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ブルーメイ  作者: 雄太
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観覧車

 


 翔吾は玲那の手を捕まえ絵面だけなら馬鹿ップルのズブズブな絵のように見えるが、翔吾の顔は嬉しくて憎い顔をしている、そして未だ連行されている。


 翔吾達は外のエリアに出てきてまだ冷たい潮風が顔を切り裂く、刹那、玲那のロングの髪の毛が風で一気に舞い上がる、


 うわ〜、翔吾はおもっきり口に出していた、それを取り繕うように適当な本心を並べる。


「うわ〜、・・まるで映画か何かですね、なんでこんなのでも絵になるんだ理不尽だ」


 なんで世の中はこんなにも理不尽だなんだろうな、コツコツ生きても一発逆転で負ける、はぁ、なんでだろ〜、


「私、かわいいから」


 玲那は振り返えるとフッと顔が笑い、何事も無かったように首元にかかった髪を手で払う。


 翔吾は瞼がピクピク動くのがわかった、


「うわ〜、なんかやってますね、こういう場面に慣れてる、養殖もんですね」


「悪かったわね、」


「今のは天然もんですね、本心がうまく表現されていました、しかしその中には確かな悪意が感じられました。」


 特に俺に対しての、


「シャチの餌にでもなりたいのかしらね、」


「いえ、なりませんよ、」


「そう、どっちでも良いから行くわよ、」


 そう言い玲那はまた先に歩き出し、翔吾も足を速めて玲那の隣に並ぶと恐る恐る玲那の細い手を握る、玲那は何も言わずにより強く握る、


「痛い!」

「あら、ごめんなさい。急に触られたから

 、つい」

「わざとでしょ」

「じゃ、この手、離す?もうこんなチャンス無いかもよ〜」

「離しませんよ、一生どこまでも」

「キモいそれってトイレにまで着いてくる気?」

「訳ないでしょ!そのぐらいの常識はありますよ」

「行くわよ、早くして」


 玲那はまた歩き出す。

 翔吾は未だに拘束されている。


 風が耳を切り裂く、いつも通り話は弾まない、なんな浮く気を察してか、翔吾がまた地雷原を歩く。


「そういえば、玲那様はどこににお住まいで」


 中途半端な敬語を使い、それらしく、家の場所を聞きだそうとする翔吾だがしかし。


「日本」


 あえなく撃沈。しかし諦めない、まだ勇敢にも立ち上がる。


「日本の?」


「当ててみて、うちに来たいんでしょ、ヒントね私マンションに住んでるの」


「それは分譲?」

「そうよ、現金一括、営業マンの前に8000万円そのまま置いてあげたわ」


 うわ〜大変だな営業マン、どんな光景だよ8000マンそのまま置かれるって、


「それはいつ頃の話ですか?」

「2年前よ」


 2年前、なんかニュースで見たような気がする、最高10億越えのマンションが販売されたって。言っちゃ悪いけど朝早く仕事に行って夜遅く帰ってきて、また翌日、目を殺しながら仕事に行く、そんな家に数千万よくかけれるな、まぁ、そんな高いの買えるならお昼に仕事に行って3時には帰って来れるお上さんか、なんの話だっけ、そうだ、確か、白羽根、だっけな。その高級マンション、


「それって白羽根にあるニューホワイトウイングでしたっけ。」

「なんで知ってるの、恐い、」


 玲那はすぐに距離を取る、


「に、逃げるなよ、わかりやすいヒント出すのがいけないんだろ、」


「チッ、もし来るなら目隠しはしてもらうから」


「なんか、ピーな雰囲気がありますね」


「海に沈めようか?やってみる?酸素ボンベつけてあげるからそれとオモリも40キロぐらいの付けるから」


「それって玲那様の体重?」


 玲那の額にはわかりやすく怒りマークが浮かぶ


「死ね、やっぱりポンベも要らないわね、そうね、スカイダイビングしてみたら?パラシュート無しで」


「死にますって、」


「大丈夫よ、海にうまく落ちれば助かるわ、全身骨折するけど、」


「じゃあ、一緒にやりましょうよ、そこまでお勧めされたらやるしかないでしょ、2人でやりましょう!」


「嫌よ、そんな事より、イルカよ翔吾の戯言に付き合ってる暇はないから」


 ●


 イルカとの写真会、と書かれた看板の前には飼育員が2人イルカを連れ、一緒に泳いでる。


 2人で写真を撮り終えたあと、帰ろうとしたが玲那がお花を摘みに行ったため翔吾はただ茫然と待っていたらいつの間にか玲那様は自前でお金を払いウエットスーツを着用している。凹凸がすこしだけ分かる。


 ほらね〜こうなると思った、今日無駄にメイクが薄いし、これすっぴんならやばいな、なんでこの人ノーメイクでこんなに輝くんだろうな、芸能人独特の何かあるのか?危ない薬物でもね。


