第六話 ななちゃん、大好きごはんの巻
どんぐりを手にした賑やかな三人が食堂へと入ると、おばさんがやっと来たと胸を撫で下ろしホッと息を吐きました。
「ななでちゅ。しゃんしゃいでちゅ」
「あなたがななちゃんね。かなちゃんからお話聞いてるわよ。よろしくね」
「えっ! ななのおはなち?」
うれしそうに微笑むななちゃんを抱き上げ、ちびっ子くのいちさん達を席に着かせるおばさん。
「今日はななちゃんの、学校一日目だから、ななちゃんの大好物を作りました。どうぞ、召し上がれ」
「どちて、ななのしゅきのこと、しってるでちゅ?」
「さぁ、何故でしょう?」
「あっ! かなしゃん、ななのおはなちちたからでちゅ!」
「せいかぁい。ななちゃんは、勘がいいこねぇ」
「はいでちゅ。なな、いいこでちゅ」
ちなみにななちゃんの大好物は、お野菜たっぷりのお味噌汁と、焼いて骨を取ってもらったお魚さんです。
「それでは三人さん。おててを合わせて、いただきますしてください」
パンっというかわいい音を鳴らし、ななちゃん達は口を揃えて……。
「いただちまぁちゅ!」
三歳の女の子と言っても食欲は旺盛で、毎食作った食事が残ることは無いと、かなちゃんから前もって聞いていたおばさん。
「ろくちゃん、はちちゃんも食べる方だけど、ななちゃんも食べるわね。おかわりは沢山あるから、いっぱい食べてね」
三人ともお口が塞がっているので、静かに手を挙げ了解したことを伝えました。
二十分後──
お口に食べ物を運ぶ手がゆっくりになり、ろく、なな、はちは、うつらうつらと、舟を漕ぎ始めました。
「ふふっ。やっぱりまだ、三歳じゃ赤ちゃんね」
顔や手や服についた食べこぼしを取りながら、おばさんは三人のお世話をうれしく思っていました。
「なな……あかしゃん……ちがう……でちゅ」
「あら? 寝言かしら」
すると、食堂の戸が開き、かなちゃんが入って来ました。
「これからなながお世話になります。ご覧の通りの食べっぷりなので、食費の方、多めに入れさせていただきます」
「それは助かります」
そんな会話をしながら、かなちゃんとおばさんは、顔を見合わせて笑いながら、三人を起こさないように部屋へと寝かしに行きました。
「……おいち」
毎日のお食事が楽しみになったななちゃんでした──