停電。
ミーン、ミン、ミーーーン。
シャワシャワシャワシャワ……。
うう。暑い。
暑い暑い暑い。
瑠奈さんは部屋の一室で、唸り声を上げる。
今はちょうどお昼すぎ。
運悪く、一日で一番暑い時間。
瑠奈さんは暑さに悶えて床にへばりつく。
床はほんのり冷たくて、少しだけなら気持ちがいい。
けれどすぐにあたたかくなってしまうので、コロコロ、ころころ転がった。
「あぁ〜、このままではバテてしまう……」
瑠奈さんは、悲しげにそう、呟いた。
エアコン、つければいいんじゃないかって?
……そんなモノはありません。
扇風機つければいいんじゃないかって?
それもありません。
じゃあ、冷蔵庫の氷はって?
……それもないんです。
そんなわけないだろうって? あるんです!
正確に言えば、瑠奈さんと紫子さんが住んでるアパートには、エアコンも扇風機も冷蔵庫だってあるんです。
ただ。
……ただただ、近くで工事をしてまして、あやまって電線にぶつかってしまったみたいなのです。
……要は、停電中。
エアコンも扇風機と冷蔵庫だってありますが、
残念ながら、肝心の《電気》が通ってないんです。
「……」
おかげで電話とテレビも使えません。
……ついでに言いますと、スマホも使えません。
何故って、今日に限って、充電するのを忘れていたから。
そして、この停電から、かれこれ二時間近く経つんです。
いくらなんでも復旧、遅すぎではないでしょうか?
ずーっと待っていると、もう二度と復旧しない様な気がして、瑠奈さんは恐ろしくなってきます。
《電気》──!!
なんて素晴らしい発明なんでしょう。
ないと分かると、すごく恋しくなるのです……。
「……」
けれどこのまま、部屋の中で干からびるわけには、いかないのです。
ニュースになってはたまらない……と、瑠奈さんは、紫子さんを連れて、《図書館》へ行くことにしました。
あそこなら、エアコンも十分ついてるし、本がたくさんあって飽きもしないでしょう。
DVDやネットだって見れるし、自動販売機だってあるのです。
そして温泉!
瑠奈さんと紫子さんの住んでいる街には、たくさんの温泉施設がありまして、この図書館近くにも、温泉に入れるところがありました。
どうせ電気が通らないのなら、お風呂のお湯も出ないのに違いない。
だってこのアパート、電気の湯沸かし器を使っているから。
「それでは早速、紫子さんを誘いましょう!」
瑠奈さんは、ウキウキと、
紫子さんの部屋のドアを叩きました。
× × × つづく× × ×
夕方、夏ホラー始まったのに気づいて、慌てて書いてます。
ただいま濃厚接触者で自宅待機中。
日にちの感覚が怪しくなってきました。。。