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プロローグ:母ちゃんっていろんな意味で最強だよな

『昔々』からだいたいの物語は始まるよな。

こんな使い古された始まりじゃなく、もっと小洒落た出だしをしたいもんなんだが。

いかんせん、そんなん思いつきもしねえ。


そんなことはどうでもいいか。

これから話す物語はオレがお前のために創った、生まれたての物語なんだからな。


どこの国とは言わないが、その国には王様がいて、その王様には一人の娘がいた。

まあ、俗に言うお姫様だ。

そのお姫様は、何不自由なく暮らしてたんだが、母親がいないんだ。

姫の母親だから、王の様の妻であり、お妃様だろ?

事故で死んだんだってよ。


まあ、そのお妃様もなかなかたくましい人だったわけよ。

生きてる間は毎日のように城の近くの森を馬で駆け回ったり、狩りをしたり釣りをしたり…

調子のいい日なんて一カ月ほど一人で森でキャンプ、サバイバルをしてたわけだ。

そのうえ、剣の腕は城の兵隊なんて目を瞑ってても勝てるゼってくらい強かった。

そのおかげで今まで森に暮らしてた盗賊どもが全滅して、城下街が平和になったとかなんとか…


とにかく、お妃様は、美しく・逞しく・誰にでも分け隔たりなく接してるから平民どもにも人気があった。


しっかし間抜けだよな~、こんな人がどうやって死んだと思う?

下呂のくせしてムリして飲むから、変に酔っぱらって城の窓から飛び降りやがったんだ。


かっわいそうなのは残された王様と姫様でよ、


お妃様が王様に最後に言ったのが

「浮気したらゆるさないからなぁ~ヒック 私が死んでも女作るんじゃないよ ヒック」

だったから王様は新しい嫁を作る気になれないし


お妃様が死んだのは姫様が九つの時だ。

そのうえ姫様はお妃様が飛び降りるところをその目で見てやがった。


実の母親が目の前で別世界へダイブするとこなんて、大人が見たってトラウマものになるだろ。

それを年端もいかないか弱い少女が見ちまったんだ、王様を始め、家臣や兵隊、城下街の貧乏街スラムの猫に至るまで心配した…


しかしだ、姫様はケロッとしてた。

むしろ、まるで付きものが落ちたかのようにすこぶる元気になった。

いや、あれ絶対憑いてんだろといわれるほど逞しくなった。

森へ行って泥まみれになって帰ってきたり。

城下街の子供と喧嘩して怪我をした日には、王様もほとほとあきれていた。

時にはイタズラをし、父に怒られ。

台所から食べ物(もちろん高級)を持ちだして友達とつまみ食いしては、料理長に叱られ。

勉強をサボって遊びに行っては家庭教師に説教され。


一番騒ぎになったのはやっぱり、急にいなくなって、兵隊たちの捜索も潜り抜け、一週間後ひょこっと戻ってきて、何食わぬ顔で「森にいたけど?」と言われたときだな。

さすがにこんだけ心配させといて、自分は何も悪いことしてませんみたいなこと言われれば怒るだろ?

だから王様は森へ立ち入ることを姫様に禁じたんだ。

もちろん姫様は納得するはずまないが、

もし言うことを聞かなかったら、隣国の王子に嫁に出させるぞ脅してきたので、姫様もしぶしぶ従うことにした。


だがさ、王様もそこまで鬼じゃなかったんだ、森に入らないと約束してくれたので、15歳までいい子にしてたら誕生日から、もう好きにしていいと言ってくれたんだ。


それを聞いて姫様は大喜び。

喧嘩もなくなったし(姫様に逆らう子供がいなくなってきた)。

服を汚すことも減った(汚れないように動くことできるようになった)。

つまみ食いもやめたし(友達を食事に誘うようになった)。

勉強も…やってはいるんだけどなぁ。


とにかく姫様はいい子にしてた。

うん、問題は…起こさなかったしね?

そして、今日が姫様の15歳の誕生日だ。


「やったー、やっと森へ行ける…ほら穴掘ってる途中だったんだよね、誰かに盗られてなきゃいいんだけど」


なんて荷造りしてる姿はまるで亡くなったお妃様のようであった。

荷物も作り終え、さあ出発だーと窓に手をかけた時だった。

トントンとドアがノックされ「姫、お話が」と待女のおばさんが入ってきた。


「なんですかぁ、私はこれから森へ行くんですぅ」

「そのことでお話があります」

「まさか、行っちゃだめとかいうんじゃないだしょうね」

「そのとうりです、姫」

「なんでよ」

「街のうわさは姫の方がお詳しいかと」


そう言われ、昨日の定例会(それぞれの町内のガキ大将の会議)で、木こりの子が最近森に化け物が出るようになった。なんてこと行ってたような気がするな~なんてボケーと思いだしてると。


「兎に角、ホントに化け物が出るらしいので、退治するまでお待ちください」


その言葉は姫様が生まれて、一番衝撃的な言葉だったかもしれない。


「いいですね、絶対森へは行かないでくださいよ」


それだけ言うと、待女のおばさんは姫の部屋から出て行った。


姫様はしばらくうな垂れるれていたが、

「もう我慢できない。私は待った、自分でも信じられないほどに。隣の国のあのアホ王子のとこに嫁がされる?化け物がいる?構うものか、あのアホ王子もあのときでは考えられんほどにいい男に化けた。化け物が私に害があるものだとなぜ決めつけられよう?私は行く、誰も私を止めることはできないのだ~」


なんて叫びながら窓から飛び降りるから、もちろん見張りの兵士たちに見つかり、すぐに取り押さえられそうになるのだが、

さすがお妃様に憑かれてるなんて噂が立つだけあって、捕まらないのなんの。

挙句の果てには城壁を乗り越えて城を脱出する始末。


これはすぐに王様に報告され、森に兵を出して姫を探すことになるのだが、見つかるかどうか…


そしてこの物語は、このおてんばなお姫様と、不思議な白い人が出会うところから始まるんだ。

この前妹にせがまれて童話を作ったらひどく気に入ってくれたので書きなおしたものです。

時々文章がおかしくなったり誤字脱字があったりするので、もしそのときはご報告ください。

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