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遠雷。
──ガガガガ、ジジジ……、ザザザザザ……
ラジオはすぐに、ノイズとなった。
「あ」
と声を上げて、紫子さんは、立ち上がる。
それからフラフラ歩き出す。
「ちょっとどこに行くの……!」
瑠奈さんは焦り出す。
けれど紫子さんは、聞いていない。
ラジオの周波数を合わせるように、カリカリキリキリ……ダイヤル回し、歩き出す。
「もう!」
そう、唸ったけれど、瑠奈さんも、実はラジオが気になりだしているのです。
なのでそっと、紫子さんのその後を、そのままついて行きました。
──ゴロ、ゴロゴロゴロ……
「……」
少し雲行きが、怪しくなってくる。
瑠奈さんは、傘を持ってくれば良かったナ……と、少し後悔しましたが、今更取りにも帰れません。
いざとなったら、どこかで雨宿りをするか、コンビニで傘を買いましょう。
それに雷は、まだまだ遠くの方で鳴っている。
ここには多分、降らないだろう……。
そんな風に思いましたから、
瑠奈さんは、紫子さんを追って、
先を急いだのでありました。
× × × つづく× × ×