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本日3本投稿予定です。

 

 薬の調合には、本来なら様々な要素が必要らしい。


「その、おかしな話なんですが、薬を作るための薬とかも必要なんです。最新の専門用語では『化学反応』とかって呼び方もあるのですが、素材や薬品を一定の割合や条件で混ぜ合わせると、その性質が変化して新しい成分が──」

「すまん、ナズ。俺には頭の痛くなる話はナシだ。もっと分かりやすく」

「ご、ごめんなさい。えっと······簡単に言えば料理みたいなものです。どのスパイスがなんの食材に合うかとか、どういうやり方で調理すれば美味しくなるかとかみたいな」

「おお、腹減った~」

「もう、トレイルったら。ちゃんとナズちゃんの説明聞こうよ」

「いや、今ので大体解った。つまり、本来ならもっと材料とか道具とか、あるいは材料の状態とか色々な要素を揃えないと魔法薬は作れないところを──」

「はい。私のスキルで原料と道具さえあれば製薬出来るんです」



 そう言いながら、すりこぎで皿の中の薬草をかき混ぜていくナズ。体からほんのりと滲んだ光が、すりこぎを伝わって磨り潰した薬草に入っていく。


「今、私のスキルによって薬草はそれぞれ最良の状態になっています。例えばこちらのアイフカ草は本来なら乾燥させなければその成分が抽出しずらく──」

「ナズ、分かりやすく」

「えっと······摘みたての茶葉を紅茶の葉にしてる感じです」

「紅茶飲んだ事無え······」

「あ、あぅ······」

「コラッ、トレイル!」


 ポカッ。


「ナズちゃん困ってるでしょう!」

「すまん、ナズ。俺の事は無視して続けてくれ」

「す、すみません。そうします」



 俺にはよく理解出来なかったが、ナズのスキルというのは、あらゆる過程や前段階をすっ飛ばして薬を作れるというものらしい。


 当然、それだけ製薬時間は大幅に短縮される。効率的どころの騒ぎではない。



 ナズが手を止める。


「出来ました。後はこれを煮るだけです。水分だけは私のスキルでも省略出来ませんので、鍋と火は必要になっちゃいます」

「おし。外で仕上げるか」


 外に出て、竈に薪をくべて火を点け鍋を置く。水はまた近所の井戸から汲んで来た。


「ここの井戸も枯れてはないみたいだし、復活させてえな」

「うん。多分、ヘドロとか落ち葉とかが溜まってるだけで水はあると思う。今日はまだ二階の掃除があるけど、近い内にやりたいね」


 そうやって今後の方針を固めている内に、すぐに鍋がゴポゴポと音を立て始めた。


 ナズが磨り潰された薬草達を入れていき、ゆっくりとかき混ぜる。


「おお、ポーション特有の異臭がしてきたな」

「私はハッカみたいで好きだけどなー」

「お前は薬中だなフラン」

「違うもん!」


 鍋をかき混ぜている最中も、ナズの体からはスキルの光が注がれ続けていた。



 十分くらいしてから······。


「出来ました。完成です」


 ナズの宣言と共に、鍋を火から下ろす。中には暗緑色のドロドロした液体。


「うん。ポーションだな。だけど、少しドロドロしてるな?」

「こちらは原液ですので。これを布で()した物が一般に出回るポーションです」

「なるほど。よし、粗熱をとったら仕上げるか」



 少し冷ましてから濾し、あらかじめ用意しておいた空のビンに入れていく。おあつらえに、規格がポーションのビンと同じだ。


「よし。ざっと5本か。ナズ、ちょっと待ってな」

「? はい」

「すぐ戻る」



 ナズとフランに待っててもらい、俺はさっきの薬屋に戻った。



 ──カラン、カラン──


「いらっしゃ──おお、あんたか。また何か用か?」

「ああ。さっきの話だが、ここでは薬の買い取りもやってるんだよな?」



 ここを出る時。店主のオヤジに幾つか質問したのだ。この店では薬の調合だけではなく、外部から薬を購入しているかどうかと。


『そりゃ、買ったりもするさ。常備しときたい薬や不足してる薬とか。あとは、俺が作れない薬とかだな。自慢じゃないが俺は薬屋でありながら調合はイマイチなんでな』



 こう言った回答を得られたのだ。


「この薬を売りたい。回復ポーションだ。天然素材で作った奴だし、腕の良い奴が作った」

「なんだって? あんた調合も出来るのか?」

「俺の知り合いが作ったんだ。買い取って貰えるか?」

「ふうむ。5本か。どれ······」


 オヤジはビンを透かしてみたあと、何やら変わった道具を取り出した。一見すると干し肉か何かのように見える棒だ。


「これはな、キマラの筋繊維で作られた杖だ。特殊加工してあって、手入れさえすれば腐る事もない。これにこうやってな」


 ナイフを取り出して杖を傷付ける。


「それで、これをポーションに入れる」


 ポーションに濡らした杖を引き揚げて見つめるオヤジ。すると──


「お、おお。もう回復反応が出てる。うん、これは高級ポーションに劣らない一品だ」


 そしてまた別の似たような道具をいくつか出してポーションに浸していく。


「うん、毒反応なし。その他の有害反応も無しだ。問題ないな」


 そして最後はペロッと自分の舌で確かめてから、頷いて言った。


「ぜひ買い取らせてくれ。一応、反応からして良質であるものの普通のポーションのようだからレートはそちらで計算させて貰うがいいか?」

「ああ、それで頼む」


 こうしてまた計算が行われ──



「少し上乗せして1本25ゴールドで125ゴールドでどうだろう?」

「125ゴールドか」


 通常のポーションの仕入れ価格が10~20ゴールドなので、高めの値段だ。


「悪くないな」

「よし、取引成立だな」




 こうして、俺はまたもや現金を手に入れて帰還する事になったのだった。



お疲れ様です。次話に続きます。

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