第九話 ななちゃん、どろんで蛙さん?の巻
ろく、なな、はちの三人が、かなちゃんに言われ、お部屋のお掃除をしていたところ、押し入れの奥から一本の巻物が出てきたようです。
「これなにでちゅ?」
ななちゃんが紐を解くと、ころころころぉっと広げて見せました。
「にんじゃしゃんのことでしゅ!」
はちちゃんが巻物に描かれた忍者を、ぺたぺたと触りながら説明してくれます。
「にんじゃしゃん。まちものたべて、かえるしゃんに、のってましゅ」
“え~と、つまり、口寄せの術で大きな蛙を呼び出した──”ということを言いたいみたいです。
「えぇぇ! ろく、かえるしゃんこわぁい……」
絵の蛙で怖いということは、実際登場した暁には、泣き出してしまうことだろう。
「かえるしゃん、こわいのことだから、ちがうのにしゅるでちゅ!」
そして、ななちゃんが導き出した蛙の代わりとは……。
「しょうだっ! うしゃしゃんにしゅるでちゅ!」
蛙と同じように、ぴょんぴょん跳び跳ねて、怖くない生き物。それは“兎さん”しか思い付きません。
「うしゃぎしゃんなら、ろく、こわくないでしゅ!」
「じゃあ、おしょとに、うしゃぎしゃん、しゃがしにいくでしゅ!」
行動派のはちちゃんが先頭に立ち、お部屋の戸を開けました。
すると──
「あら? もうお掃除は済んだのかしら? どれどれ?」
そこに立っていたのはかなちゃん先生でした。
気不味くなったはちちゃんは、咄嗟にこの場を取り繕う一言を……。
「ほこりが……しゅごいだからぁ」
「ん? 埃がどうしたのかな? 兎さん探しに行こうとしてないよね?」
「……しょ、しょれはまた……ちがうの、おはなしでしゅ」
そう言うと、ゆっくりと戸を閉めたはちちゃん。
「全くあの三人は、まるで好奇心の塊ね。集中力を鍛える訓練でもさせようかしら」
その後、一生懸命お掃除した結果、お部屋はぴかぴかになり、かなちゃんからも誉めてもらった、ろく、なな、はちの三人でした──