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 少しの間、フルト達からの仕事の報告を聞いた。


「なるほどな。グリードモールは居なかったが、掘って出来たトンネルが小型モンスター達の侵入経路になってて、それを塞いだのか」

「あと、念のためルッカが忌避剤を撒いたんだ。ただ、トンネルがどこから繋がっているかは分からないから、グリードモールの出発地点自体に忌避剤を散布出来た訳ではないんだ」

「そこはしょうがないな。少なくとも西自治区に小型モンスターらは寄りにくくなっただろう。モールに関しては別の地点に現れるかもしれんが」


 俺らと同じく報酬金は後日貰う事になっているらしく、討伐したモンスターの数からして合計で大体1,200ゴールド近くになるらしい。


「そっちはどうだい?」

「私達もバッチし! えーっと、ゴブリンが19体で、オーガが三体だから······大体900ゴールドくらいかな。それで、依頼達成と合わせて1,300くらいだね」


 俺らの合計は大体2,500くらいか。共益費に700ゴールドくらい入る。順調な稼ぎじゃないか。


「しかも午後は一番稼げそうな仕事が待ってるしな。今日だけで数千ゴールドだ。そろそろ昼飯にして午後に備えよう。ナズとヴィオラは?」

「中で食事の用意をしているよ」

「げっ、ヴィオラが料理してんのか?」

「何か問題なの?」


 あの脳筋がまともな飯を作れるか心配だ。




 ややして。

 やはりと言うか、思った通りというか、出された料理はちょいと個性的であった。


「おいおい。こりゃあ丸焼きか?」

「ステーキですわ~! やはり仕事の活力を得るためにはこれが一番ですわ」


 まあ、不味くは無いんだが、肉にスパイスと塩をたっぷりまぶして炙り焼きにしただけの料理だ。ナズが付け合わせにサラダを挟んだパンを作ってはくれたが、メインディッシュは豪快だ。


「お嬢様の食い物にしちゃあワイルド過ぎやしないか?」

「あら、この私がこの手で料理を作って差し上げたのよ? むせび泣いて感謝の言葉を喚き散らしながら食べる事を許可しますわ」

「ナズ、お前が一緒に居て助かったぜ。でなきゃ肉一色だったからな」

「あはは······」


 苦笑いするしかないナズ。


 他のメンバーも少し戸惑っていたが、別に不味い訳ではないので、皆でナイフを使いまわしながら少しずつ削ぎ落として食べていく。


 ちょいとワイルドだが、確かにこれなら力が付いて午後の仕事に気合いが入りそうだ。



「それにしても、お前のその格好······」

「あら、何か問題ありまして?」


 ヴィオラの服装は今朝までの高価なドレス姿ではなくなっている。

 軍用の黒いパンツとブーツを履いていて、上はこれまたお嬢様とは思えないハンター用の渋い灰色のジャケット。


 しかも髪もリボンで縛り上げて邪魔にならないように纏めている。


「とても伯爵家令嬢とは思えん姿だな」

「まあ、身に付ける物が何であれ、この溢れ出す気品に変わりはありませんわ。それが分からないとは、やはりお下品で見る目無しですわ~!」


 たしかに、格好がどうであろうと中身は本人のままだ。安心したぜ。

 しかし、スタイルが良いからなのか、男装みたいな格好なのにサマになってる。


「ん? その活動的な格好をしてるのは、午後の仕事に行く気まんまんって訳だな?」

「当たり前ですわ! この私がきっちりお留守番してあげたのだから、午後は当然主戦力として出撃ですわ!」


 まあ、元々その予定だったしな。


「さて、それじゃあメンバーを決めないとな。まず、ヴィオラは確定だ。念のため俺も行こう。後は······」


 どうするか。

 ターナには解体作業があるし、フランには俺の代行として、ここで切り盛りしていて欲しい。後でシヴィが来るかもしれないし。

 ルッカは体力的に疲れてるだろう。フルトにはターナの解体作業に付いて、素材の選別をして欲しい。


 となれば······。


「よし。ナズ、出番だ」

「えっ? わ、私ですか?」


 びっくりして声を上ずらせるナズ。


「で、でも、私なんか居ても足手まといになるんじゃ······一番弱いですし······」

「ナズは補助魔法の類いはそこそこ得意だったよな?」

「あ、はい。完全な後方支援担当でしたから」

「ならちょうどいい」


 ヴィオラのとんでも馬鹿力を活かすには補助魔法が有効だ。

 それに、ポーションのスペシャリストのナズならヴィオラがバテにくくなるポーションを的確に飲ませる事も出来るだろう。


「戦闘は俺らがやる。ナズは主にヴィオラの補助をしてくれ」

「あら、補助が必要なのは貴方じゃなくて?」

「もちろん俺も助けて貰う。が、そこはレディファーストだ」

「まあっ、貴方の口からそんな紳士的な言葉が出るなんて! 明日は雪ですわ~!」


 晴れて午後の出撃メンバーは決定した。






「それじゃあ、三人とも気をつけてね」

「ナズさ、ハンカチ持っただか? 水筒持っただか? お腹痛かったりしないだかや? 足が痛くなったりしたら無理しないでトレイルさんにおぶってもらうだよ」

「だ、大丈夫だよ~ターナちゃん。私、子供じゃないんだから」


 昼飯も終わり、十分に食休みも取ったので、俺達も仕事へと出発する事にした。


「それじゃ行ってくる。フラン、ここは任せたぞ」

「りょーかいっ。ヴィオラさんとナズちゃんも気をつけてね」

「うふふ、お土産話を楽しみにしていて下さいな」

「お二人の足を引っ張らないように頑張ります」


 ナズは久しぶりの実戦に緊張してるようだったが、もう一方のメンバーは余裕たっぷりに微笑んでいた。


「心配要りませんわ、ナズさん。貴方の横には気高き最強の戦士がついていてよ。フェンリルであろうとケンタウロイであろうと、ワイバーンであろうと赤き稲妻によって討滅されるでしょう。それに······。ほんのおまけ程度ではありますが、トレイルさんと言うナイトも居てよ~!」

「俺ら二人が居れば大抵の相手は問題ない。安心してサポート頼むぜ。俺もおまけなりに頑張らせて貰うからよ」

「い、いえっ、トレイルさんがおまけだなんて!」


 慌てふためくナズの一生懸命さが微笑ましかった。


 それに、肩の力が程よく抜けたようなので、そこは良かった。


お疲れ様です。次話に続きます。

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