割と癒えないもの
痛い。胸にぐさりと刺さるモノ。
それは、形の無いモノ。
ぐにゃりと曲がったりする。
それは、諸刃。
ぐちゃりと音を立てたりする。
それは、悪夢。
短いまどろみの中に、何かを見出だす必要は無いのに。
どこからか、音が聞こえる。
耳を澄ませば、具体的に聴こえてくる。
騒々しい密室。鋭利な刃物が飛び交っているが、各々の形があり、特徴的なモノは真っ直ぐこちらに飛んでくる。
私は、刃物を持っていない。
飛んでくるモノに対しても、全くと言っていい程無防備だ。
飛んでくるモノは意思を持っている。
矛先は確実に私を仕留めようとするものでは無いのだが、刺さると痛いものだ。
しかし、今まさに私を忌ましめようとしているモノは、私に向けられているものなのだから、受け入れなければいけないのだろう。
これは、仕方が無いことだと私は思う。
この痛みと向き合わなければ、私は現実から「逃げた」事になるんだと。
そして、逃げる事に対して、私のすこしばかりの自尊心が許す筈が無いのだ。
今まではそう言い聞かせてきた。
でも、それももう限界に近いから。
ぐちゃり、何かが潰れていく。
冷たくなる前に、私は私である、私であった事を誇れるように。
最後まで傷や痛みと向き合ったのだから、悔いは無い。
ぐしゃり、何かが壊れていく。
もう楽になってもいいんだと、少し安堵する。
突き刺さっているモノは、膨張し、破裂する。
自分がそうさせていたのかも知れないが、今となってはどうでもいい事だ。
ぐさり。ぐさり、と、突き刺さり、歪み、潰れて、砕けていく。
これがとどめだといわんばかりに。
やはり、そろそろ終わるんだろう。
思い残す事は、ひとつだけ。
たった一つの疑問だけ。
どうして、私だったんだろうか。
人生初小説ということで、頑張ってみました!
とはいっても、書いていた時間は一時間弱なので、もしかしたらそんなに頑張ってないかもしれないです。
いかがでしたか?