【城に落ちる影】
次の日、城についた三人は、使用人に、大きな城の客間に案内されると、少しそこで待つようにと言われ、城の殿が座る上段の間を前に座っていた。
氷雨と一平は、二人でどんな任務なのかとそわそわしている様子だったが、時雨は、昨日の泡沫の言葉を考えていた。
【時雨】
(見えるをものを見・・・。何かこの城にはあるのか?だとしたら、この城のお殿様が来るまでの時間でこの城を探ってみるか・・・。)
【氷雨】
「どうした?時雨、黙りこんで・・・。」
【時雨】
「ううん。ちょっと、厠に行ってくる。」
【一平】
「ん?腹でも痛いのか?」
【時雨】
「いや、大丈夫だ。」
心配をする2人をよそに、時雨は、そのまま部屋を出て行ってしまった。
【一平】
「あいつって、本当に体よえーよな・・・。」
【氷雨】
「あぁ。昔っから、あいつは病弱だな。あいつがあんなに体が弱いのも、竜に選ばれた件と関係あんのかな?」
一平は、時雨のおいていった狐の面を見た。
【一平】
「・・・。これ、時雨が師匠に貰ったっていう、狐の面だろ?」
一平は、狐面を手に取り顔に近づける。そして、氷雨の方を向く。
氷雨は、その面を持つ一平の目が一瞬、冷たい目をしているように見えた。しかし、一平は、すぐにいつもの調子に戻り、面をつけて、ふざけて見せる。
【一平】
「どうだ?似合ってるか?・・・。」
そう、一平が氷雨に言った時だった。それは、一瞬の冷たい気、しかし、確かに一瞬、自分達に向けられる冷たい殺意を一平、氷雨は、感じとった。
一平の視界がお面で狭まった、その瞬間を待って、一本の矢が一平の頭目掛けて飛んできた。しかし、一平は、俊敏な動きで、自分に向かって来た羽のついた刃を左手で掴み、そのまま、天井に向かって、投げつけた。
【一平】
「そこだぁー!!!!」
矢は、天井に刺さる。
【一平】
「オイラに、飛び道具で喧嘩売るなんざ、バカなやつだぜ。」
【氷雨】
「降りてこいよ。誰だか知らないが、こんな危なっかしいもの人に投げつけて来るんじゃねぇ。」
すると、矢が刺さった天井が人、一人が通れる四方形型に開き、そこから自分達と年が近そうな少年が降りて来た。
【氷雨】
「何者だ?お前。」
一方その頃、厠に向かうと部屋を出た時雨は、長い城の廊下を曲がろうとしていた。廊下を歩いている限りでは、どこにでもあるような普通の城のようだった。師匠は、自分にこの城で何をさせたいのかと、疑問に思いつつ、廊下の角を曲がる、すると、後ろから、何者かの気配がした。
【男】
「何か、お探しですか?」
後ろから、声がした。
【時雨】
「あ・・・すみません。厠に行きたいのですが、迷ってしまって・・・。」
時雨は、後ろを振り返ろうとした。その一瞬の隙に男は時雨の首を右手で絞め。左手で、時雨の両腕を時雨の背中あたりで、鷲づかみにする。
時雨よりも、はるかに背が高く、がたいの良いしの男は、軽々と時雨の首を右手で絞めながら持ち上げ、時雨は、といとう足が地面から離れてしまった。
【時雨】
「くっくく・・・。ツッツッ!!!!」
呼吸は完全に止まり、今にも失神してしまいそうだ。
【影丸】
「俺は、影丸。お前等・・・。甲賀の忍びだな。3年前にあんなことをしておいて、よくもまぁ、ノコノコとこの城に来られたとものだ・・・。あの時のケジメ、キチンとつけてもらおうか。死んで、償ってもらおう。」
【時雨】
「ワタシ達・・・は・・・。甲賀の・・・。忍びじゃない。・・・。は・・・離せ・・・。く・・・苦・・・。」
視界がどんどん霞んでいく。そして、徐々にその霞は、闇を帯び、暗くなっていく。
【時雨】
「離せ・・・。って言ってるんだ!!!!」
時雨は、思いっきり頭を前に倒す。すると、僅かに背後の男が動揺したのが、分かった。時雨はその隙を逃さず、頭を素早く後ろにのけ反らせ、後ろの男に力いっぱいの頭突きをくらわせた。
【影丸】
「ぐはっ!!!!」
影丸は、時雨をその場に落とす。
【時雨】
「東の里直伝、背面頭突きの術だ!まっまく、ワタシは甲賀ではないと言っただろう?って、おい!お前、大丈夫かい!?」
その男は、廊下で、泡をふいて伸びてしまっていた。
すると、そこにドタドタと一平と、氷雨が走って来た。
【氷雨】
「し、時雨!お前!」
【時雨】
「あ・・・あはははは。・・・。どうしよう。」
時雨は、肩をすぼめたのだった。
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