第十二話 ななちゃん、夜を走るの巻【前編】
楽しかった一日も終わり、ろく、なな、はちの三人は、揃ってお布団に入りました。
今日は吹く風が強く、時折お部屋が揺れるほどでした。
眠ってしまえば分からぬだろうと、横になると早々に、寝息をたて始めました。
一人を除いてですが。
がたがたがた──
「……こわぁいでしゅ」
風を受け、音を鳴らす戸に怯えるろくちゃん。
「ん? ろくしゃん、どちたでちゅか?」
その声に安堵したのか、ななちゃんのお布団に潜り込んできたろくちゃん。
「ろくしゃん、ないてまちゅ!」
今度はその声に反応して、はちちゃんが起き上がりました。
「どうしたでしゅ。こわぁいのこと、あったでしゅか?」
ななちゃんも、はちちゃんも、心配して話し掛けますが、お耳を押さえたろくちゃんには届きません。
「こうなったら、かなしゃん、よぶちかないでちゅ!」
「はちもいくでしゅ!」
怖がるろくちゃんを一人お部屋に残し、ななちゃん、はちちゃんが目指すは、かなちゃん先生のお部屋です。
「こわいでしゅ……」
ろくちゃんが閉じていた瞼を、少しだけゆっくり開くと、その眼に映ったのは……。
「おばけでしゅうぅぅ!」
障子越しに影が映り、しかも強い風によって、二人の髪は逆立って見えたのでした。
ろくちゃんの叫び声は、強風によって外にいたななちゃん、はちちゃんには聞こえません。
「はちしゃん。いくでちゅ!」
「ばんがるでしゅ!」
果たしてなな、はちの二人は、無事にかなちゃんのお部屋へと着くのでしょうか──
そして、一番の怖がり屋さんのろくは、一人で大丈夫なのでしょうか──
【次回へ続く】




