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郵便受け。
紫子さんは、モジモジ説明をする。
アパートの近くに落ちてたの……って。
「いやいやいやいや、拾ったものは大家さんに届けるのです!」
まさかごみ収集場所で拾ったんじゃ……?
と瑠奈さん思わず思ったけれど、そんなはずはない。
燃えないゴミの日は、まだまだ先なのです。
とにかく大家さんに持っていくにしても、どこに落ちていたか伝えなくてはいけません。
「それはどこにありましたか?」
「……」
ムスッとする紫子さんを引きずって、瑠奈さんはアパートの外へと出ました。
ミーン、ミン、ミーーーン……。
シュワ、シュワ、シュワ、シュワ……。
「うわ。あつ"い……」
思わず唸る炎天下。
さて、どこで拾ったかと聞いてみると……。
「……こっち」
スタスタ、すたすた……紫子さん。
まさかのエントランスへ戻って来て、
「ここ……」
と一つの場所を指さしました。
「……は?」
紫子さんの指さすその先は、
瑠奈さんと紫子さんの部屋の郵便受けでした。
× × × つづく× × ×