1.転生しました★
ここは、魔法と剣と魔物たちが存在するファンタジーな世界フローファニー。
どうやって死んだかなんてものは、お察し下さい。
生前は、完治不可能な厨二病患者(末期)でした。
とりあえず、死んだことはゴメンとでも言っておきましょう。
私の名前は、アストレア・トゥルース。
トゥルース伯爵令嬢です。
転生者だと自覚して、この世界が『魔法』が存在する世界だと知った時には、テンションが上がりました。
元・厨二病患者(末期)としては、一般人が人前で言ったら恥ずかしい詠唱呪文とか言ってみたいじゃないですか。
それからは、家の書斎に籠もり魔法関連の本を読みました。
さぞかし、涎を垂らしながら魔法書を読みふける幼女は恐かったのでしょう。
家に勤める使用人たちは、私が書斎に籠もると誰も近づいてきませんでした。
ある程度魔法を使えるようになったある日のこと。
ピクニックに行く要領で、龍狩りに行くことにしました。
この世界では、魔術師団のエリートコースの条件が、龍を使役することです。
ちなみに、騎士団とは別に竜騎士団というのもあります。
エリートコースはともかく、人前で恥ずかしい詠唱呪文を唱えれる機会を逃すわけにはいきません。
元・厨二病患者(末期)としては、どうしても厨二満載な恥ずかしい詠唱呪文を人前でクソ真面目に唱えてみたい!
だって、前世は自分に自主規制してしなかったことですから!
私は龍を魔法の実験台にすべく、山を登り始めました。
ここは、龍山と呼ばれる山です。
魔法使いは龍山、竜騎士は竜山に行き、龍(または竜)と契約します。
山の入口までは、貴族令嬢ということで護衛がいました。
ですが、山に入ると護衛がついてくるということはありません。
この龍山に盗賊などが絶対に入ることがないため、必要ないからです。
山の頂に着くと、そこにいたのは白金の龍。
お互いに目が合うと先手必勝とばかりに、龍は口から炎を、私は詠唱破棄で呪文を唱えました。
「詠唱破棄だと――――!」
龍は、驚いたように言った。
呪文の詠唱破棄は、上級者でないとできないことだからです。
私の外見と年齢でできないと思ったんですね、ヒドイ...
私は魔法の追撃を止めず、そのまま龍は私に敗北することになった。
そして、敗北した白金の龍は私と契約することになった。