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【時雨の里】  作者: 有馬波瑠海
【第六章】本流の村での年末年始
23/225

【ホタルの舞】

【今回のあらすじ】


 12才となったホタルが初めて、毎年正月に行われる舞を初披露するお話です。



こんにちは。有馬波瑠海(ありまはるか)です。

(*´-`)



趣味での投稿になりますので、のんびりと書きたい時に、書きたい物語を書いていくと思いますので、途中で、あれ?どうしてこんな展開になっちゃうったの?(#・∀・)ついていけないよー?(/_;)/~~ということも出てきてしまうと思いますが、素人が書いた絵日記の延長線だと思って暖かく見守っていただけたら、幸いです。(*´-`)


※イラストは、ある時とない時がございます。あらかじめご了承ください。→あれ?もはや絵日記ですらない?(((((((・・;)




今回は、そんな私が書く【時雨の里】その第二十三話目です!(。-人-。)




 姉妹作品【闇に沈む侍】連載開始!もし、よろしければ、こちらも合わせてご覧ください!




【闇に沈む侍】

https://ncode.syosetu.com/n3500gt/

【ホタル】

「どう・・・?」


 ホタルは雅な着物に身を包み、唇にもほんのりと紅をさして氷雨(ひさめ)時雨(しぐれ)に聞く。氷雨(ひさめ)は下を向いたまま、顔を上げない。しかし、しばらくして、ゆっくりと顔を上げるとホタルを一瞬見る。

ホタルは、不思議そうに氷雨(ひさめ)を見ていた。氷雨(ひさめ)はホタル目が合うと慌てて目をそらし、言う。


氷雨(ひさめ)

「ま・・・あ、あれだ・・・な。ま、()()にも衣装ってやつかな・・・。」


【ホタル】

「え!ひどーい!」


氷雨(ひさめ)

「え?なんで?」


時雨(しぐれ)

「兄上、()()にも衣装は、誉め言葉じゃないよ・・・。」


氷雨(ひさめ)

「え?そうなの?俺はてっきり、可愛い()には衣装がよく似合うって意味・・・なのかと・・・」


 氷雨(ひさめ)はそんなことを言いながら顔が真っ赤になり、決まりが悪そうになる。


時雨(しぐれ)

「あははは・・・。とっても、綺麗だよ。ホタル。」


 時雨(しぐれ)は優しく笑いながら言う。


【ホタル】

「あ、ありがとう・・・時雨(しぐれ)様・・・。」


 ホタルはなんだか照れているようだった。


【ホタル】

「きょ、今日ね・・・。私、舞を踊るの。」


時雨(しぐれ)

「うん!そうだよね!小屋で兄上ともその話をしていたんだ。」


【ホタル】

「ほ、本当?あ、・・・えっとね。そのもしよかったら、見に来て欲しいなって、思って・・・も、もちろん氷雨(ひさめ)様と二人で。ふ、二人が山に行ってる間一生懸命練習したの。だから・・・。」


時雨(しぐれ)

「もちろん!楽しみにしてるよ!」


【ホタル】

「あ、ありがとう。」


 本流の村では、毎年元旦の夜に一年の天泣踊りという、豊作を願う舞躍りを12才から22才までオナゴが踊るのが伝統となっている。ホタルも今年から12才のため、その躍りに加わることになり、時雨(しぐれ)氷雨(ひさめ)泡沫(うたかた)と供に大月山へ修行に行ったのと時を同じにして、躍りの稽古を始めていた。毎日何時間もの練習をし、ついに今日踊ることとなったのだ。




 時雨(しぐれ)は、その後、遊んでもらう約束をしていたという何人かの子供達にやって来て、時雨(しぐれ)の腕を掴み、遊ぼう遊ぼうと言ってぐいぐい引っ張って行く。時雨(しぐれ)は申し訳なさそうにホタルの方を振り返る。


時雨(しぐれ)

「じゃ、ご、ごめん。ホタル。また後で!」


 時雨(しぐれ)は沢山の子供に囲まれて麦畑のある方へと向かって行く。面倒見がよく、大きな器で何人も包み込んでしまう時雨(しぐれ)の背中を見つめ続けるホタルに、氷雨(ひさめ)は声をかけられなかった。



 夜になると、いよいよホタルが舞を踊ることとなった。12才から22才までのオナゴが、村中をゆったりとした優しい縦笛や三味線の音に合わせて躍り歩く。


 時雨(しぐれ)は、氷雨(ひさめ)と供にホタルの舞を見るために、開始場所となる村の入り口へと向かう。


時雨(しぐれ)

