第十話 ななちゃん、初めての任務の巻【前編】
「──これを、隠れ身の術といいます」
今日はかなちゃん先生の座学を受けている、ろく、なな、はちの三人。
「かくれんぼのじゅちゅでしゅ」
はちちゃんの“かくれんぼ”という言葉に、他の二人が反応し、今にもかくれんぼが始まりそうな空気でしたが……。
「……にゃあぁぁ」
か細い声で鳴く、一匹の子猫が教室に入って来ました。
「ちいしゃい、ねこしゃんでちゅ!」
ななちゃんが気付き、そっと抱き上げます。
「ねこ、どうちてきたでしゅか?」
猫の頭を撫でながら、はちちゃんは疑問を呟くと……。
「ろく、ねこしゃん、こわぁいでしゅ。ちゅめ、ありましゅ」
いつもの怖がりろくちゃんが顔を覗かせます。
こうなると授業どころではありません。
なので──
「はいっ! それでは三人に、先生から特別任務を与えます」
迷い猫を何とかしなければ、先に進まないと踏んだかなちゃん先生は、こんなことを言いました。
「三人には、その猫ちゃんのお母さんを捜してもらいます。そして、この任務の決まり事は、校内から出ないこと。わかりましたか?」
「はいでちゅ! ななでちまちゅ!」
「はちもでちましゅ!」
「……ろく、こわいでしゅ」
今にも泣きそうなろくちゃんに、ななちゃんとはちちゃんが……。
「なながいるでちゅ!」
「はちが、おてて、ちゅなぐでしゅ!」
ろくちゃんは嬉しくなり、目に涙を溜めながら……。
「ろく、がんばるでしゅ!」
結束力が高まり、やる気に満ちた表情のろく、なな、はち。
「さぁ、それでは、お夕飯までの特別任務、始めっ!」
こうして、ろく、なな、はちの三人は、お母さん猫捜索の特別任務に当たることとなりました。
「おかあしゃんねこしゃん。かくれんぼのじゅちゅ、してるでちゅ」
授業で教えた“隠れ身の術”──
使い方はおかしいですけど、覚えてくれたみたいで、かなちゃん先生は少しだけうれしく思いました──
【次話へ続く】




