表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【時雨の里】  作者: 有馬波瑠海
第10章【幽霊城の編】
58/225

【背後に忍び寄った者の正体】

 一体どういうことだ?何かがおかしい。何かが・・・。三階にワタシ達は、同じ部屋であるこの部屋に音が鳴って、すぐにこの部屋に来た。ワタシと兄上がこの部屋に来るまでの廊下は一方通行。しかし、この部屋に来るまで、誰ともすれ違っていない。一体、誰がこの部屋を荒らしたというのであろう・・・と、時雨(しぐれ)は、そう考えていた。


【???】

「なんだい!?お前達には、見えないのかい?てっきり、泡沫(うたかた)の弟子なら、もう少し出来がいいと思ったが・・・。」


 その声は、三人のすぐ後ろから聞こえて来た。まったく気配もなく近づいたその男は、右目を隠し、黒くうねった髪を持つ、20代前半くらいの男だった。


時雨(しぐれ)

(まったく、気配に気がつかなかった。それに、なぜ師匠のことを・・・この人は一体・・・?)


葦荒(あしあら)修造(しゅうぞう)

「俺は、葦荒(あしあら)修造(しゅうぞう)。風魔の上忍だ。さぁ、戦火の狼の弟子達よ、この部屋を荒らした犯人を見極めるが良い。」


時雨(しぐれ)

「・・・見極める!?」


 その時、時雨(しぐれ)は、泡沫(うたかた)の言葉を思い出した。


・・・見えぬ物を見、ねじ曲げられた物を本来あるべき姿に戻す・・・。


 手で印を結び、目に気を集中させる・・・そして、この世ではなく、この世の狭間を見るような感覚・・・。


葦荒(あしあら)

「よし、目を開けろ。」


 勢いよく目を開く、すると、青白く光る玉が部屋のすみを漂っている。


時雨(しぐれ)

「あれは・・・一体!?」


氷雨(ひさめ)

「えっ!?何を言ってるんだ?」


 兄上には、見えていないらしい・・・。


葦荒(あしあら)

「よーし、よーし、時雨(しぐれ)。そのままあの青白い球の中心を見るようにして、眼球に気を貯めてみな。」


 青白く光る球の中心を見る。全身の気を目に集中させる。


葦荒(あしあら)

「力み過ぎだ。もっと、楽に気の流れに身を任せな。」


時雨(しぐれ)

「すぅー!!はぁーーー」


 ゆっくりと、息を吸って気の流れを感じる。そして、ゆっくりと、その光の球を見る。


 すると、その光の球は、みるみるうちに形を変え、やがて・・・。


時雨(しぐれ)

「・・・女の人だ。舞子の衣装を着ている。あれ・・・。でも・・・あの人・・・。」


 視界が霞む。だんだんと黒い闇が自分の視界を覆った。


バタン。時雨は、その場に倒れこんでしまった。


葦荒(あしあら)

「はい、よくできました。」


氷雨(ひさめ)

「お、おい!時雨(しぐれ)!、」



 氷雨は、倒れた時雨(しぐれ)に声をかける。しかし、その二人を尻目に葦荒(あしあら)は言う。


葦荒(あしあら)

「こいつとは違ってお前、全然ダメだねぇ。修行をやり直せ。」


氷雨(ひさめ)

「な!何言ってやがる!!」



 背を向けて歩き出してした葦荒(あしあら)は、氷雨の言葉に歩みを止める。しかし氷雨(ひさめ)は、葦荒(あしあら)の背から発せられる凄まじい気迫に気圧された。


 何も言わずただ立っているだけでも、伝わってくる圧倒的な存在感、威圧感が、自分達との圧倒的な実践経験の差を感じさせた。


 聞かずとも分かる、この人は、幾度となく命の駆け引きを繰り返し、圧倒的な強さで目の前に立ちはだかる敵を今日まで倒し続けてきたのだということを。


 葦荒(あしあら)は、後ろを向いたまま少しこちらに目を向ける。その眼光は、とても冷たく、氷雨の体をこわばらせた。


葦荒(あしあら)

「己の力量も計れねぇやつが、任務なんて、やるんじゃねぇ。命を捨てに行くようなもんだ。」


 その言葉を言い残すと、葦荒(あしあら)は、姿を消した。










  ・・・・・・一方、一階では・・・・・・


 ・・・一体、どうゆうことだ?と、一平(いっぺい)は理解が追い付かない・・・。人の気配なんて、一切しなかった。ましてや、殺気なんて、まったく・・・。


 いくら忍びだったとしても、こんなまったく音を立てずに、そして、殺気を感じさせずに、他人の背後をとることができるのだろうか・・・。



 月の光に照らされて、自分の喉元に当てられた忍び刀が不気味に輝いた。



【???】

「・・・動くな・・・。」


 耳元で囁くような少年の声が聞こえた・・・。一平(いっぺい)は、恐る恐る背後の者に声をかける。


一平(いっぺい)

