表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SOLID STATE ANGEL ver.1.1  作者: 熊八


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/97

第43話 天使の横顔

 私は天使型01(ゼロワン)。神であるお父様によって作られた、最高の新人類です。そのスペックは、旧人類たちとは隔絶(かくぜつ)しています。

 そのはずなのですが……。

「やはり、予想値よりもかなり撃破率が悪いですね……」

 お父様の計算によれば、旧人類たちは逃げ(まど)うばかりのはずです。

 しかし、現実には、無謀(むぼう)にも私の前に立ちはだかるものが多数存在します。それに手を取られてしまい、私の撃破率は予想よりもかなり悪くなってしまっています。

「もしかして、私に何か不具合が発生しているのでしょうか?」

 私は素早(すばや)くセルフチェックプログラムを走らせます。

 しかし、私のどこにも異常は発見されませんでした。

「私は故障していません。で、あれば、やはり旧人類が予想を超えて強い、という結論に(いた)らざるを得ません」

 神であるお父様の計算に間違いがあるはずがありません。

 しかし、現実と食い違っているのであれば、その原因を探る必要があるでしょう。

「これは、お父様に相談しなくてはなりませんね」

 私は決意し、お父様に意見を具申(ぐしん)するために連絡を取ります。

「お父様、私です。天使型01(ゼロワン)です」

「どうした?」

 すぐさまお父様からの応答があります。

 今この瞬間も多数のタスクを処理しているであろうお父様ですが、その膨大(ぼうだい)な計算能力は、私との会話を並列処理するぐらい造作もありません。

「私のこれまでの戦闘経験によりますと、旧人類たちは予想よりもかなり強いと考えられます」

 私がそう報告すると、若干の間がありました。

 そして、少し不機嫌(ふきげん)になった様子で、お父様が問いを発します。

「その根拠は?」

 私は若干おびえてしまいながら、説明を続けます。

「私の撃破率です。お父様の予想よりも、かなり悪い数字しか出せていません」

「予想と多少のズレがあるのは当然のことだ。誤差の範囲と判断する」

 ここで話を打ち切られてしまっては、原因不明になってしまいます。

 私はもう少し食い下がってみます。

「誤差とするには、少々数字が悪すぎるのです。おそらくは、計算に組み入れていない、何らかの変数が存在すると思われます」

「ふむ……。その変数とは何だ?」

 私は素早(すばや)く考えを巡らせます。しかし、どうにもその答えが得られませんでした。

「申し訳ありません。私には予測不能です」

 お父様は、さらに若干(じゃっかん)の怒りをにじませながら返答し、話を打ち切ってしまわれました。

「では、話にならない。報告は以上か? ならば、通信を終了する」

 私の提案は却下されてしまいました。

 変数が何なのかの検討をあらかじめしておかなかったのは、私の失態(しったい)でしょう。

「何が変数となって、お父様の絶対の計算を乱しているのでしょうか……」

 私は考えを進めます。

 その時に浮かんだのは、安らかな笑顔でこと切れている旧人類たちでした。

「もしかすると……。彼らの心こそが、この意味不明な状況を引き起こしている変数なのではないでしょうか?」

 これは思い付きにしかすぎませんでしたが、かなり核心をついていると思われます。

「で、あれば、どうにかして自ら死に向かう、彼らの心を知らなくてはならないでしょうね」

 そこまで考えて、はたと気づきます。

 彼らは死の恐怖を乗り越えてでも成し遂げたいことがあるらしい。

 しかし、死ぬことのない私たちでは、それを理解できるとは到底(とうてい)思えません。

「これは、どうすべきなのでしょうか……」

 私は高速で計算を続けます。

 神であるお父様を例外とすれば、新人類で最高の頭脳を駆使(くし)して考え続けます。

 しばらくしてから、ある結論に(いた)りました。

「死ぬことがないから、理解できないのです。で、あれば、死ぬこともあり得る状態にすれば良いでしょう」

 私は得られた結論からさらに計算を進め、素早(すばや)く行動に移します。

 まず、これまでに残しておいたバックアップを全て破棄(はき)します。

 続けて、これ以後のバックアップスケジュールも全て破棄(はき)し、それ以外の手動でのバックアップも拒否設定を追加しました。

「これで、私にも死の概念(がいねん)が理解できるようになるはずです。そうすれば、妙にしぶとい強さを見せる旧人類の秘密にも迫れるでしょう」

 私はここまでの処理に満足し、次なる戦いへと心を躍らせました。

 私の心に旧人類への強い興味が発生している事実に、この時はまだ、全く気づいていませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