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俺の天使が現れたっ!!

俺の名前は当国とうごく みちる

最初に断っておくが、俺はホモではない。

見た目の良さから女子からはそこそこ人気があるし、女の子も好きだ。

それに俺はイケメンが好きだが、男なら誰でもいいビッチではない。

俺はただ単に・・・・・・


ただ、単にイケメンが好きなだけだっ!!


そこにやましい気持ちはない。

別に肉体関係を求めているわけではないが、ちょっと壁ドンとかお姫様抱っこしてほしいだけだ。

痴情のもつれでヤキモチ焼かれて壁に追い詰められて詰問とかされてみたい。

周囲の目を気にせずに堂々とお姫様抱っこして俺を連れ去ってっ!! そして俺は衆目に晒される羞恥で赤面しながら、ジタバタしてみたいっ!!


そうっ!! まるで少女漫画のヒロインのような体験がしてみたいだけなんだっ!!

お前にもわかるだろっ!?

なに、わからない? 

そうか・・・まぁ、気にするな。君が悪いわけじゃないさ。

いいんだ。そんなシラケた顔するなよ。

みんな違ってそれでいいんだ。俺はこの世の真理がわからない君のことを認めてあげるさ。


俺は寛大なのだ。


そんな寛大な俺の前に突然、天使が現れましたっ!!

天使の名前は海山みやま 左近司さこんじ

3学期の初めに突如現れた彼はちょっと古風な名前をした長身イケメンの転校生だった。

先生に自己紹介を促された彼は、ハスキーな低い声で甘く囁くように短めに自己紹介した。


「大阪から来ました。海山みやま 左近司さこんじです。

 ラグビーやっています。よろしく・・・・。」


やや緊張した面持ちで完璧な自己紹介をした。

たった、2行程度に収まる短い挨拶ではあるが、その中からでも沢山の情報が俺を含む同級生に与えられた。

・実家が金持ちの事

・実は超能力者な事

・実は俺のような美少年が好きな事

・しかも前世では俺と恋人同士だった事。

・前世の記憶を頼りに俺を探し求めていた事


その全てがたった2行で済む自己紹介で俺に伝わってきたっ!!

なに? そんなこと一言も言っていない?

うるさいね、お前。機転ってものが利かないの?


人様に「あれがこう」、「これはこう」と、一から十まで説明される前に相手の言いたいことを察知する能力が人間関係を円滑にするんですよ?

それを世の人、機転が利くという。


俺は優秀で美少年だし、彼にとってのいい妻になりえる存在だから、彼の言うことは全てわかるんだよっ!!

わかった?


しかし、これは大変なことですよ?

このような理想的な彼氏が現れたとなれば何としてもお近づきにならねばっ!!


お昼休みになると俺は早速彼に近づく。

後ろから「えいっ!!」と、抱きついて耳元で囁くように話しかける。


「初めまして左近司さこんじ君っ!! 俺、当国とうごく みちるっ!!

 君の前世の恋人だよっ!!」


その時、左近司君は、前世からの感動の再会に「ひっ!!」と、声を上げたのでした・・・・・。

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