「お前・・・。何者だ・・・?」


 すると、最後の者は答える。


坂多(さかた)千年(ちとせ)

「俺は、坂多(さかた)千年(ちとせ)・・・。甲賀の忍びだ・・・。」


 声変わりを終えたばかりの少年の声は低く、坂多(さかた)千年(ちとせ)と名乗った・・・。どこかで聞いたことがある名だった・・・。そして、思い出す。泡沫(うたかた)が東の里に来たばかりの頃に話していた、共に火の戦争に参加し、雷鳴(らいめい)の虎と恐れられた泡沫(うたかた)の一番弟子・・・。


 そして、泡沫(うたかた)と共に甲賀七人集に数えられ、剣術に関してはその中でも、右に出る者はいなかったと泡沫(うたかた)には聞いていた。



 そんな奴がどうしてこんな所に・・・。


 すると、その少年は低い声で言った。


千年(ちとせ)

「俺達は、泡沫(うたかた)を探している。昨日、お前達3人と泡沫(うたかた)らしき人物がこの城近くの旅館に泊まっているとの連絡が入ってな・・・。探したぜ・・・。」


 一平(いっぺい)は、腰に下げる木刀を抜こうとするが・・・。


千年(ちとせ)

「やめた方がいい・・・。そんな玩具(がんぐ)、引き抜く前にお前の首が、宙を舞う・・・。」


 少年は、感情のこもっていない飄々とした口調で言う。普通の少年ではない・・・。肌で感じる圧倒的なまでの、実力差に一平(いっぺい)は動けない・・・。


まるで一匹の虎が今にも自分の喉に、鋭く恐ろしい爪を突き刺そうとしているかのようだった。一平(いっぺい)は、ふぅーと息を吐いた。


千年(ちとせ)

夕暮(ゆうぐれ)泡沫(うたかた)のことについて、知っていることを全て吐け・・・。」


 知っていること・・・。泡沫(うたかた)について自分の知っていること・・・。それは、厳しいけれど、面倒見がよくて、いざとなったらいつも助けに来てくれる優しいオイラ達の・・・。


 一平(いっぺい)は、ため息をつく・・・。 


一平(いっぺい)

「師匠について・・・。そんなの、オイラの方が聞きたいってのに・・・。」


 一平(いっぺい)の言葉に千年(ちとせ)は、一瞬動揺したのか、剣が揺らいだ。


千年(ちとせ)

「お前・・・。あいつの弟子か?」


一平(いっぺい)

「・・・。分からない・・・。もう、今となっては何も分からない・・・。」


 一平(いっぺい)は、ため息混じりに答えた。誰かがこちらへ来る気配がした。すると、少年は素早く小声で言った。


千年(ちとせ)

「・・・。お前、あいつに、裏切られたのかい?」


一平(いっぺい)

「・・・・・・・・・・・・・・・。」


 一平(いっぺい)は、なにも答えない・・・。


千年(ちとせ)

「なら、取引をしよう・・・。俺は、あいつを殺したい。お前はどうだ・・・?あいつのこと、殺したいか?」


一平(いっぺい)

「・・・・・・・・・・・・・・・。」


 一平(いっぺい)は、なにも答えない。


千年(ちとせ)

「あいつのことを殺してぇーなら、俺がお前をあいつを殺せるくらい、強くしてやろう。だから、お前も俺に協力しろ・・・。・・・甲賀に来い・・・。」


 そう言い放つと、一瞬のうちに背後にいた少年の気配が消える。一平(いっぺい)は、すぐさま後ろを振り向くが少年の姿は無かった・・・。


 廊下を誰かが歩いて来る・・・。男の人だ。


伝三(でんぞう)

一平(いっぺい)さん・・・。どうか、されましたか?一階に何か、変わった様子はございませんでしかた?」

 

 奥方様の世話役の伝三(でんぞう)さんだった。


一平(いっぺい)

「い、いえ・・・。特には・・・。」


 泡沫(うたかた)の一番弟子に会ったことは、言わなかった・・・。


読んでくださり、ありがとうございました!(*´・∀・)ノ

いつも、読んでくださっている全ての皆様に心から、感謝いたします!


次回の投稿は、来週の土曜午前9時です!(*´-`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