戸際だってのに……呑気なもんだぜ。なんだよナイトメア流喧嘩殺法って。冗談で言ったのにほんとにあんのかよ。
「……本気を出せばいいものを。出し惜しみしてる場合じゃないじゃろ。大体本気じゃないとはいえ手を抜きすぎじゃあせんかのう。」
「あぁ?あれはこっちの負担が大きいんだよ。まぁ確かに火力不足は否めないが……」
「じゃあせめて本気の半分ぐらいは出せ…今の魔式の出力は本気のたったの“3%” ぐらいじゃろう?」
げ、バレてた。極限まで出力下げてたんだが……まぁこんな量いるのにデコピン程度の力でなんとかできるわけないしなーフルパワーといかずとも1/3の力でやろう。まだ温存。本気はヌシの時に。
「じゃあちょっとだけ。解放する。」
「さっさとそうしとくれーモグモグ。カッコつけんなー」
やかましい師匠だ。この人ヤジしか飛ばせないのか。あと何食べてんだこの人。ムカつくなぁ。
「う゛ウ゛ウゥゥuuゥウ゛ぅゥ……ガア゛ぁァア゛ァぁ‼︎!」
「まず一体」
叫び声を上げながら凸ってきたやつを破で殴る。さっきと違って出力は上がっている。そしてさらに重要なのはこの破という打撃技はクレナイの生成したエネルギーを一点集中させ打つ技。そのためエネルギーが10倍になったからと言って威力が10倍になるわけではない。そう大体さっきの威力の……何倍だろうな。俺にもわかんない。まぁ10倍以上になっていることは間違いないのだが……現に今殴った血腫は殴る前に拳の風圧だけで上が消し飛んだ。ついでに後ろの血腫たちも後ろに吹き飛ばされている。なんなら意識を失っているようだ。
ああ楽しくなってきた。気分はまるで無双ゲーの操作キャラ。こっからはノンストップで気持ちよくならせてもらう。
「いくぜ害獣ども!!駆除の時間だぁ!!一匹も逃さねぇぞ!!」
刹那、出力が上がり必然的に上がった瞬による身体強化で得た速さで血腫たちの懐に入る。念の為反応されないよう死角から入ったが……まぁ大丈夫そうだな。
雑で。
そのまま破をうち奴らの集団のさらに奥に入っていく。そうして雑に走り回って雑に破を撃ちまくっていると、気付けば残りの血腫は数えられるほどになっていた。おろろ、もっと長期戦になると踏んでいたが案外なんとかなるもんなんだな。破で地面も抉り取って奴らが産まれそうな肉の地面とかをこの一帯無くしたから援軍もないし。安心安心。と思っていると残った血腫たちが何かしているようだ。何かと思えば自らの身体を他の個体とくっつけてそれから吸収されてって……あ合体か。確かにどの個体も歯応えがなかった。無双ゲーにも中ボスぐらいいるものだ。少しぐらいはいいだろう。
そう思い自分の身長の8倍になる血腫に向き合う。見た目はさっきと比べ、グロテスクというかむしろより人らしく肉がついていてカッコよく見えてくる。っと、こっちが分析してる間大きく振りかぶってやがる。だったらこちらも振りかぶって……
「パンチのパワー対決だ!!」
お互いの拳が触れ合った瞬間に勝負は決まった。一瞬で大きい腕が弾け飛び奴は倒れる。まぁ大きくはあったが雑魚を混ぜて増えたパワーなんて俺に比べたら……ってなるよな。中ボスともいえないなこれじゃ。
「さてと、駆除もできたし……お、この肉の森を切り開いて見晴らしが良くなったおかげか見えた。あれが核か。」
遠くの方500mぐらいのところに赤く光る淡い光を発し心臓のように鳴動している球体があった。あれが最終目標。ようやく見えた。じゃあ次は……
「ヌシ、か。」




