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【時雨の里】  作者: 有馬波瑠海
第10章【幽霊城の編】
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【時雨と影丸】

【時雨】

「奥方様には、舞子を殺す動機があった・・・!?」


 時雨は、奥方様の部屋に走る。突然走り出した。時雨に驚いた影丸は、時雨を追う。そして、二人は、誰もいない奥方様の部屋へと入った。その部屋は豪華なわりには、あまり物が、置いていない、殺風景な部屋だった。


【影丸】

「お前、いきなりどうしたんだよ?」


【時雨】

「影丸、すまないが。誰か、来たらすぐに知らせてくれ。ワタシは少し、調べたいものがある。」


【影丸】

「俺を見張りにする気か!?テメェ!」


 後ろで、ワーワー騒ぐ影丸には目もくれず、時雨は僅かに空気の流れを感じる壁にそっと手をふれる。するとその扉はグラッと回転し、下へと続く階段が姿を表した。時雨は手で印を結ぶ。


【時雨】

「キツネ火の術。」


 時雨の周りで辺りを照らすように、青い火の玉が2つ現れた。


【影丸】

「へぇ。お前は、水の気が強いんだな。」


【影丸】 

「敵の前でキツネ火を使うなんてな。キツネ火は、夜の闇に明かりを灯すことができる便利な術だ。しかし、キツネ火の色はその者の気然術の才を写す術とも言われ、忍びでも、武士でも、武術を極めるものはまず、この術を覚える。特殊型(とくしゅがた)を除いて、型は火、水、氷、雷、土、風、妖の七つ。火ならば、赤。水なら青。氷なら浅葱(あさぎ)。雷なら黄。土なら、(だいだい)。風ならば若竹(わかたけ)。妖なら紅桔梗(べにききょう)色をしている。ちなみに、何にも型を持たないやつは、黒い火が出るとか、出ないとか・・・。お前!?バカだな。敵の俺にお前の情報、筒抜けだぜ?」


【時雨】

「あなたは、敵じゃない。」


 時雨は、影丸に微笑んで見せる。すると、影丸は呆れた様子で・・・。


【影丸】

「ちっ。本当にバカなやつだぜ。・・・キツネ火の術。」


 影丸は、印を結ぶ。影丸は自分の周りに若竹色の火の玉を出して見せた。


【影丸】

「ふん!自分よりも弱いやつに自分こ能力隠すのも尺に触るんでな。それに、風魔はその名の通り、風の悪魔。昔から、うちの里は、風使いが多いんでな。ま、というわけだから、見せなくてもいいわけだが、一応これでフェアってもんだ。」


 二人は、その後、足早に階段を降りる。階段の先には、小さな部屋があり、多くの物で溢れていた。そして、その中に奥方様が書いたと思われる一つの日記があった。



 真っ暗な闇の中でその男は、じっとこちらを見ていた。風魔の上忍・・・葦荒修造(あしあらしゅうぞう)に言われたことが頭から離れない・・・。


・・・己の力量も計らないやつが、任務なんてやるもんじゃねぇ・・・。冷たい目をした男、絶対的な実力さを去っていく背中だけで感じさせたその男は、自分と時雨の忍としての実力の差を残酷にも突きつけた。


 それは、まるで、いずれ里の長になることになってはいるが、力も学もない兄は長になるべきではい。武術の才能に溢れ、その才能に見合うだけの学と人格を備えた弟が長になるべきなのだと、言われているようだった。


 暗闇がゆっくりと明るくなるのと同時に氷雨は、目を覚ます。見ると壁にもたれた自分には布団がかかっていた。障子張りの襖の向こうの外はもうすでに日がほとんど沈みかけていた。


 氷雨は、ゆっくりと部屋の中を見渡すと、一平もまた、壁にかかりながら、一人自分のいるところの畳をじっと見つめていた。


 一平は、何やら思い詰めた表情をして、自分が起きたのに気づくと話しかけてくる。


【一平】

「・・・なぁ、氷雨。」


【氷雨】

「・・・ん、なんだ?」


【一平】

「実は・・・・・・。」


【氷雨】

「・・・ん?」


 長い沈黙が、落ちる・・・。

 すると、突然扉が開く。


【時雨】

「兄上!一平!聞いて欲しいことがあるんだ!」


 時雨は、部屋の中の二人の雰囲気がいつもと違うことを感じた。


【時雨】

「何か・・・あったのかい?」


 氷雨は、一平に問いかける。


【氷雨】

「・・・一平、なんだ?」


【一平】

「いや・・・何でもない・・・。」


 一平は、顔をあげると、にかっと、ニカッと笑った。しかし、時雨にはその笑顔がひどく不自然に見えた。  


 二人の様子に違和感を覚えた時雨だったか、本人達に言う気がないのなら、無理に聞くのは野暮な気がして、それ以上何も聞かなかった。


【時雨】

「二人とも、聞いて欲しい。ワタシは今さっき、奥方様の部屋にあった、隠し部屋からとんでも、3年前の日記を見つけた。


 日記には、舞子に対しての奥方様の恨みがびっしりと書き込まれていた。舞子は、奥方様がこの城に嫁ぐ前から、どうも城主から寵愛をうけていて、奥方様が嫁いで来てからもそれは変わらなかった。そこで、奥方様は舞子を城から追い出そうと、舞子の使っていた扇子盗み、城主の羽織をズタズタに切り割いたんだ。


 そして、現場には扇子を残して舞子を犯人にでっち上げたんだ。そして、罪に問われた舞子は、城を追い出されることとなってしまったというわけだ。」


【氷雨】

「なるほど。と、なると舞子の死因は、愛する城主に犯人扱いされたことと、城を追い出させれることからのショックで自害といったところか?」


【一平】

「すると、たまたま自殺した舞子を見つけた師匠が舞子を殺した犯人にされたということか。」


【時雨】

「あぁ。それで、風悪の影丸に聞いたんだが、里潤はこの城の舞子とは、昔から合流があり、姉のように慕っていたらしい。」


【氷雨】

「なーるほど、それで舞子を殺した犯人である師匠を恨んでるってわけか。」


【時雨】

「だけれど、一つ分からないことがある。舞子は自殺してから、3年も経ってなぜ今、幽霊となって、この城の部屋を荒らしているのだろうか?」


【一平】

「た、確かに・・・。」


 三人は、難しい顔をして考える。すると、部屋の扉が勢いよく開く。

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