【時雨と五月雨】
【これまでのあらすじ】
本流の村、本家の隣にある小屋の中には、東家の家系図と共にホタルの先祖が書いたとされる予言の巻物が保管されている。ある時、時雨はその巻物の内容について、泡沫になんと書いてあるか尋ねたことがあった。
しかし、泡沫は少し驚いた顔をした後、自分には読めないと言い、結局内容は分からずじまいだった。しかし、時雨は伊賀の里に連れ去られた際に時雨は自分が竜に選ばれた人間であるということを知らされる。
そして、良心的を殺された連雨と、その弟(冷雨)と共に伊賀から逃げ出す際に、時雨は他国の機密文書が収納される倉庫にて東の里について書かれた巻物を持ち出した。
こんにちは。有馬波瑠海です。(*´-`)
趣味での投稿になりますので、のんびりと書きたい時に、書きたい物語を書いていくと思いますので、途中で、あれ?どうしてこんな展開になっちゃうったの?(#・∀・)ついていけないよー?(/_;)/~~ということも出てきてしまうと思いますが、素人が書いた絵日記の延長線だと思って暖かく見守っていただけたら、幸いです。(*´-`)
※イラストは、ある時とない時がございます。あらかじめご了承ください。→あれ?もはや絵日記ですらない?(((((((・・;)
姉妹作品【闇に沈む侍】(完結)
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ーーーーーーーーーその日の夜遅くーーーーー
連雨は、一人、誰にも気づかれないように東本家の玄関を出た。外は、少し肌寒く、とても静かな夜だった。玄関の扉を静かに閉めて、ゆっくり息を吹くと、東の里の出口に向かって歩き出そうとする。しかし、不意に屋根の上から、声をかけられた。
【時雨】
「・・・連。どこへ行くんだい?」
屋根の上を見ると、瓦に腰をかけた時雨の姿があった。
【時雨】
「こんな時間に、子供一人で出歩くのは危ない・・・。」
連雨は下を向く。
【連雨】
「・・・にぃちゃん。・・・俺はもう抜け忍だ。伊賀は抜け忍を絶対に許さない。いつか俺を殺しに来るかもしれない。俺達のためにこの里が危険にさらされるは嫌だ。でも・・・どうか弟だけは、この里に置いてやってくれ。俺と一緒に連れて行くのは、あまりにも過ぎるんだ。ワガママ言ってるって、分かってる。でも・・・。お願いだ。にぃちゃん・・・。」
連雨は拳を握りしめる。時雨の返事を息を飲んで待つ。
【時雨】
「・・・そうだな。お前も、この里に残るっていうなら、お前の頼み、聞いてやるぞ。」
連雨は驚いて再び時雨を見た。
【連雨】
「・・・でも、それじゃあ・・・」
すると時雨は里を見渡すように遠くを見る。
【時雨】
「・・・ワタシは、この東の里を護る者。・・・この命尽きるまで、この里を護り続ける。」
【連雨】
「えっ!?」
何を言っているのだろうと、思った。しかし時雨は優しい口調で続ける。
【時雨】
「この里の人々は、全員、ワタシにとって護るべき大切な家族だ。それは、連それに冷、お前達二人も同じだ。この里を脅かそうとする者がいたとしても、ワタシが何人たりともそれを許さない。・・・だから、連雨、安心してこの里にいて良いんだよ。」
時雨は笑う。とても優しく。連雨が安心して、この里にいれるように。
【連雨】
「にぃちゃ・・・。ありがとう・・・。うぅ・・・。うう・・・。」
【時雨】
「もう、夜も遅い。冷をいつまでも、一人で寝かしていては可哀想だ。早く戻ってやりなさい。」
【連雨】
「うん・・・。」
連雨は、冷雨が、待つ部屋に戻ると、久しぶりに心から安心して眠ったのだった。
時雨は、連雨が家に入って行くのを確認すると、先日伊賀から盗み出して出した東の国に関する機密文書と書かれた巻物を開ける。どこかで見たこがあるような絵柄と文面・・・。時雨は、夜中こっそりと倉庫にあるホタルの先祖が書いたとされている予言の巻物を開いた・・・。その内容は、どうやら伊賀の国に保管された機密文書とどうやら同じようだった・・・。
いつかの正月の時に泡沫に見せた時、泡沫は、酷く驚いた顔をしたと思ったら、突然厳しい面持ちなった、あの巻物だ。あの時、泡沫はこの巻物の字は、かなり昔に書かれたものであるから、読めないと言っていたが、あれはやはり嘘だったようだ
