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ジャイロックバードを討伐した後も、近い場所に居たモンスターを何体か討伐し、俺とフランは村へと帰還した。
待ち構えていた野次馬が、俺らを出迎えるかのように寄ってきた。
「おお、戻ってきたか。どうだった?」
「かなりの数を駆除した。途中からは数えてないが、50近いだろう。それに、原因となっていたモンスターも討伐済みだ」
「原因?」
俺はジャイロックバードの事と、昔の事例の二つを説明した。
「なるほど。そのモンスターから逃げる形で村周辺に大量に来てしまったという訳か」
「まあ、その辺の生態は分かってないが多分そうだろう。少なくとも俺らの村はそれでモンスターが少なくなった」
「それなら期待出来そうだ。さ、村長の所へ報告しに行ってくれ」
ざわつく村人らの目を潜り抜けて俺とフランが村長宅に戻ると、村長が立ち上がって迎えた。
「おおっ、どうだったね?」
「とりあえず周辺のモンスターを数十体討伐して、森の奥に居た上級モンスターを一体討伐した」
先程と同じように説明すると、村長は期待に目を輝かせていた。
「もし本当にそれで解決したなら、こんなに嬉しい事は無い」
「ああ。そこで料金の件なんだが、今回はとりあえず討伐したモンスターの数で請求する。そんでもって何日間かモンスターの襲来が無くなってるようなら依頼達成料を後日請求って事でいいか?」
「分かった。ちなみにいくらくらいだ?」
「討伐数は途中から数えてないからな。今回は確実な数の50にしとこう。一体30として1,500ゴールド。サイス・マンティス、ブルーピットは中級モンスターだから二体で300ゴールド。さらに上級モンスターが一体2500ゴールド。だから占めて4,300ゴールドだな。依頼達成の場合は追加で200ゴールド」
「おお、そのくらいな安いものだ。少し待っててくれ」
あらかじめ用意していたのだろう。村長は金貨が入った袋を取り出して勘定して差し出してきた。
「予算は15000ゴールドだったからな。相当安く済んで助かったよ」
「そんなに用意してたのか」
「以前来たハンターは二十体くらい倒して3000ゴールド持っていったからな。それに比べれば破格さ」
「そうか」
もしかして俺の料金設定安すぎるか? 活動を続けながらその辺りも考えた方が良いかもしれん。
「それじゃあ今日のところは俺らは帰る事にするぜ。二、三日したら様子を見に来るから、そん時に残りの報酬を頼む」
「分かった。今日は大変だったろう。どうだい? 良かったらこの村でゆっくりしてかないか?」
「ありがたい誘いだが、家に待たせてる奴らが居てな。またの機会にさせてもらうよ」
「なら、見送ろう」
そう言って痛みに顔をしかめて歩き出す村長をフランが止める。
「いいですよ、怪我されてるんですよね? 無理しないで休んでてください」
「すまない。ロクに礼も出来んで」
「そんな事ないさ。報酬金がたっぷりだ。これだけでもこっちは満足だ。モンスター出なくなるといいな」
「ありがとう、久しぶりに希望が持てたよ」
何度も礼を言う村長に別れを告げて家から出る。
大金を抱えて村長宅を出た後、村の出口に差し掛かった辺りで興奮した村人らに取り囲まれた。
「おい、アンタら凄いな! 今森ん中に入って確認したらとんでもない事になってたぞ!」
「本当にたった二人であれだけのモンスターを倒したのか?!」
「50体なんて聞いた時は大げさに話を盛ってるのかと思ったが、ありゃ100体倒しててもおかしくないぞ!」
「すげえっ! 凄腕のハンターだな!」
「俺らはハンターじゃないぜ」
場が暖まっていたので、宣伝もしておく事にした。
「俺らはモンスタースレイヤーだ。南にあるパデスの町の北西森の境に店を構えてるぜ」
「モンスターのお悩みがあったら何時でも来てくださいっ! ケンタウロイ、デスウルフ、ヴェスパーダ、何でもござれっ!」
フランもノリノリで決め台詞を残して、俺らは称賛の声を浴びながら村を出た。
「皆に喜んで貰えて良かったねトレイル!」
「ん? ああ、まあな」
「あ、お金数えてるー。もう、現金主義ー」
「そりゃ金の方が大事だからな」
「皆に褒めて貰えて嬉しくないの?」
「前にも言ったろ? 報酬に称賛や尊敬は含まれてない。罵られようが金さえ貰えりゃ十分」
「もう、ドライだね」
「······だが、まあ。悪くはねえな。喜ばれるのも」
「あ、ツンデレトレイル~」
「やかましい」
「ん?」
そうやって二人で盛り上がってると、何者かの視線が後ろから注がれてるのを感じた。
視線の元を見てみると、村で俺らに突っかかってきたエルフの少女が木の陰からこっちを見てた。
「あれ、あの子······」
「············」
少女は何か言おうとして、すぐに俯いて走り去って行ってしまった。
「あ、行っちゃった。悲しそうな顔だったね······」
「あれだろ。ツンデレってやつだろ」
「違うでしょっ」
何か俺らに言いたそうな顔をしていたようにも感じられた。フランの言う悲しい感じで。
「謝りに来たのかも······」
「かもな。だが、まあ謝る必要もないが。俺らへの報酬には『謝罪と懺悔』も含まれてない」
「うん。またお話出来る機会があれば良いんだけど」
「なら3日くらいしたら一緒に来るか。様子見と報酬の受け取りをしなきゃならんからな」
「うんっ、そうだね」
その後、俺らは通りかかった商人の馬車に乗せてもらいパデスの町へと戻った。
家に着いた頃には夕焼けがほんのりと雲に滲んでおり、その光景をナズとターナの二人が楽しそうに見て待っていた。
四人揃って美しい夕焼けを眺めながら夕飯の支度にかかり、俺は今日の事をぼんやりと振り返った。
充実した気分に満ちた一日だった。
お疲れ様です。次話に続きます。




