ブラぐらいつけるだろ?
「ひっ!!
な、なんやねんっ! お前っ!!」
感動の再会に左近司君は、喜びの声を上げた。
でも・・・。
「なんやねんって失礼じゃないかっ!!
俺だよ、俺っ!!」
・・・・
・・・・・・間・・・・・
「知るかぁ~っ!!
新手の詐欺師か、お前はっ!!」
左近司君は少しの間を置いて、急に暴れ出して後ろから抱きついた俺を振り払うっ!!
「あんっ!!」
ラガーマンの屈強な肉体に振り払われて、華奢な俺は床に膝を着いた・・・・。
なんちゃって・・・・・。
いや、わかるよぉ?
男の子ってこういうの好きだよね。か弱い仕草って。
俺は男の全てを知っている。故に俺は、男の心理を自由に操作して操ることができるのだっ!!
更に俺は揺さぶりをかけようと、体をねじってシナを作る。
頭をややもたげさせるとサイドが顎下に架かるほど長い俺のボブカットが簾の様に俺の顔にかかる。目が透けて見える形になり、まん丸で大きな俺の黒い瞳は左近司君を見上げるために必然的に男の子が大好きな上目遣いになるのだった。
更に頭をもたげたことにより自然と俺の白い首筋が露になり、色気を誘う・・・・。
これが何より色っぽい姿であることを俺は知っている。
昔の人は言いました。
乳が無い娘は、反れっ!! と。
そう、曲線美は作ることができるのだっ!!
男は本能的に稜線美を目で追うように出来ている。そうして対象に性的認識を覚えるのだ。
そして・・・男の視線は野性的オスの本能に従って、まず顔から次第と下へと降りて行き、次第に胸元へと・・・
胸元へと・・・・・・?
ああああああああっ!
し、しまったっ!! 今は冬だから学ラン着ている俺は胸チラが出来ないっ!!
仕切り直しだっ!! 仕切り直しだっ!! 仕切り直しだっ!!
俺は慌てて胸チラが出来るように学ランとワイシャツを脱ぐっ!
「何、いきなり脱ぎだしとんねん、オメーはっ!!」
左近司君は大声を上げて狼狽えた。
もうっ!! 全く、初心だなぁ。
左近司君は・・・・・。
そんなんじゃ、女の子にモ・テ・な・い・ぞっ!!
「やかましいわっ! ボケっ!!
俺が女に不自由するツラに見えるかっ!!」
・・・・えっ!!?
お、俺の心が伝わった?
以心伝心・・・・・・。やはり、俺達は運命の恋人。口に出さずとも気持ちは伝わってしまうんだな。
「違うわっ!! ボケっ!!
己は心の中の声が駄々洩れなんじゃっ!! 自分でペラペラ喋っとったやないかっ!!」
・・・えっ。そ、そうだったっけ?
い、いけない。いけない。
「あの。左近司君・・・・。もしかして、さっきの曲線美の話も・・・・。」
「しっかり、喋っとったわっ!!」
「が~んっ!!
は、はずかしいっ!! もう、お嫁に行けないっ!!
左近司君、責任取ってお嫁にもらってっ!!!」
「わははははっ!! 知るか、ボケ――――っ!!」
ボケまで言わなくても・・・・。くすん。
折角出会えた俺の天子様にボロカス言われて、俺のメンタルズタズタ。
おまけに左近司君は、追い打ちでわけのわからないことを言ってきた。
「大体、なんでブラジャーしてんだよっ!! テメーはっ!!」
・・・・・な、なにを喋ってるんだ? 左近司君は・・・・・
ブラぐらい着けるだろ・・・・だって、だって・・・・
「ブラ着けてないと、オッパイが擦れて痛いんだもん・・・・・。」
俺の返答に左近司君は「・・・・・はぁっ!?」という素っ頓狂な声を上げるのだった・・・・。