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絶食88日間 ガンからの生還  作者: 御影神吾
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6 幻覚症状 (1)

6 幻覚症状 (1)


9月4日、(月)点滴等不明、幻覚症状?生死をさ迷った日でした。


9月4日、日頃の疲れと多量な点滴で殆どベッドにいたが、午後3時前後胸がむかついたので、私は咄嗟に起き上がり傍にあった円筒形のごみ入れを取り上げ、其の中に吐血した。


他の患者さんが連絡して頂いたと思う、直ちに看護婦さんが来て「大丈夫!しっかりして!」と声を掛け汚れた口元とパジャマをタオルで拭きながら「塵籠に吐かれたら計測ができないね」…と注意を受けた。


私は私物箱の上に金属製の汚物用受け皿がある事は日頃から確認をしていたが…これくらいの容器では溢れ出ると思ったので…私の様子を聞き付け婦長さんと二~三人の看護婦さんが来て血圧、検温の測定及び注射等を施した後、主治医の指示で集中治療室に移る事になり「足と手をベッドから出さぬ様に!」と注意を受け前後に、二人の看護婦さんが付き、20m程放れたナースステイション前、南側の集中治療室に移された。


この部屋に入り、移動して来たベッドから個室備え付けのベッドに移り、このベッドに移り変わる迄は、ハッキリ看護婦さん達の会話と行動等を記憶しています。

ベッドを並べ御影さん壁際のベッドに移しますと言って、頭に二人足元に二人が付いて「セイノ!」と掛け声を掛け合い、私を移しました。


移した後、もう少し上にあがって下さいと言われそれに私は従いましたが?…これ以後周囲が途端に静かになり、どこかに吸い込まれて行く感じがして???…気が付くと私は先程のベッドの中で天井を見上げていた。


ベッドは部屋の中央にあり、突然天井がクルクルと廻り始めたので、私は驚き叫びました。


すると耳元で「サア行うか!」と女性の声がしてベッドの前後に看護婦さんが付きゴウゴウと車輪の音を響かせ、かなりなスピードで、周囲庭木の梢と同じぐらい高さの渡り廊下に来ていました。


この廊下の天井はアーチ形をしており外は明るく透明な屋根に光が反射し、水が弾け落ちているのが下から見上げられ、今でも鮮明に覚えています。私は看護婦さんに声を掛けました。


「此の病院にこんな場所があった!?何処に連れて行くの?」…と声を掛けたが返事は無く渡り廊下を渡り切り、別棟入口辺りで…耳がツーンとして極端に静かになり…場面が変わりました。


私は周囲の木立が紅葉している小高い山の峰にいた。目の前の細い道は、馬の背の状態で右側谷の向こうは麓を紅葉で埋め尽くした美しい山が聳えており、この小高い山は、野鳥の鳴き声や林の梢を吹き鳴らす風の音がまったく無く静寂そのものだった。


峰の先方30m位の所に六~七十歳位前後で私の知らない七~八名の登山者が居て各人、缶ビール、缶コーヒー又はお茶等を飲みながら休んでおり、服装は殆どカラーウエアーを着用、小さいリュクサックを背負い皆軽装な姿で、その中に女性も二~三人いました。


突然一人の男が大きな声で「オオイ!早く来いよ!待っているから」と声を掛けてきたので私は『有難う!すぐに行くので待って呉れ』と手を振って歩き出したが、馬の背に足を乗せた途端、山の頂上が左右に揺れ動き蛇行が起こったので、私は「山が動いて歩けない!先に行って呉れ!」と声を掛けると「分かった!」と同じ男から返事が返ってきた。


ここで又耳がツーンとして場面が変わりました。


其処は緩やかで雄大な丘の台地、赤い絨毯らしき敷物で舗装された幾筋の曲がった道が丘の頂上に向かって伸びており、丘の麓右手に朱塗りの太鼓橋が、私の立っている台地から雄大な丘に架っており、長さは15m程で中央が少し高く湾曲しています。

その対面の丘は、赤、青、白、緑、黄、正に色取り取りの花が何百kmと咲き乱れ、広い台地を埋め尽くしているのが見え、ここに来て私の目が異常に遠く迄見える事に驚いています。


空は明け方の気配で空気は澄み遠く迄台地が曲がる事無く平面に見え、丘の中程に暗い場所があり、其処は時差の関係で、現在夜の台地では?と思われる所もあり、私は視点を少しずつ左側に移動して、立っている幅50m余りの褐色の境界らしき台地の延長線上を通り過ぎて左側に入りました。


