アレク&ハンナ
その1時間後、
翔吾は先生から解放されて無事生還した。
登校口でばったり?玲那と鉢合わせした。
「如月、コーヒーでも飲みに行かないか?駅前に出来たアレク&ハンナって言うコーヒー店に」
玲那の前に一歩出て振り返る、
「良いわよ」
「うんうん、そうだよな、お高い如月玲那が・・・えっ良いって?」
「そうよ、行ってあげる、何か不満ある?」
翔吾はほっぺをおもっきり引っ叩き夢じゃないか確認する。
それを玲那は冷たい目で射抜くように見る。
「いいえ、ありません。」
「そう、行ったことあるの?」
「ないです」
翔吾の胡散臭い言動に天を仰ぐ、そんな絵も様になるから不思議だ。
「こう言う時って女性にお金を払わせないわよね」
玲那は知っている翔吾の財布の残高が通常二千円も入っていない事に。
そしてアレク&ハンナのレギュラーコーヒーは580円することに、そこに玲那の好物であるケーキを含めたら・・・。
「そ、その、今お金持ってなくて、すみません」
そういきなりコンクリートの道路に土下座する。
「ふ〜ん、そう、」
玲那の冷たい声が翔吾の耳を切り裂く、そのせいか、目線はずっと玲那の黒い靴から視線を動かせない。
「ねぇ、翔吾、」
玲那は翔吾の前にしゃがみ込み頭をつんつん突く、正常な精神ならばパンツが〜とか言えたかもしれないが今の翔吾には目にはピンクのパンツが入っているが口には出ない。
「はい、なんでしょうか、」
頭を地面に擦り付けるかのように下げる。
玲那は優しい母性を感じさせる声を出す。
「私は怒っていないの、どの道、翔吾がお金持ってないこと知ってるから、それに別に翔吾に払わせる気はないから、」
その声は本当に怒るつもりがないようだ。
「そこのお店ね、私が広告塔しているか無料券ら貰ってアステル国の1号店に行ったことあるの、それでも行く?」
男子が言われたくない言葉トップ10に入る発言をする。
これ結構辛い、行こうとしてお店がもう相手は行っている。
こう言う時、言われた方はよくわからない感情が芽生える。
「・・・行きます、」
翔吾はそう、玲那に届かないほど小さく呟く。
「ん。何て?」
「だから行くって、たとえ如月がマスコットだろうと俺は如月と行きたいんだよいいだろ!」
翔吾は屈辱か何かは知らないが顔を真っ赤にしてそう吐き捨てる。
それを聞いた玲那は、立ち上がり翔吾の手を握る。
「立ちなさい、みっともない」
翔吾はその手に力を入れて立ち上がるが、
玲那は翔吾の左手の支えがなくなった瞬間手を離す。
「うわっ!」
「ふ、ふふふ、大丈夫?」
玲那の表情が一気に明るくなる。
翔吾の顔は呆れたと言っている。
「なんで、手離すんだよ」
翔吾は1人立ち上がり、お尻をはたく、そして玲那の手を握り歩き出す。
「ちょっと、何すんのよ、」
「やられたらやり返す。良いだろこのぐらい記者に撮られても」
「・・・・馬鹿ップルね」
「それ、お前も込みだぞ、」
玲那は翔吾の手をより強く握る。
「離さないでね」
「離さないよ、永遠に、」
●
アレク&ハンナの店内の1番奥の席に通された。
「如月、何飲む?」
翔吾はメニューに目を通しているが全く知らない単語がずらずら並び玲那に丸投げする。
「私はマンデリンね、アステル本店のウドルグって人が絶賛って看板に書いてあったわよ、その人この店の常連なんですって。世界で初めてアレク&ハンナで1000杯飲んだそうよ。」
「へぇ。そうなのすごいなそのウドルグって人、」
誰?その人、知らない。もしかしてこないだノンフィクション小説で見たような気がする。
「そうなのよ、その人ねここの特別会員証を持っているの。それを持っているのは世界でただ1人ウドルグって人だけ」
「へぇ。そうなんだ、じゃあ、俺はブレンドにショコラケーキね、」
翔吾は露骨に話を変えるが効果なし。
