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【時雨の里】  作者: 有馬波瑠海
第12章 【泡沫の一番弟子編】
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【蛇の儚い恋 後編】

 (まむし)は、夜の森の中を歩いていた・・・。


 あいつが、弥生(やよい)のことをどう思っていたのかは、分からない・・・。だが、1つ言えるのは、あいつは弥生(やよい)のことを思ってのあの発言だったんだと思う・・・。


 たとえ、弥生(やよい)が傷つくことになったとしても、自分は1つの部隊をまとめる隊長で、何人もの隊士の命を預かる立場にある。七人集(しちにんしゅう)の一員であるならば、誰よりも危険な任務もしなければならない。常に死の危険にさらされている。おまけに、一人立ちしなくてはいけない悪ガキも2人・・・。


弥生(やよい)の幸せを願うならば、たとえ、傷つけると分かっていても、突き放す・・・。それがあいつの優しさだ・・・。


 弥生(やよい)も、あいつのそういう優しさに気づいていたから、あいつに惚れたんだろう・・・。


 もし、俺があいつの立場だったら、俺ならあいつと同じ選択をできただろうか・・・。


 俺もあいつも立場は変わらない。甲賀七部隊あるうちの一つ部隊をまとめあげる隊長・・・。でも、きっと俺はあいつと同じ決断はできなかっただろう・・・。


 真っ暗な森の中で、美しく光る月を見ながら、一匹の蛇は夕暮(ゆうぐれ)れの中で泣いていたクノイチを思った・・・。


 


 それから、1年後・・・近江(おうみ)国との戦争が始まった・・・。上の命令で、近江(おうみ)の大量に貯蓄された物資をするのが、今回の戦の目的だった。甲賀の7部隊に属する忍び達は戦場へと行くことになる。


(まむし)

「それじゃあ、行って来る・・・。」


泡沫(うたかた)

「・・・元気でな。」


千年(ちとせ)

「心配いらないよ、弥生(やよい)さん・・・。俺達強いから・・・。」


幻像(げんぞう)

「そうそう・・・。」



 3人の部隊長は、自分の隊を率いて、戦の最前線で戦うことになるだろう・・・。


弥生(やよい)

「皆・・・。」


 言葉もそこそこに、亘一角が呼びに来る。


【一角】

「よし・・・。行くぞ・・・。」


 1人弥生(やよい)を残して、男達は、戦場へ行ってしまった・・・。


 ひたすら森の中を走る・・・。


【一角】

「カラスと、蛇は、このまま西に向かう。虎と狼は、東に行ってくれ・・・。」


 泡沫(うたかた)と、千年(ちとせ)は、黙って頷いた。その2人の後ろに、幻像体げんぞうは続く。幻像体げんぞうは泡沫(うたかた)の狼の隊士として、今回の戦に参加する。


(まむし)

「お前達・・・。死ぬなよ・・・。」


 (まむし)が二人に言うと、泡沫(うたかた)は冷静に言う。


泡沫(うたかた)

「安心しろ・・・。少なくとも、毒で死ぬことはねぇーよ。お前がさんざん俺達に、毒を飲ませて耐性つけさせたからな・・・。」


 泡沫(うたかた)は、平然とした口調で言うが、千年(ちとせ)は、無言で顔が真っ青になる・・・。


(まむし)

「なんだよ。その言い方・・・。おかげで、毒に強い体になったんだから、感謝して欲しいもんだ。」


 (まむし)はがっかりした口調で言った。


泡沫(うたかた)

「感謝してるよ・・・。ありがとう。死ぬなよ、(まむし)・・・。」


 泡沫(うたかた)は、真剣な口調で言う。


(まむし)

「あぁ・・・。生きて、また会おう・・・。薬の実験台がいないと困るんだ・・・。」


 そう言うと、(まむし)は、一角と共に各々の部隊を率いて西へ向かった。


千年(ちとせ)

「・・・。泡沫(うたかた)さん。あの人、去り際にさらっと恐ろしいこと言いましたぜ?これじゃあ、戦に勝ってもあの人に俺たち殺されますよ・・・。」


 千年(ちとせ)は、冷めた口調で言った。


泡沫(うたかた)

「・・・そうだな。だが、あいつが生きて帰って来るとも限らない・・・。」

 

 千年(ちとせ)は、泡沫(うたかた)の方を見る。思ったよりも後ろ向きな発言をすると思ったのだ。


泡沫(うたかた)

「それほどに、この戦は厳しい・・・。」


 その後、時々休憩を挟みながらながら3日後近江(おうみ)と国へと辿りついた。虎と狼の部隊は、近江(おうみ)城を目指して走る・・・。すると、後ろかろ声をかけてくる狼の隊士がいた・・・。その男は22才の男で最近妻との間に赤ん坊が生まれた男だった。


新垣博司(にいがきひろし)

夕暮(ゆうぐれ)隊長・・・大変です。後ろから、何者かが追って参ります・・・。」


泡沫(うたかた)

「何・・・。俺達がこの森を抜けていることは、バレていないはずだ・・・。」


 すると、突然、右方向から、大量のクナイと手裏剣が飛んで来た。


 泡沫(うたかた)は、背中から忍び刀をとると、左手で印を結ぶ。


 天然気刀(てんねんきとう)忍術・・・(ほむら)(たて)


 そして、刀を持って、2回宙で体を捻る・・・。すると狼と虎2部隊が炎に包まれ、周囲から来るクナイや手裏剣から、全員を守った。


 火が消えるとそこには、近江(おうみ)のモノであろう大勢の忍びがいた・・・。


千年(ちとせ)】 

「バカですね・・・。近江(おうみ)って、確か、"土"の忍術が得意なんですよね・・・。火の忍び集団と言われる甲賀の忍びの前にこんなにもどうどうと現れるなんて・・・。」


幻像(げんぞう)

「いや・・・待て・・・。何か様子がおかしい・・・。」


 すると、近江(おうみ)の忍び達は、一斉に襲いかかってくる・・・。


新垣博司(にいがきひろし)

「た、隊長・・・!奴等、こっちに迫って来てます・・・。戦闘命令をお願い致します!」


千年(ちとせ)

「何か、様子がおかしいにしても、ここで応戦しなければ、全員死ぬ・・・。虎隊、ここで迎え撃つぞーー!」


 千年(ちとせ)の言っていることは、一理ある。


泡沫(うたかた)

「狼は、ここで全員、敵を食い殺せーーーー!」


 すると、各々が忍具を取りだし、迫り来敵を迎え撃つ。



 気然法忍術・・・業火の矢・・・

・・・火熱クナイ・・・火だるま落とし・・・


 様々な、火の術が近江(おうみ)の忍び達にかけられる・・・。


 しかし、近江(おうみ)の忍び達は全く怯む様子を見せない・・・。


 むしろ、甲賀(こうが)の火が迫りくる中、印を結んでいる・・・。


 泡沫(うたかた)は、何か、違和感を感じた・・・。


泡沫(うたかた)

「全員、退けーーーーーーーーーー!」


 泡沫(うたかた)の叫びが森に響いた・・・。


挿絵(By みてみん)

https://34716.mitemin.net/i537974/

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