「化けの皮が剥がれますよ玲那様」


「大丈夫よこれノーメイク、メイクしなくても綺麗でしょ。私」


 目元を擦ってますもメイクがズレる事はないノーメイクみたいだ。


「で。イルカに振り回される役ですか?そんな役あるんですね、」


「翔吾はイルカに突かれる役ねそして海に引き摺られるのそれを私が颯爽と現れ助ける、どう?」


「で、俺は写真撮れば良いんですか?」  


 玲那の脚本は却下された。


 翔吾は玲那から渡された無駄にデコられている、携帯を持ち、海に投げる真似をする。


「投げたら殺すよ。それに中身見ないでね、見たら翔吾。消されるよ、この世から良い?」



 そう脅しをかけ、玲那は飼育員の元で簡単な講習を受ける。


 落ちてもイルカが拾ってくれるよ、水没するけどね、まぁ、俺のじゃないし事故にすればいいか。


「右の、頭先がが少し白い子がミルクです、

 左の人懐っこい、

 この子がミント、当水族館のエースです。


 それではまず簡単なものからやってみましょう、両手をこう言う感じにあげてください、」


 飼育員さんが両手を万歳みたいな感じにあげる。

 それを玲那は見よう見まねで、同じポーズを取ると2頭いるうちの左のイルカが泳ぎ出し潜水し、・・・・・一気に水面から飛び出し上に設置されたボールを尻尾で蹴っ飛ばす。


「・・・・・・おぉ!、イルカがすごいのか。玲那様がすごいのかどっちだろうな、」


 玲那とは反対側に立っている、翔吾はそう呟き、幸にも玲那とは距離が離れていて、そしているかの着地音でレナの元には声は届いてない、


「では次は左手を挙げて円を描くように回してみましょう、どうぞ」


 また、玲那は飼育員の見よう見まねで同じよたら、2頭とも動き出し、独特の緊張感が漂う。


 海面が盛り上がり、水飛沫が上がると、


 ミントは高くジャンプし

 ミルクはミントより少し低くジャンプして

 そのまま、水中に戻っていって飼育員の元に帰ってくる。


「では次です。左手を前に出してみてください、こんな感じに。そうすると」


 ミントが水面に顔を出し鼻を手を押し付ける。


「触れるの?」


「ええ。どうぞ、」


 飼育員にそう言われて玲那は同じように手を出すと


 ミントが一度潜り、レナの前に出てくる。


「柔らかい〜、何これ、可愛い、何この子持って帰りたい〜、」


「右手も同じように出してみてください、」


 飼育員にそう言われ玲那は今度は右手を前に出すとミルクがミントと同じように水面から顔を出し、玲那の手を鼻で擦る。


「すご〜い、翔吾!撮ってる?」


 いつの間にかレナの後ろに立っている翔吾は携帯を持ち出す。


「すいません、撮っていいですか?」


「ええ。構いません、しかしフラッシュは焚かないでください。イルカ達が驚きますので」


「わかりました。」


 翔吾は飼育員から許可をもらい携帯で イルカの写真を撮り出す。


「私も撮ってよ、」


「はいはい。そうですね、」


 翔吾は玲那の左側で写真を撮ろうとするがここは、イルカの水槽、つまり滑りやすい


「え?」


 イルカ達は翔吾が落ちる前に避難し、翔吾の視界が全面空色となり携帯が手から離れる、それを玲那がキャッチし、水飛沫が上がる。


「お、お客様!」


 飼育員が海面に飛び込み助けようとするが、イルカ達が翔吾を突き、背中に乗せて泳ぎ出す、さながらショーのように、翔吾は水槽の真ん中で浮き上がる、


 その後翔吾はイルカに連れられ飼育員に救助される。


「た、助かった、はぁ、」

「あははは、あはは、あははは、何してるなの?馬鹿なの?翔吾、大丈夫、あははは溺れてるの、あ〜面白い、」


 玲那はお腹を抱え大笑いしている。それを溺れかけた翔吾は死んだ目で見つめる、喋る余裕すらない感じだ。


 その後 I LOVE Dolphin と書かれてTシャツを着ていた。


 ●


 日が暮れかけてきた、翔吾達は水族館から外に出て夕陽に向かって歩き出す。

 今日一日、早くも終わるまだ、ついさっきここに着いたような感じがするがもう1日が終わる。


 不思議なことに、朝は足早に水族館に向かって行ったが、この時間になるとこの時間が名残惜しいのか、わざとゆっくりと歩く、


 まだ、終わるのは嫌だ、2人の雰囲気がそう言っている。


「ねぇ、あれ、乗らない?」


 玲那は前に見える観覧車を指差す、


「そうだな、愛でも語り合うか、」


 玲那は顔を少し赤くして、何も答えない、


「え、まさかその気?」

「ダメ?」

「いえ。大丈夫です、乗りましょう!」




 2人はいつの間にか手を繋ぎ観覧車乗り場の前に到着し、2人が乗った観覧車には中も外もハートたっぷりのtheカップルシートだった、


 2人は左側に横並びに座り、2人一緒に海を眺める、息を飲むように夕日で赤く染まる海を、無言で見つめる。


「また、来てもいい?」


 ちょうど頂点に差し掛かった頃玲那が口を開く、


「良いよ、明日でも、明後日でも来年でもその先でも、俺は一緒に居たい、」


 翔吾は手に持っているビニール袋からイルカの形の髪飾りを取り出し、玲那の髪の毛に丁寧に付ける。





「似合ってる」

「ありがとう」





 




 観覧車はゆっくりと周り続ける。




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