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【時雨の里】  作者: 有馬波瑠海
第10章【幽霊城の編】
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【 袋のネズミ 】

 下を見れば、姫の幸せになる道を閉ざそうとする忍の群れ。どこで、段取りを失敗したのだろうか?東の忍を城に招いたことか?


 城の者達から、城の騒ぎの調査をとの声が飛び交うなか、忍びの国としてまだやり始めたばかりの東の里なら、この事実にたどりつくことはないと思っていた。


 しかし、違った。早い段階であの三人を始末しておくべきだった。特に銀色の髪の狐の面をつけたあの少年。あの少年は、まるでこの城には隠された秘密があると最初から知っているようだった。  


【伝三】

「おかしてしまった失敗は、自分で責任をもって処理するだけだ。ここのもの全員殺せば、全てはワタシの計画通りになるのだからな。」


【時雨】 

「計画、通りになんて、なりやしないよ。もう、どう転んだって、あなたがヨモギさんを殺した時点で、清姫が城主を暗殺しようとした時点で、誰一人幸せになる未来なんて、用意されちゃいなかったんだ。」


【伝三】

「カカレー!!!!!!!!」


 両者の群生は一斉に斬りかかる。辺りには、あらゆる種類の忍具が待った。


【里潤】

「おい、東の猿まだ準備はできねぇーのかよ?」  


【一平】

「誰が猿だ!コノヤロー!もう少しだ、ちょっと待ってろ・・・。くそ、ここの留め金がどうしても・・・外れない・・・。」


【乙梅】

「里潤様。もう、敵の軍勢が攻めよって来ます。迎え撃ちますか?」


 乙梅は、冷静な口調で淡々と言った。


【里潤】

「おい、テメェー何やってんだ?あいつら殺しちまうぞ?」


【影丸】

「やれやれ、今回のことは東の忍に任せろって言っておいてこれか?お前ら、誰一人として殺さないでこの場を納める秘策があるとか言ってたくせに?これかよ?」


 一平は、少しパニックになりながら、必死に留め金を前に引く。


【一平】

「くっそ、なんで留め金がどうして!!!くそっ!!!」


 すると、葦荒はゆったりとした口調で言う。


【葦荒】

「やれやれ、落ち着けよ。東の小僧。」


【一平】

「あ、あんたは!!!」


【葦荒】

「良いか・・・。戦場で焦りは禁物だ。心、落ち着かせて、よーくその玩具(がんぐ)、見てみろよ・・・。」


 一平は、ゆっくりと息を吐いた。見れば、留め金は後ろに引けばすぐに外れたものの自分は前に前に引いていたのだ。


【一平】

「あっ・・・。」


 一平は、留め金をすんなりと外す。皆、|・・・騒然の中、影丸が言う。


【影丸】

「おい!さっきまでの緊迫した空気なんとかしろよ!お前!!」


【一平】

「氷雨!!!!こっちの準備は整った!これを飲め!!!!」


一平は、10メートルほど、前にいる氷雨に小瓶を投げ、氷雨はそれを掴みとる。


【氷雨】

「お!!おう!っては、これなんだ!」


【一平】

「い、いやぁー・・・。あはははは。と、とにかくそれを飲んで、地面に木刀突き立ててくれ!」


【氷雨】

「な、なんだかよく分からねぇーけど、まぁいいや!」


ゴクゴクゴクとその小瓶を飲み干した。すると・・・。視界がぐにゃぐにゃと歪み、なんだかふわふわした気持ちになってくる。


【氷雨】

「なんだぁ?あいつら・・・オレに喧嘩でも売りに来たのか?」


【一平】

「そうだ!氷雨!あいつら、お前のことバカだって言ってたぜ!ほら、みろよ!お前の持ってる小瓶にも、馬鹿って書いてあるだろう?」


氷雨は、ゆっくりと小瓶に目を向ける。


【氷雨】 

「・・・。ば・・・か・・・。ふざけんじゃねぇー!おぅれは、馬鹿じゃねぇー!!!!」


敵は、もう目前。

氷雨は自分の真下の地面に向かって木刀を力の限る突き立てた。すると、地面は真っ二つに割れ大きな穴が出現した。氷雨もろとも、こちらに攻めよって来ていた敵は全部そこの穴へと落ちる。しかし、穴のそこには編みが張ってあり、全員その編みに引っ掛かる。氷雨は葦荒の投げた鎖によって、落ちることを免れた。


【一平】

「だから、お前は馬鹿なんだよ。お前みたいな馬鹿力出せるやつは、そうそういないぜ。オイラ特性の粘着生のある網だぜ。もうお前達は動けねぇーよ。」


【葦荒】

「やれやれ、ぐっすり寝ちまってる。こいつはもう使い物になんねぇー。それと、お前、一平とかいったか?お前も、画竜点睛をかくぜ。」


氷雨は、鎖に巻かれてイビキをかいてぐっすりと寝ている。


【一平】

「がりょう?」


【葦荒】

「爪が甘いってことだ。」


敵は、持っている刀で網をグサグサと切り裂いていく。

一人の侍が言った。おい!この網、べたべたくっついて鬱陶しいが、簡単に切れるぞ!

これをチャンスとばかりに敵はバチバチ網を切っていく。


【一平】

「お、おい!!!やめろー!!!オ、オイラの網が!!!」

 

 穴を覗きこんでいた乙梅は、手の平に梅の花びらを何枚も乗せている。そして、その梅の花ビにふぅーと息を吹き掛ける。すると、その花びらは敵の首元へと落ちていく。すると、落ちていった敵から動きが止まる。


【乙梅】

「気刀忍術、梅の花びら。美しい花には、トゲがあるの。花びらには、痺れ薬を塗った針を仕込んである。」


【里潤】

「後は、お前だけだ!伝三。大人しく、お縄につきやがれ。」


【時雨】

「もう、決着はついた。ここにいない風磨の忍びの方に、清姫様の方に向かってもらっている。」


【伝三】

「もう、ワシには・・・。生きている意味なんて・・・ない。」


伝三は自分の胸にクナイを立てる。


【伝三】

「あの時、あの舞子さえ殺していなければ・・・。清姫様・・・。すみませぬ・・・。」


 皆があっと言う間に、伝三はクナイを自分の胸目掛けて差し込んだ・・・。



https://34716.mitemin.net/i537717/挿絵(By みてみん)

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