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愛のカタチ  作者: 餅月兎
1/1

愛、欲望、狂気

人の欲望はこの世の何よりも汚い

「偽善者だな。お前」この言葉が私を変えた。



私は、いつもと同じように平凡な暮らしを送っていた。私は、ことぶき高校に通う高校1年生。この高校は新設校らしい。推薦で入ることになった。

私ははそこまで頭は良くない、でもスポーツはできた。だから推薦してもらえたのだろう。

人に、学校は楽しいか?と質問されたとして、楽しい と答えてしまうと嘘になる。私は別に学校を楽しいとは思わない。だって学校なんて所詮、社会の練習場所。

集団から外れたものは見下される。人に合わせるということを学ぶところ。勉強なんてそれのおまけに過ぎない。正直、面倒くさい。そういうふうにずっと思っていた。

そして、その面倒くさいという感情が発生する理由とは、私自身が集団から外れた、負け組になってしまっているからだ。私は空気が読めないからウザイのだそう。まぁ、どうでもいい。

別に後悔はしていない。私の人生だから私の自由に生きるそれが私のモットーだ。

ある日、ある子に話しかけられた。

「ねぇ!私、黒上亜里沙って言うの!君さ使い魔とかって興味ない?」と、こんなくだらないことを真顔で言ってくるのだ。そのこはいわゆる厨二病というやつで、みんなからも酷く嫌われていた。

そして仲間だと思われたのか、使い魔を召喚してみないかという、とてもくだらない非科学的な話をもちだしてきたのだ。私は当然断ったのだがとてもしつこく、腹が立った。私は、そいつを睨みつけた。

すると相手も怯んだのか悲しそうな顔をしながら去っていった。やっと帰ったと思うと足元に紙切れが落ちていた。それを見ると魔法陣?のようなものが書かれていた。私は家に帰り、暇つぶしに書いてみた。

呪文のようなものも書かれていて、私はそれを読み上げた。

「我の下僕よ現れ、我と契約し、我に従い、我の願いを叶えよ。」と厨二病臭いセリフを読み上げた。やはり何も起きない。どこかで期待していた自分を恥じた。

そして片付けようとした瞬間、黒い光が私の部屋を照らした。私は目を丸くした。まさか本当に現れるなんて。その姿は黒い綺麗な翼を持ち、私は目が離せなかった。

その美しい魔物が話しかけてきた。

「ねぇ、あんた名前は?」

私は、つぶやくように言った。

「黒瀬川たいが」

魔物は言った。

「ふーん。俺の名は、アモンだ。俺と契約しろ。あんたの願い叶えてやるよ。」

「わかった。契約するよ。」

「契約完了」

私は驚いた。契約っていうからもっと怖いかと思うと口約束だけ。ただ契約する、と一言いうだけ

なんて簡単なのだろうと思うとつい、笑ってしまった。するとアモンも微笑んだ。


次の日、学校でアモンが話しかけてきた。

「なあ、おい。」

「なんでついてきたの?」

「なんとなく」

「そう。」

「お前さ、好きなやつとかいないわけ?」

私はギクリとした。

「…いるんだ。」

アモンがニヤニヤするのを見て腹が立った

「んで、どいつ?」

「あの人だよ。外でサッカーしてる人。あの、かっこいい人。」

「確かにイケメンだな。」

アモンは納得していた。なんだか悪魔らしくない、と思うとまたクスクスと笑ってしまう。

「なんだよ。」

「なんか、悪魔らしくないね」

「そんなことねぇよ。」

「ふふふ。あるよ、そんなこと。」と、私が言うとアモンが不満げな顔をした。

そして昼休みにアモンがまた、聞いてきた。

「お前さ、あのイケメンのこと好きなんだろ?手に入れたいって思わねーの?」

「好きだよ。でも、あの人が幸せならそれでいいの。あの人にはね好きな人がいるんだよ。私はあの人の好きな人と幸せになって欲しいの。」

「俺なら欲しいものは殺してでも手に入れる。」

「私も昔ならそう言ってたかもね。」

「俺はな、人間の強欲さが大好きなんだよ。相手を傷つけてまで手に入れるそんなクズみたいな事をする人間が大好きなんだ。」

「お前は、どうして自分の感情を押し殺すんだ?欲しいなら手に入れて見せろよ。」

「私は…。私はいいの!好きな人が幸せならそれでいいの。」

「偽善者だな。お前。知ってるぜ?お前が自分の感情押し殺す理由。」

アモンは続けた。

「2年前、お前は、大好きな男がいて、その男には女がいた。それでもお前は諦めなかった。好きだったから。でも、どうしても手に入れたかった。お前がそいつを愛する気持ちを知って欲しかった。そしてお前はその男を殺した。」

