14/26
2(オマケ)
「そう言えば、裏面にあった自由欄。何か書きましたか」
「書いた。お前も書いたのかよ」
特に了承を得ようともせず、勝手に同時にひっくり返した二人の目に入ったのは、お互いへの要求だった。
『蜻蛉さん、是非私に貴方に似合う和服をプロデュースさせて下さい。いつがいいですか』
これは玉の。
『処女は、どうやったら笑顔を崩すんだよ。なんとかしろ』
これは蜻蛉。
そして、二人は無言で紙を表へと直す。
「……何も書いてありませんでした」
「そうか、奇遇だな。お前のにも何も書いてなかったぞ」
お互い、不利になるものなら見ないふりが一番だ。