最終回.断罪者は遅れてやってくる
私は調子に乗って、戦場で数々の功績を上げていきます。
合法的に魔法の実験ができるなんて、素敵な世界ですね。ここは。
そんな中で、魔物が暴れまわって大変だという噂を聞いたので、隣国リェランドに単身乗り込みストレス発散を兼ねて魔物たちを一掃したので私個人が、隣国に対して恩を売れました★
隣国リェランドでも、良好な関係を築いているギルティ国のキナ臭い噂を聞いていたみたいなので、悪臭元を切り捨てるための協力を願いました。
そしたら、自国に被害が及ぶ前にと快く引き受けてくれました。
囮として、第三王女ラクシュミ・リェランド様を貸してくれました。
ラクシュミ様が、他国を知るための社会勉強と称してギルティ国に来ました。
ラクシュミ様の監視役は、第三王子のヴィシャス・ギルティ様です。
彼曰く、「王族である隣国の我がまま姫の監視役はこの国のために俺が適任だ」と言ったそうです。
それを聞いた時、私は思わず『ポカーンという顔』をしました。
国王様と護衛の騎士たちも同様の反応をしたそうです。
この国で、一番それを言ってはいけない王子様が言っているのです。
「あんたがそれを言うの!?」という言葉を飲み込んだ私は偉いと思う。
ラクシュミ様は王族としての義務や立場を理解し、王族の務めを立派に果たす人気の王女様。
かたや、ヴィシャス様は王族としての義務や立場を放棄し、王族の権力だけを甘受し、愚従妹マレフィーのご機嫌取りをして国内を荒れさせ続ける不穏分子。
どちらが王族として正しい姿なのかは簡単に分るでしょう。
自分の逆ハーレムの一員である王子様が他の女に取られたのがよほど悔しかったのでしょう。
マレフィーは焦るあまり、稚拙すぎる自作自演の嫌がらせの犯人をラクシュミ様に仕立て上げました。馬鹿ですね。
マレフィーは逆ハーレムに泣きつき、ラクシュミ様を断罪するように逆ハーレムたちに言いました。
そこは予想を裏切ることなく、単純馬鹿の逆ハーレムたち。マレフィーの嘘を全く疑うことなく、王の御前でマレフィーを背に庇いながら、ラクシュミ様を断罪し始めました。
鼻で笑うラクシュミ様、他国のそれも立派に王族の務めを果たす王女様の前で恥をさらして頭を痛くする国王様、あまりのつまらなさに寝そうになる宰相様、顔色を悪くするそこに集まる重鎮たち、得意顔のマレフィーと逆ハーレムたち。
そして、なぜか収拾がつかないこの場面。
そこに、予言姫リリス・ブラックジャスティス様の登場です。
登場場面を狙っていた私は、リリス様に手を引かれて王の御前に行きました。
リリス様は、これまでのマレフィーと逆ハーレムたちがした数々の悪事を話していきます。
私は同時に四方の壁に映像を展開して、リリス様の行っていることの正しさを証明します。
この世界の魔法での映像を再現するのには欠点があります。
映像編集や改竄ができないということです。
自分の都合のいい出来事を再現できません、事実しか映像に映せないのです。
普通なら都合の悪い物ですが、今は正しさが証明されたとこちらが有利な展開です。
マレフィーは映像を見てこれは嘘だと顔色を悪くして泣き叫びますが、逆ハーレムたちは自分たちは正しいことをしたと言って喚き散らして、王の護衛たちに取り押さえられています。
その時にマレフィーは、「なんで、バッドエンドだけに出てくるリリスとアストレアがここで出てくるのよ。ちゃんと、バッドエンド回避したでしょ」と顔色を悪くして呟いていました。
リリス様がすべて言い終わると、王に言われて騎士たちがマレフーと逆ハーレムたちを牢まで人目につくように連れて行きました。
ラクシュミ様は、「勉強になる余興だった」と笑って国に帰って行きました。
一ヶ月後、マレフィーと逆ハーレムたちは公開処刑されることになりました。
王族そして国に反逆の意思あり、国に混乱をもたらしたなどなどの罪状で。
公開処刑になったのは、王家が自分たちへの戒めを今一度確認するため、特権階級の貴族たちへの見せしめのためです。
現実でも、公開処刑は娯楽の少ない世界だと娯楽になるんだと改めて妙な関心をしてしまいました。
公開処刑だったので、庶民が想定以上に集まったからです。
テレビドラマのように野次を飛ばす者たちが多いこと。
この後、王族と貴族の教育方針を専門家とすべての教育関係者を交えて、数年がかりで新たな教育方針を作って行こうということになりました。