暗闇。
──ジジ……、ジ……ゴゴゴ、ガザ、ザ……
「……」
奇妙な音が、紫子さんの部屋から聞こえました。
何かの機械音のようです。
瑠奈さんは青くなります。
だって紫子さんは、機械音痴なのです。
未だスマホすら持っていません。
それなのに、紫子さんの部屋から機械の音がするんです。
それはどう考えてもおかしくて、瑠奈さんは焦りました。
だって、本当に持っていないから。
瑠奈さんは訝しみながら、
──とん、とん……。
トビラをノックしてみました。
──!
すると音はピタリ! ……と止まります。
「……」
瑠奈さんは、そーっとドアを、開けました。
真っ暗い部屋の中、髪のながーい女が一人……
……ってそれは紛れもなく、紫子さんです。
こんな昼日中、カーテン締め切って電気もつけずにいるなんて、何やってるんでしょうか……?
思わず怒りそうになって、瑠奈さんは、ハッとする。
(……あぁ、そう言えば停電してたんだっけ。)
多分紫子さんは、陽の光を遮るために、カーテンを閉めたのでしょう。省エネですね。お利口さん。
思わず怒りそうになったのを反省して、瑠奈さんは代わりに紫子さんの頭を、なでなでしてやりました。
紫子さんはとても嬉しそうに胸を張っています。
……いや、そこまで威張る必要はないんだけどね……?
「ところで、何をしていたの?」
と瑠奈さん。
「……」
紫子さんはムスッとして瑠奈さんを睨みます。
(……さてはよからぬ事を考えてるな)
瑠奈さんはピーンと来る。
手のひら拡げてパシパシッと叩いてみせる。
「何を隠したの? 見せなさい……!」
「……」
言われて紫子さんは泣きそうな顔をする。
いえいえ、騙されませんよ! と瑠奈さん。
紫子さんは、仕方なしに、自分の背中に隠したソレを恐る恐る出しました。
「……?」
それはそれ程大きくはなくて、持ち手があって、ぐるぐるダイヤルがついていて、木の木目が美しい──。
──ラジオ!!
「……いったいこれは、どうしたの?」
思わず聞きました。
だって瑠奈さん、実はラジオ、
生まれて初めて見たんですもの。
× × × つづく× × ×




