【疑わしきは罰する。】
甲賀の忍び達が火を放つ・・・。
しかし、それば目の前から迫り来る凄まじい水によって、防がれてしまった。それどころかその水はどんどん甲賀の隊士達、目掛けて迫り来る・・・。
【泡沫】
「全員、木の上へ退避!」
慌てて、その場にいた隊士達は、上へと木の上へと上がった。
【幻像】
「どういうことだ・・・。近江の忍びが、こんなに水の術に優れているなんて話は聞いたことないぞ・・・。」
すると、泡沫は冷静に言う。
【泡沫】
「あいつらは、近江の忍びじゃねぇーよ。恐らく、近江国が雇った他国の忍びだろう・・・。」
【新垣博司】
「どうするんです?隊長方・・・。火は水に弱いんですよー。」
新垣は、不安そうな声で言った。
しかし、泡沫は冷静に言う。
【泡沫】
「あーそれは、問題ねぇー。」
すると、新垣は驚いた様子でえ?と声を漏らした・・・。
【千年】
「・・・。水ね・・・。そしたら、まぁー俺の出番ってわけですかね・・・。」
千年は、冷酷な光を目にたたえて言うと、右手で、背中から一本忍びを抜いた。そんな、千年を見て、泡沫は言う。
【泡沫】
「・・・殺すなよ。情報を抜き取るから・・・。」
【千年】
「へいへい・・・。」
敵の忍びが、水面を走ってこちらへ来る・・・。千年は、木の上から水面目掛けて、落ちていく・・・。
気然気刀忍術・・・伝雷・・・
千年は、水面に向かって刀を突き刺す。すると、水面の上を走っていた忍び達は、一斉にブルブルと体を震わせると倒れこむ・・・。千年は、突き刺した刀の柄の上に立つ。刀の柄だけは水に浸かっていなかったのだ・・・。
敵の忍び達全員が気を失ったところで、水は消えた・・・。千年は、刀の柄から降りる。そして、木の上を見上げた。
【千年】
「泡沫さーん。終わりましたぜ。」
すると、木の上から、ぞくぞくと人が降りて来た。泡沫は、地面におりたってすぐ、一人の敵の忍びの頭を右手で鷲掴みにすると、左手で印を結ぶ・・・。
・・・精神身体型忍術記憶解明"・・・
泡沫は、驚いた顔をする・・・。
【千年】
「ん?どうしたんですかい?」
【幻像】
「兄さん・・・?」
泡沫は、黙ったまま喋らない・・・。
【泡沫】
「俺達の忍び装束を着た男が、こいつらと取引をしている姿が見えた・・・。顔は、黒い布を、被っていて、見えなかった・・・。俺達の中に・・・。裏切り者がいる・・・。」
するとそこへ一匹の鷹が足に手紙を結んで、飛んで来た・・・。
【千年】
「・・・。泡沫さん・・・。これは・・・。」
・・・新垣博司、敵に情報を流している可能性あり、即刻処刑せよ・・・
手紙にはそう書いてあった・・・。
確かに、今回の戦は甲賀が突発的に始めたものだった・・・。だから、近江の国は、こんな他国から水の術に強い忍びを用意している時間なんて、無かったはずだ。それに、広大な森の中で、あいつらは俺達を探し出した。しかも何十人が束となってだ・・・。まるで、自分達がどこを進行しているかが分かっていたかのように・・・。
そう、裏切り者はいたのだ・・・。だが・・・。それが新垣博司であるという証拠は一つも無かった・・・。
手紙によれば、新垣博司がこの戦争が始まる前に、数日一人でどこかに行っていたことが理由だそうだ・・・。
だが、その理由ではあまりにも・・・。
しかし・・・。甲賀の方針では、疑わしきは罰する・・・。どんなに証拠が無くとも、国に害を及ぼそうな疑いがある者は、早めに消す・・・。そうすることで、甲賀は国を守って来た・・・。
・・・夜・・・
泡沫は、隊から離れて男を呼び出した・・・。
【泡沫】
「すまない・・・。新垣・・・。」
目の前には、怯える男が一人・・・。その男、名を新垣博司と言った。最近、赤ん坊が生まれたばかりの若い男だった・・・。
新垣は、震える声で言う・・・。
【新垣博司】
「ゆ、夕暮隊長・・・。お願いです・・・。俺、何もやっていません・・・。俺には、妻と生まれたばっかの赤ん坊がいるんです・・・。そんな、敵国に情報を流すようなことなんて、俺、絶対にしません・・・。それに、俺まだ・・・生きていたい・・・。あいつらと一緒に、生きていたい・・・。」
目の前で膝まつく男に、泡沫は刀を向ける・・・。
新垣は、涙でぐちゃぐちゃになった顔で必死に、「俺は、やっていない・・・。」と泡沫に言う・・・。
泡沫の手が震えている・・・。
【泡沫】
「・・・くそ・・・。」
泡沫は刀を握りしめる・・・。
【新垣】
「俺は、俺は・・・何もしてなあい!あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
新垣は、懐に忍ばせていた小刀で泡沫を襲う。
あぶなーーーーーーーーい!!!
誰かの声が聞こえた・・・。




