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【時雨の里】  作者: 有馬波瑠海
第10章【幽霊城の編】
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【城に落ちる影】

 次の日、城についた三人は、使用人に、大きな城の客間に案内されると、少しそこで待つようにと言われ、城の殿が座る上段の間を前に座っていた。


 氷雨(ひさめ)一平(いっぺい)は、二人でどんな任務なのかとそわそわしている様子だったが、時雨(しぐれ)は、昨日の泡沫の言葉を考えていた。


時雨(しぐれ)

(見えるをものを見・・・。何かこの城にはあるのか?だとしたら、この城のお殿様が来るまでの時間でこの城を探ってみるか・・・。)


氷雨(ひさめ)

「どうした?時雨(しぐれ)、黙りこんで・・・。」


時雨(しぐれ)

「ううん。ちょっと、(かわや)に行ってくる。」


一平(いっぺい)

「ん?腹でも痛いのか?」


 

時雨(しぐれ)

「いや、大丈夫だ。」

 

 心配をする2人をよそに、時雨(しぐれ)は、そのまま部屋を出て行ってしまった。


一平(いっぺい)

「あいつって、本当に体よえーよな・・・。」


氷雨(ひさめ)

「あぁ。昔っから、あいつは病弱だな。あいつがあんなに体が弱いのも、竜に選ばれた件と関係あんのかな?」


 一平(いっぺい)は、時雨(しぐれ)のおいていった狐の面を見た。


一平(いっぺい)

「・・・。これ、時雨(しぐれ)が師匠に貰ったっていう、狐の面だろ?」


 一平(いっぺい)は、狐面を手に取り顔に近づける。そして、氷雨(ひさめ)の方を向く。


 氷雨(ひさめ)は、その面を持つ一平(いっぺい)の目が一瞬、冷たい目をしているように見えた。しかし、一平(いっぺい)は、すぐにいつもの調子に戻り、面をつけて、ふざけて見せる。


一平(いっぺい)

「どうだ?似合ってるか?・・・。」


 そう、一平(いっぺい)氷雨(ひさめ)に言った時だった。それは、一瞬の冷たい気、しかし、確かに一瞬、自分達に向けられる冷たい殺意を一平(いっぺい)氷雨(ひさめ)は、感じとった。 


 一平(いっぺい)の視界がお面で狭まった、その瞬間を待って、一本の矢が一平(いっぺい)の頭目掛けて飛んできた。しかし、一平(いっぺい)は、俊敏な動きで、自分に向かって来た羽のついた刃を左手で掴み、そのまま、天井に向かって、投げつけた。


一平(いっぺい)

「そこだぁー!!!!」


 矢は、天井に刺さる。


一平(いっぺい)

「オイラに、飛び道具で喧嘩売るなんざ、バカなやつだぜ。」


氷雨(ひさめ)

「降りてこいよ。誰だか知らないが、こんな危なっかしいもの人に投げつけて来るんじゃねぇ。」


 すると、矢が刺さった天井が人、一人が通れる四方形型に開き、そこから自分達と年が近そうな少年が降りて来た。


氷雨(ひさめ)

「何者だ?お前。」


 一方その頃、厠に向かうと部屋を出た時雨(しぐれ)は、長い城の廊下を曲がろうとしていた。廊下を歩いている限りでは、どこにでもあるような普通の城のようだった。師匠は、自分にこの城で何をさせたいのかと、疑問に思いつつ、廊下の角を曲がる、すると、後ろから、何者かの気配がした。


【男】

「何か、お探しですか?」


 後ろから、声がした。


時雨(しぐれ)

「あ・・・すみません。厠に行きたいのですが、迷ってしまって・・・。」


 時雨(しぐれ)は、後ろを振り返ろうとした。その一瞬の隙に男は時雨(しぐれ)の首を右手で絞め。左手で、時雨(しぐれ)の両腕を時雨(しぐれ)の背中あたりで、鷲づかみにする。


 時雨(しぐれ)よりも、はるかに背が高く、がたいの良いしの男は、軽々と時雨(しぐれ)の首を右手で絞めながら持ち上げ、時雨(しぐれ)は、といとう足が地面から離れてしまった。


時雨(しぐれ)

「くっくく・・・。ツッツッ!!!!」


 呼吸は完全に止まり、今にも失神してしまいそうだ。


影丸(かげまる)】 

「俺は、影丸(かげまる)。お前等・・・。甲賀の忍びだな。3年前にあんなことをしておいて、よくもまぁ、ノコノコとこの城に来られたとものだ・・・。あの時のケジメ、キチンとつけてもらおうか。死んで、償ってもらおう。」


時雨(しぐれ)

「ワタシ達・・・は・・・。甲賀の・・・。忍びじゃない。・・・。は・・・離せ・・・。く・・・苦・・・。」



 視界がどんどん霞んでいく。そして、徐々にその霞は、闇を帯び、暗くなっていく。


時雨(しぐれ)

「離せ・・・。って言ってるんだ!!!!」


  時雨(しぐれ)は、思いっきり頭を前に倒す。すると、僅かに背後の男が動揺したのが、分かった。時雨(しぐれ)はその隙を逃さず、頭を素早く後ろにのけ反らせ、後ろの男に力いっぱいの頭突きをくらわせた。


影丸(かげまる)

「ぐはっ!!!!」


 影丸(かげまる)は、時雨(しぐれ)をその場に落とす。


時雨(しぐれ)

「東の里直伝、背面頭突(はいめんずつ)きの術だ!まっまく、ワタシは甲賀ではないと言っただろう?って、おい!お前、大丈夫かい!?」


 その男は、廊下で、泡をふいて伸びてしまっていた。


 すると、そこにドタドタと一平(いっぺい)と、氷雨(ひさめ)が走って来た。


氷雨(ひさめ)

「し、時雨(しぐれ)!お前!」


時雨(しぐれ)

「あ・・・あはははは。・・・。どうしよう。」


 時雨は、肩をすぼめたのだった。


挿絵(By みてみん)

https://34716.mitemin.net/i537715/

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