左側は是も広大な谷間が続き、入道雲の雲海で埋め尽くされ、彼方此方で発生する稲妻の光が多種、異なった色彩と形を変えて湧き上がる異様な雲の動きに見とれています。

突然目先にいる二人組み中から声が聞へて来た。


「神吾か!?何故此処に来た!此処に来たら駄目!早く帰りなさい!」


「そうだ!此処に来た理由は分からない」と言って声のした方を見ながら『お袋か!』と問い返した。


目先にある赤い大きな日傘の下に二人の女性が座っており、お互いに地面から何かを選び拾い上げて左手の甲に貼り付けるような仕草をしている。


その女性の前にはT字型の止まり木が有り、その止まり木に三本足で異様な姿のカラスが、二羽止まって鋭い目で辺りを警戒しているようで、その鳥の6本の足が一枚の板状に見え、皮膚は大蛇の腹模様に見えた。


この場所に来た時、美しい草花だと思っていたお花畑は…実は無数のパラソルだった。


私が近付くと一人の女性が立ち上がって「そこから動かない様に!」と声を掛けてきた。


これが母か?と自分の目を疑った。長い黒髪が肩を覆い白いシャツの上から肩掛けらしき薄い水色の布切れを肩から腕にまとい、若い母がそこにいるのです。服装は違いますが、私が記憶に残っている古い写真と同じ若い時の母の顔です。


私より若い母???実に不思議な世界に驚いています。私はすかさず「親父が死んだが此方で逢ったか!」と声をかけると、母は「爺ちゃんも死んだか?山仕事が好きだったので途中、畑で草を抜いていると思うよ」と返事が返ってきた。


「傍にいる人は誰?」と聞くと、母は「上隣のミユキさんよ」と応えてきた。その人は白髪で、紺色一重の着物を着用、着物の柄は白い井形の大柄模様だった。


『叔母さん神吾です!安雄さんが亡くなりましたが逢いましたか?』と尋ねると「神吾さん!?なんで其処に居るの?ここから早く立ち去る様に…何!安雄が死んだ!?…何故死んだの~?此方で未だ逢ってないよ。…」


「直腸癌と聞いています、私は郷里を離れての生活なので、詳しい事は知りませんが…50歳過ぎに亡くなられ事を後日友達から知らされ私も驚いています。私と同級生でしたので…非常に悲しく淋しい思いをしている」と述べると『有難う!そんなに若くして死んだのか?…残された家族も可哀相に…』と応えが返ってきた。


会話の中で私はこの場所と出来事を鮮明に記憶せねば…正気でその様に努力した事を覚えている。可様な会話の中から此処は女性の園で、男性は来られない所だと知らされた。


昔からこの世で結ばれねばあの世で…と言葉を残し心中した話を多数聞いて居るが、以前和尚様より「仏教の教えではあの世は男女別々の世界、決して結ばれない」と聞いた事を思いだし、噂でなく事実その様に受け止めました。


             南無大師遍照尊 合掌。 南無大師遍照尊 合掌。


どれ程の時間が過ぎたのか気が付くと、背中がゴツゴツ冷たく、頭は水枕と氷嚢で冷やされていた。


「寒い」と告げると看護婦さんが素早く水枕と氷嚢それに両脇に置いていた数個の氷袋を取り出しそこにあるもう一枚の毛布を掛けてくれ、又体の様子がおかしいので調べると、尿採取用の管が膀胱に通されていたのとパンパスの着用等で違和感があった。

それと目の上には今迄冷蔵庫に保管されていたと思われる霜が表着した赤い血液の嚢が点滴吊架装置に吊るされ輸血されていた。


私は「血液型はAB型です。大丈夫ですか?」と聞きましたら傍で様子を診ていた主治医が「大丈夫!AB型の中から御影さんに特に近いAB型を選んだので安心するように…気分はどう?大分発熱していたので…」と聞かされた。


私は少しふらつく感じがするけど別に異状は無いようですと応えたものの、考えて見ると私は何分位、気絶していたのか?発熱の対処と諸々の医療作業に要した時間は…おそらく三時間前後は要したと思う。 実に不思議な体験をしました。


名古屋市の義弟から、妻にTELあり名古屋市の某病院への転院に付いて話だったとかこの件を主治医に相談したら「今の状態では動かすのは無理」と云われたとの事でした。


9月 5日(火)点滴3本、下血(300cc)程、吐血、輸血3本(1200cc)、

血圧低下、呼吸困難、娘と孫娘来る、妻ボンボンベットで、宿泊看護、

9月 6日(水)点滴3本、下血、(200cc)輸血3本、血圧、104(100あれば心配不用との事)発熱あり氷枕で冷やす、鼻腔に通した管を使って色々な薬の投入、娘午前10時頃来る、兄弟身内に逢いたいので妻に連絡を依頼する。妻泊まる


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