・・・。巻物を開けば、あの時と同じように東家の家系図も出てきた・・・。
東の里に泡沫が、自分達の師匠になってから、教えられてきたのは、何も忍びとしての技術を磨くためだけの修行だけではなかった。
読み書きに数の数え方、そして、東の里にある寺子屋では教えてくれないような、今の日の本でのまつりごとや、各地の方言など、忍びとした生きていくのに十分な教養を教えてくれた。
そんな知識が豊富な師匠が、今は使われていない昔の文字で書かれているからって、巻物の内容が分からないはずがなかった・・・。
そして、その師から教えを受けた今、その弟子もまた、巻物の内容か分からないはずがなかった・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
後ろに誰かいる気配がする・・・。そして、その人は低くそして揺るぎない真のある声で問いかけてきた。
【五月雨】
「・・・あいつに・・・聞いたのか?」
紛れもない父親の声だった。
【時雨】
「・・・いいえ。師匠は、ワタシに何も言っていない・・・。ワタシが自分で気づいたんだよ・・・。父上・・・。」
【五月雨】
「そうか・・・。」
長い沈黙がその場に落ちる・・・。今日の風は、いつもよりも冷たく感じた・・・。あぁ・・・。そろそろ梅雨がやってくるな・・・と時雨は思う。
【五月雨】
「俺を、恨むか?・・・時雨・・・。本当なら、お前が・・・。」
低くいて、そして芯に響くような声で問いかけるその声は、威厳に溢れた力強い声だった・・・。
家族でいる時も、里の者と話す時も、誰と話す時も、この人は、威厳と自信にあふれた声で人々を励まし、導きこの里を導いてきた。
【時雨】
「父上・・・。兄上は、兄上ですよ・・・。体の弱い弟をよく看病してくれる、頼りになる優しい・・・ワタシのたった一人の兄上だ・・・。それに、先に生まれた方が、兄となるのは、普通でしょう?」
時雨は、笑って振り向いた。後ろにいる者に、心配をかけたくないと、そう思った・・・。
時雨は、父親はきっと、複雑な気持ちでそこに立っているのだろうと思った。どんな顔をして自分の後ろに立っているのだろうか・・・?
深刻な顔をしているだろうか?それとも、いつものように厳しい表情をしているのだろうか・・・?
しかし、振り向いた時に目に飛びこんで来たのは、父親の顔では無かった・・・。
飛びこんできたのは、大きな、大きな、一国の長の背中だった・・・。本流の村の長の名、雲海の文字の描かれた羽織が、風に舞う。
そう・・・。この人はそういう人だった・・・。振り向かない・・・この人は、自分がした選択に対して、決して後悔などしない人だった。
苦しみも悲しみ、たった一人でその背中に背負い、たった一人で雲海の名を背負って今までこの里を護ってきた。
きっとこの人は、今までもそして、これからも、この一切の迷いのない眼で真っ直ぐに里の未来を見ていくのだろう。
そうだ・・・。
自分はこの背中を見て、育った。
そして、思ったのだ。いつかは・・・。
自分も父のような・・・雲海に・・・。
時雨は、一度目を閉じて、そして言った・・・。
【時雨】
「兄上は、きっと・・・本流の長、雲海の名を父上から立派に受け継ぎます。だから・・・あなたは、何も迷うことなんて、ありませんよ・・・。」
そう言うと、時雨は屋根からすっと飛び降り、家の中に入っていった。
時雨がいるうちは、決して五月雨は振り向かなかった。いや、振り向けなかったのだ。
竜の力を封印して、時雨を普通の人間とし、そして、長男として育てる方法もあった・・・。だが、自分はそれをしなかった。父親としてではなく、一つの里を守る雲海として、時雨を次男として、竜に選ばれし者として生きさせることを決めたのだ・・・。
だから、もう・・・。
朝日が登って行くのを見ながら、五月雨は思った。もし、あいつが竜に選ばれていなかったら、全然違う形の里の未来が今ここに存在していたのだろうかと・・・。
読んでくださり、ありがとうございます。いつも読んでくださっている全ての皆様に心から感謝いたします。(o´・ω・`o)
次回は、来週の土曜午前9時です。お見逃しなく~( ´・ω・)シ




