【ホタルの舞】
【今回のあらすじ】
12才となったホタルが初めて、毎年正月に行われる舞を初披露するお話です。
こんにちは。有馬波瑠海です。
(*´-`)
趣味での投稿になりますので、のんびりと書きたい時に、書きたい物語を書いていくと思いますので、途中で、あれ?どうしてこんな展開になっちゃうったの?(#・∀・)ついていけないよー?(/_;)/~~ということも出てきてしまうと思いますが、素人が書いた絵日記の延長線だと思って暖かく見守っていただけたら、幸いです。(*´-`)
※イラストは、ある時とない時がございます。あらかじめご了承ください。→あれ?もはや絵日記ですらない?(((((((・・;)
今回は、そんな私が書く【時雨の里】その第二十三話目です!(。-人-。)
姉妹作品【闇に沈む侍】連載開始!もし、よろしければ、こちらも合わせてご覧ください!
【闇に沈む侍】
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【ホタル】
「どう・・・?」
ホタルは雅な着物に身を包み、唇にもほんのりと紅をさして氷雨と時雨に聞く。氷雨は下を向いたまま、顔を上げない。しかし、しばらくして、ゆっくりと顔を上げるとホタルを一瞬見る。
ホタルは、不思議そうに氷雨を見ていた。氷雨はホタル目が合うと慌てて目をそらし、言う。
【氷雨】
「ま・・・あ、あれだ・・・な。ま、まごにも衣装ってやつかな・・・。」
【ホタル】
「え!ひどーい!」
【氷雨】
「え?なんで?」
【時雨】
「兄上、馬子にも衣装は、誉め言葉じゃないよ・・・。」
【氷雨】
「え?そうなの?俺はてっきり、可愛い孫には衣装がよく似合うって意味・・・なのかと・・・」
氷雨はそんなことを言いながら顔が真っ赤になり、決まりが悪そうになる。
【時雨】
「あははは・・・。とっても、綺麗だよ。ホタル。」
時雨は優しく笑いながら言う。
【ホタル】
「あ、ありがとう・・・時雨様・・・。」
ホタルはなんだか照れているようだった。
【ホタル】
「きょ、今日ね・・・。私、舞を踊るの。」
【時雨】
「うん!そうだよね!小屋で兄上ともその話をしていたんだ。」
【ホタル】
「ほ、本当?あ、・・・えっとね。そのもしよかったら、見に来て欲しいなって、思って・・・も、もちろん氷雨様と二人で。ふ、二人が山に行ってる間一生懸命練習したの。だから・・・。」
【時雨】
「もちろん!楽しみにしてるよ!」
【ホタル】
「あ、ありがとう。」
本流の村では、毎年元旦の夜に一年の天泣踊りという、豊作を願う舞躍りを12才から22才までオナゴが踊るのが伝統となっている。ホタルも今年から12才のため、その躍りに加わることになり、時雨と氷雨が泡沫と供に大月山へ修行に行ったのと時を同じにして、躍りの稽古を始めていた。毎日何時間もの練習をし、ついに今日踊ることとなったのだ。
時雨は、その後、遊んでもらう約束をしていたという何人かの子供達にやって来て、時雨の腕を掴み、遊ぼう遊ぼうと言ってぐいぐい引っ張って行く。時雨は申し訳なさそうにホタルの方を振り返る。
【時雨】
「じゃ、ご、ごめん。ホタル。また後で!」
時雨は沢山の子供に囲まれて麦畑のある方へと向かって行く。面倒見がよく、大きな器で何人も包み込んでしまう時雨の背中を見つめ続けるホタルに、氷雨は声をかけられなかった。
夜になると、いよいよホタルが舞を踊ることとなった。12才から22才までのオナゴが、村中をゆったりとした優しい縦笛や三味線の音に合わせて躍り歩く。