私は泣き叫んだ

「ぎゃあああぁああぁぁあああぁぁぁぁああああぁああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!!」

「そしてお前は、そいつを喰った。その男のすべてを愛したかったから。そして、その男は今も行方不明ということで事件は迷宮入り。」サタンは笑った。

「あっっはははははは。俺はな?人間のそんなとこが大好きなんだよ!あはははは!愚かで、欲望のままって感じが最っ高じゃねぇか!ぶっははは!」

「私だって…知ってる。アモン、お前のことだ」

「あ?俺のこと?」

「お前は十年前私の両親を殺した。お前自身の欲望を満たすために。お前は意味もなく人を殺す、凶悪な殺人鬼だ。」

「ご名答だ。だが昔のことだ別に大したことじゃない。」

「俺は、二年前のあんたの方が好きだぜ?自分の欲を満たすために人を殺すあんたが好きだった。」

とアモンは語った。

私は、考えていたことを実行することにした。

「おい、悪魔! 私の願いを叶えろ!私の願いはただ一つだ。」

アモンは笑った

「なんだ?お前の願いは」

「私は、神を超える。そして神どもにわからせてやる。私こそが神に相応しいとな。私に逆らうやつは殺せ。誰であろうと。そしてお前は私の盾取り矛となれ!私の存在は絶対だ!」

「いいだろう。我が主、たいが様の名の元にこのアモン、命をかけ主の願い叶えましょう。」



朝、目が覚めると、綺麗なガラスドームのピアスが置いてあった。ガラスドームの中には綺麗なアクアグリーン色の蛍石のクリスタルが入っていた。私はこの綺麗なものを今までに見たことがない。すごく見とれてしまった。

するとアモンが喋りかけてきた。

「たいが様、このピアスを貴方様に差し上げます。」

「様付けしないで。今までと同じ対応でいいから。でも、どうして?こんな綺麗なものを私にくれるの?」

「そうゆう決まりなんだよ。契約した主人に契約書替わりのものを贈らなければならないんだ。」

「そう。」私は、様付けされるのも特別扱いされるのも嫌いだ。面倒くさいから。ただそれだけ。

私は早速ピアスを開けた。ニードルか、ピアッサーか迷ったが正直どっちがいいかなんて分からないし安い方でよかった。どこかそこら辺の店に行った。

ピアッサーが人気なようで、ピアッサーしか売ってなかった。それでいいやと思い、ピアッサーを購入した。

家に帰ってピアッサーの封を開け、説明書も見ずに試してみた。ピアスが光り輝き、揺れると同時に、私の中で何かが起きた。それは何なのか分からなかった。苦しい。

「ぁあぁあぁ!!!」私は叫んだ。心の中がぐちゃぐちゃにされているようだった。すると、アモンが私を見て、笑った。

「落ち着け。俺を見ろ。お前は神を超えるんだろ?」

その言葉に私は救われた。

「はぁ…はぁ…黙れ…神を超える?違う…私は…いや、僕は…この世のすべてを僕のものにする…」

僕は人格がまるで変わってしまった。一人称も“私”から“僕”に変わってしまった。そして一番変わったのは目の色。感情が大きく揺らぐと色が、赤黒くなり、瞳孔が猫のようになってしまう。

僕は、誰にも属さない。自分以外の誰にも。そして過去なんかに囚われない。過去は過去。僕は未来を変える。

そして、すべてを手に入れる。そう、決心した。


次の日、アモンが聞いてきた。

「たいがのさ、好きなやつの名前ってなんなの?」

私は、驚いた。

「僕の好きな人?名前言ってなかったっけ?」

「うん。」

「えっとね、愛咲くん。愛咲雷くん。」

「めっちゃ変わった名前だな。漢字がすげぇな。」

確かに。って思ったけど私はあえて何も言わなかった。アモンがすごいことを聞いてきた。

「告白しねぇの?」

「しない」

「なんで?」

「面倒くさい」

「すればいいじゃん。すべてを手に入れるんだろ?もし振られたら殺せばいいじゃん」

「付き合って何するの?」

「デート…とか?てか普通それ聞く?しかも俺に」

「だって、わからないんだもん」

「あと、雷君好きな人いるよ。」

「じゃあ殺せば?」

「考えとくよ」

私は、殺してでも手に入れたいとは思わなかった。そこまで好きじゃなかったからかはわからない。

でも、私の中で何らかのスイッチが入ってしまった事実は変わらないようだ。

「ねぇ、アモン、今から誰か殺して見せようか?」

「たいがには無理だろ」

「フフ、殺してあげるよ」

「一緒に屋上ついてきて。見せてあげるからさ」

「わかった。」

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