「そうなの、私もあと80杯で1000杯に到達するのこれ見て」
玲那はバックから分厚い会員証を取り出してテーブルに広げる。
「うわーすごい、よくこんなに飲めるね、」
棒読みの賞賛だが玲那はそんなことお構いなしに話し続ける。
「でしょ、世界各国で飲んでるからね、そうそう、翔吾は知らなかったわよね、アレク&ハンナはね世界30ヵ国で運営されてね、全店舗制覇したら200杯分の判子が押されてね、そのあとも1杯飲んだら3杯分押してくれるの、それにね月一でね3倍デーもやってるからの私は一回で9杯分飲んだことになるの。」
「そ、そうなのじゃ、頑張って」
「待って、またあるの、これね、同伴者分も押されるの、で今日がその3倍デーなのだから翔吾が行くって言わなくても結局連行されてたのごめんね、」
「なんだよ、結局そうかよ、」
両手を広げ首を振る。
なんだよ結局俺は如月の手のひらの上で遊ばれてただけかよ、
「で決まった?」
「だからマンデリン」
「じゃ店員呼ぶぞ、」
「すいません!」
「ご注文でよろしいでしょうか?」
「はい、マンデリンにブレンド、あとショコラケーキ、」
「それにチーズケーキも、以上で」
横から玲那の声が割り込む。
「かしこまりました、マンデリン、ブレンド、ショコラケーキ、チーズケーキでよろしいでしょうか、」
「はい、」
「少々お待ちください。」
店員はカウンターの後ろに入っていく。
店員さんの声は小さくだが聞こえてくる。
「私たちもいつか。こんな感じでカフェで待ち合わせをする事になるのかしらね、」
玲那の顔には窓からナナメに入る日差しが顔を覆う。
「だろうな、いつか、大学でも行ったら、こんな感じになるのかもな、そして今日のことをブツブツ持ち出して笑い合う、そんな日が来るかもな、」
翔吾は空想の世界に飲まれているがそれを玲那が無理やり現実世界に引きずり戻す。
「笑い合う?罵り合うの間違いではないの?」
そんな嫌味な笑顔を浮かべる。
「おいおい、せっかく良いこと言ったのに、だが思っただろそんな日常も良いなって」
「そうね、良いかも、」
その時店員がケーキとコーヒを持ってくるのが玲那の目には映る。
「おい、目が変わったぞ一気に獲物を見つけたライオンの目にな・・・なぁ、足踏んでる」
「お待たせしました!ブレンド、マンデリン、ショコラケーキ、チーズケーキになります、」
店員はそれぞれの前にケーキとコーヒーを置き立ち去る。
「おい、足踏んでる」
「美味しそう〜食べるのがもったいない」
玲那の目には翔吾など一切映っていない。
ケーキにだけ視線があってる。
「聞いてないよ〜もったいないなら貰うけど」
「ダメ!」
玲那はケーキを自分の手の裏に隠す。
「なら食べれば?」
「うるさい、翔吾にはわかんないでしょこの素晴らしさがわからないでしょ完璧なケーキの素晴らしさに」
「何言ってんだ?良いか、完成したらそこから崩れるんだ、だから少しミスした方がいいんだお前も完璧目指すと仕事消えるぞちょっとウブな方が良いんだ、まぁ、いいや俺は食う」
「待って。貸して」
そう言い玲那の手が翔吾に向かって伸びる。
「お、おいここは公共・・・」
玲那の手はケーキとコーヒーに伸びる。
「何か言った?」
「いえ、なにも」
翔吾そうたじろぐ。
「なぁ、冷める、」
「元からアイスてしょ?」
「なら、ぬるくなる、」
玲那携帯を取り出し写真を取り出す、時々内カメにしてケーキと自分のアップを撮っている。
「なぁ、それのなにが面白いんだ、ケーキにキスでもするのか、面白そうだな関節キスだな」
「気にしないわよ私は」
そうですか。
芸能人 如月玲那は関節キスなんか気にしないんだな。
アレク&ハンナは特殊捜査課47話コーヒー&コーヒー同盟を確認、
決して宣伝などではありません。
ついでに今後もこんな感じの短編が繋がります。