時雨は、氷雨と供にホタルの舞を見るために、開始場所となる村の入り口へと向かう。
【時雨】
「師匠も、来れば良かったのに。兄上も、そう思うだろう?」
氷雨は、何か考えごとをしているのか、聞いていないようだ。
【時雨】
「兄上?」
【氷雨】
「え?あ、あぁ・・・なんか、父ちゃんと呼び出されてたから、何か父ちゃんに頼みごとでもされているんだと思うぜ・・・。」
【時雨】
「・・・。兄上、なんだかいつもと様子が違う。どうかしたのか?」
【氷雨】
「・・・なんでもない・・・。時雨。」
【時雨】
「うん?」
氷雨は、突然止まり、道の途中で止まり言う。
【氷雨】
「ここで、俺と一本勝負しよう。」
【時雨】
「え?ここで?何言ってるんだ!ホタルの舞が始まってしまうよ?」
氷雨は、何も答えない。その代わりに腰にさした泡沫からもらった真っ赤な木刀を抜き時雨に刃先を時雨に向けた。顔はいつになく真剣な表情をし、時雨を真っ直ぐに見る。
【時雨】
「・・・。勝敗は・・・どう決める?」
時雨は、氷雨のいつにない真剣な気迫に答えなくてはならないと思った。腰にさす青い木刀を抜き、氷雨に対峙するように構える。
【氷雨】
「最初に・・・一本とった方の勝ちだ。いいか?」
【時雨】
「あぁ・・・。分かった。」
氷雨は、近くにあった小石を空高く放り投げる。風はなく投げられた小石は真っ直ぐに下へと落ちる。小石が地面に落ちたのと同時に赤と青の木刀が交差する。
【氷雨】
「オラァーーーーーーー!!!!!!!」
赤い木刀が時雨に一刀を食らわせようと、何度も何度も木の刀を振るう。しかし、何度刃を向けても、何度向かって行っても、空を切るばかり、たった一刀。それが決まれば自分の勝ちだ。しかし、その一刀を振るうことは、氷雨にとってこれ以上ない険しい試練だった。
皆が天泣踊りを見に行く中、五月雨と泡沫は本家の大広間で酒を酌み交わしていた。
【五月雨】
「泡沫・・・。あいつの様子は、どうだ?あいつは、強くなれるか?この村の長、雲海の異名を受け継げるか・・・?」
【泡沫】
「・・・。このままいけば、あいつは必ず強くなりますよ・・・。何度となく突きつけられる敗北と挫折にも、目を背けずに立ち向かう。時雨に対する劣等感も、周りの評価にも苦しみながら、もがきながらそれでもあいつは前に進む・・・。あなたから、雲海の名を受け継ぐために。」
【五月雨】
「そうか・・・。」
【泡沫】
「だが・・・。努力すれば実現出来る夢を追いかけるやつは、努力しても実現できない夢を追いかけるやつには勝てない・・・。なぜなら、最初から到着地点を見て走っているのと、到着地点のない右も左も見えない霧の中を走るやつとでは、努力の量が違う。志も違う。何よりも、覚悟が違う・・・。」
五月雨は、厳しい顔をする。しかし、泡沫はそれでも続けた・・・。
【泡沫】
「時雨の覚悟と、氷雨の覚悟・・・。どちらが重いか・・・。時雨は、氷雨に一回たりとも負けたりなんてしませんよ・・・。」
青の木刀が赤い木刀の一瞬揺らぐ。その揺らぎを時雨は、見落とさなかった。ほんのわずかな気の緩み、それは隙となって剣の筋を鈍らせる。揺らがせる。時雨はその揺らぎに向かって真っ直ぐに青い刀を伸ばし、揺らぎの下に入り込むとその後、夜空に向かって突き上げる。すると、氷雨の赤い木刀は甲高い音を立てて、氷雨の後方のずっと先まで弾かれた。
読んでくださり、ありがとうございました!
今回は、ホタルの思いと、氷雨の思いがほんの少し垣間見えたお話になったのかな?と思います。
(*´-`)
次回もお楽しみに!(*´-`)