「師匠も、来れば良かったのに。兄上も、そう思うだろう?」


 氷雨(ひさめ)は、何か考えごとをしているのか、聞いていないようだ。


時雨(しぐれ)

「兄上?」


氷雨(ひさめ)

「え?あ、あぁ・・・なんか、父ちゃんと呼び出されてたから、何か父ちゃんに頼みごとでもされているんだと思うぜ・・・。」


時雨(しぐれ)

「・・・。兄上、なんだかいつもと様子が違う。どうかしたのか?」


氷雨(ひさめ)

「・・・なんでもない・・・。時雨(しぐれ)。」


時雨(しぐれ)

「うん?」


 氷雨(ひさめ)は、突然止まり、道の途中で止まり言う。


氷雨(ひさめ)

「ここで、俺と一本勝負しよう。」


時雨(しぐれ)

「え?ここで?何言ってるんだ!ホタルの舞が始まってしまうよ?」


 氷雨(ひさめ)は、何も答えない。その代わりに腰にさした泡沫(うたかた)からもらった真っ赤な木刀を抜き時雨(しぐれ)に刃先を時雨(しぐれ)に向けた。顔はいつになく真剣な表情をし、時雨(しぐれ)を真っ直ぐに見る。


時雨(しぐれ)

「・・・。勝敗は・・・どう決める?」


 時雨(しぐれ)は、氷雨(ひさめ)のいつにない真剣な気迫に答えなくてはならないと思った。腰にさす青い木刀を抜き、氷雨(ひさめ)に対峙するように構える。


氷雨(ひさめ)

「最初に・・・一本とった方の勝ちだ。いいか?」


時雨(しぐれ)

「あぁ・・・。分かった。」


 氷雨(ひさめ)は、近くにあった小石を空高く放り投げる。風はなく投げられた小石は真っ直ぐに下へと落ちる。小石が地面に落ちたのと同時に赤と青の木刀が交差する。


氷雨(ひさめ)

「オラァーーーーーーー!!!!!!!」


 赤い木刀が時雨(しぐれ)に一刀を食らわせようと、何度も何度も木の刀を振るう。しかし、何度刃を向けても、何度向かって行っても、空を切るばかり、たった一刀。それが決まれば自分の勝ちだ。しかし、その一刀を振るうことは、氷雨(ひさめ)にとってこれ以上ない険しい試練だった。





 皆が天泣踊りを見に行く中、五月雨(さみだれ)泡沫(うたかた)は本家の大広間で酒を酌み交わしていた。


五月雨(さみだれ)

泡沫(うたかた)・・・。あいつの様子は、どうだ?あいつは、強くなれるか?この村の長、雲海(うんかい)の異名を受け継げるか・・・?」


泡沫(うたかた)

「・・・。このままいけば、あいつは必ず強くなりますよ・・・。何度となく突きつけられる敗北と挫折にも、目を背けずに立ち向かう。時雨(しぐれ)に対する劣等感も、周りの評価にも苦しみながら、もがきながらそれでもあいつは前に進む・・・。あなたから、雲海の名を受け継ぐために。」


五月雨(さみだれ)

「そうか・・・。」


泡沫(うたかた)

「だが・・・。努力すれば実現出来る夢を追いかけるやつは、努力しても実現できない夢を追いかけるやつには勝てない・・・。なぜなら、最初から到着地点を見て走っているのと、到着地点のない右も左も見えない霧の中を走るやつとでは、努力の量が違う。志も違う。何よりも、覚悟が違う・・・。」


 五月雨(さみだれ)は、厳しい顔をする。しかし、泡沫(うたかた)はそれでも続けた・・・。


泡沫(うたかた)

時雨(しぐれ)の覚悟と、氷雨(ひさめ)の覚悟・・・。どちらが重いか・・・。時雨(しぐれ)は、氷雨(ひさめ)に一回たりとも負けたりなんてしませんよ・・・。」






 青の木刀が赤い木刀の一瞬揺らぐ。その揺らぎを時雨(しぐれ)は、見落とさなかった。ほんのわずかな気の緩み、それは隙となって剣の筋を鈍らせる。揺らがせる。時雨(しぐれ)はその揺らぎに向かって真っ直ぐに青い刀を伸ばし、揺らぎの下に入り込むとその後、夜空に向かって突き上げる。すると、氷雨(ひさめ)の赤い木刀は甲高い音を立てて、氷雨(ひさめ)の後方のずっと先まで弾かれた。

読んでくださり、ありがとうございました!


今回は、ホタルの思いと、氷雨の思いがほんの少し垣間見えたお話になったのかな?と思います。

(*´-`)


次回もお楽しみに!(*´-`)

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