第八話 ななちゃん、授業参観をするの巻
ろく、なな、はちの三人は、学校の中を探検中です──
「はちしゃん。しぃぃでちゅよ。ないちょのことだから」
ななちゃんが注意を促しますが、はちちゃんは今にも走り出してしまいそうな雰囲気です。
「しじゅかなとこぉ……ろく、こわいでしゅ」
こちらは怖がりろくちゃん。授業中の校内は静まり返り、確かに少し怖く感じるかも知れません。
そんな三人は、とある教室を目指しておりました。
「かなしゃんの、きょんしちゅ……どこでちゅかぁ」
すると──
「変わり身の術とは──」
聞こえてきたのはかなちゃんの声でした。
「あっ、かなしゃんでちゅ」
「えっ? ななちゃんのおねえしゃん?」
「ろくもみるでしゅ」
廊下の三人に気付いたかなちゃんは、開いている障子の間から見える三人に“静かにしてね”と、口だけを動かして伝えました。
「はぁぁい!」
元気なお返事が教室の外から聞こえたので、生徒のみんなの視線は自然と廊下側へ向きます。
そこに見えたのは、三つの小さなおててでした。
「はい。みんな集中して。授業中よ」
かなちゃん先生の一言は、ざわついた生徒達を何事も無かったかのように落ち着かせました。
その光景に、ろく、なな、はちの三人は、ぱちぱちぱちと拍手喝采。
廊下を向く生徒達、注意するかなちゃん、拍手する三人。
一生続くのではないかと思うかなちゃんでしたが、気を取り直して授業を続けます。
「みんな、これを見て。これが──」
かなちゃんが紙に墨で絵を描き、分かりやすく説明をし始めました。
「ななちゃんの、おねえしゃん、“え”かくのおじょうじゅでしゅねぇ」
「はちも、“え”かくのしゅきでしゅよ」
「ななもしゅきでちゅ。あっ! しゃんにんで、おへやで“え”かくのことしゅるでちゅ」
そういうと、ろく、なな、はちは、わちゃわちゃしながら、自分達の部屋へと帰って行きました。
「やっと帰ったぁ。こんなにやりにくい授業参観ないわぁ」
そう思いつつも、ななちゃんが二人と仲良くしていることに、安心したかなちゃん先生でした──